俺、砂の家を見るよ!

 次の日の朝、俺は一番に起きたのでグレタの様子を見に行くことにした。私はもう大丈夫だって言ってたけど、疲れはたまってるはず。俺の水は疲労とか傷とかを癒してあげれるけど一応確認しておこっと。

 部屋から出てグレタの部屋まで行こうと思ったら、見覚えのある人影が見えたので挨拶しておく。


「おはようネフェス!」

「クーア様おはようございます。早いですね」

「ネフェスもね!」


 見覚えのある影は、俺達を案内してくれた二人の一人ネフェスだった。そういえば、あの後すぐ寝ちゃったから忘れてた事あるんだよね。


「ネフェス!少ししゃがんで~」

「?はい、なんでしょう」


 ネフェスはアルベルドやウォルみたいにムキムキじゃないけど、身長はとても高いから俺じゃ届かないんだよね。魔法を使うのに、目を合わせる必要は無いけど何となくこうした方が色々伝わるかなって。

 ネフェスは少し首を傾げたけど、素直にしゃがんで俺と目線を合わせてくれたので癒すの効果を持っている水球を作り出して


「ネフェス口開けて~」

「はい」


 何も疑うことなく開けてくれたネフェスの口に水球をぽ~い。少し驚きはしたけど、普通に飲んでくれたネフェスの体に忽ち変化が起きる。傷口は光りながら治っていき、体内を巡る魔力の流れが悪かったのも解消されていく。

 ネフェスは驚きながら、


「いったい何をしたんですか・・・・?怪我が・・・・」

「怪我してたから治してあげたよ~」

「そんな!頭領を治した時かなり魔力を使ったのではないのですか?無理をしないでください」

「ん~?寝たからもう魔力戻ってるよ~ありがとう」

「それなら良いんですが・・・・いえ、こちらこそありがとうざいます」


 みんなやっぱり俺が魔法を気軽に使うと驚くみたい。魔法なんて俺が考えれば発動するし、魔力だって沢山有るけど知らない人からすると吃驚する事なのかな?今俺は人の姿に変わる魔法と水を生み出す魔法を常に発動してるけど、特に負担は無いし回復する方が早いから考えないと忘れちゃうくらいなんだよね。


「そういえば、クーア様は何処に行こうとされてたんですか?」

「グレタの様子見に行こうと思って~」

「そうなんですね、今頭領は裏庭に居ますからお連れしますね」


 あれ?グレタもう起き上がってるんだ。ネフェスは俺を抱き上げ裏庭まで案内してくれた。裏庭は開けていて、まるで生きているかのように迫力のある動物の石像が並んでいてその中央でグレタは大きくて少し曲がった刃を振っていた。


「グレタ凄いねぇ~」

「えぇ頭領はこの砂野の民の中で随一の実力の持ち主ですから」


 俺には、剣の凄さとか剣術とかは分からないけど、目に留まらない速さで次々と石像のを切り裂いていき刃にはうっすらだけど魔力が纏ってある。ウォル達が全力で戦ったところを見たことが無いから比べようが無いけど、ネフェスが誇らしそうにしてるからきっと強いんだろうね。

 ネフェスと一緒にグレタが体を動かしているのを静かに見てたけど、俺達に気付いたらしい。グレタは空中に居たけど風の魔法を使って勢いよく俺達の所まで来ると、


「クーア様こんな朝早くからどうしたんだい?」

「グレタの様子見に来たんだよ~」

「あら、見ての通りクーア様のおかげで完全復活さ。改めてお礼を言うよ」

「無理はしないでね~」

「大丈夫さ、もうこんなに動けるんだからね」


 うん、グレタの体に触れて詳しく調べてみたけど健康だね。睡眠もしっかりとったみたいだし生命力がキラキラ光って見えるね。これなら、また汚染された魔力にやられたとしても、耐えられるんじゃないかな?

 それはそうと・・・・


「グレタあんなに動けるなんて凄いね~」

「そりゃあ砂の民の頭領だもの、これくらい当り前さ」

「へ~砂の民って凄いんだね」

「クーア様は砂の民を知らないのかい?」

「うん、最近こっちに来たばっかだから知らない~ウォル達に色々教えてもらってるところ」


 ウォル達は博識だから色々な事を知ってるんだよね~植物とか医師の名前を聞いたらすぐ答えてくれるし、この国の歴史にも詳しいんだよね。グレタはネフェスに抱かれている俺を受け取ると、


「それじゃあ、砂の民については私が教えても良いかい?」

「うん!」

「それじゃあ、私達の町を案内しながら教えたいから皇子に一言言わないとね」


 グレタは優しく俺を抱きながら、家の中に戻り俺達が泊っている部屋まで来るとノックをして


「皇子、グレタです。少し許可を貰いたいことがありまして」

「すまないグレタ!!!話したいところなんだがクーアが居なくて・・・・!!!」


 グレタのノックの音で目を覚ましたのか、まだ髪も整ってなくぐしゃぐしゃで服が少しズレているウォルが慌てて出てきたと思ったら抱かれている俺を見てホッとしながら、


「良かったそこに居たのか・・・・」

「勝手に出て行ってごめんなさ~い」


 一言言って出てくれば良かったね。ウォル凄く慌ててたし、今度からはちゃんと言うことにしよ~と反省!


「いや、クーアは自由に行動して良いんだぞ。俺達はクーアを縛ることは絶対にしない」

「うん、でも慌ててたでしょ?次からはちゃんと言うね」

「あぁ、でも気にしなくても良いぞ。俺達が勝手に慌ててるんだからな。それでグレタ許可とは?」

「実はクーア様に町を案内したいなと思いまして許可を貰おうかと」

「そういうことか、クーアが望むのなら俺達に許可を貰う必要はないぞ。クーア、どうしたい?」

「ん~じゃあみんなでグレタに案内してもらおうよ!」

「だそうだ、グレタ良いか?」

「えぇ勿論です」

「すぐに準備してくる少し待ってくれ」


 どうせグレタに案内してもらうんだったらみんな一緒に行った方が楽しいよね。昨日の夜は色々慌ただしくて、全然見れなかったし砂で出来た家色々見てみたい!

 今居る家も砂で出来てるみたいだけど全然砂って感じじゃないんだよね。砂ってサラサラしてるから集まったとしても、触り心地どうなんだろうと思ってたけど・・・・触ってみるとツルツルなんだよね。どうやってるんだろう・・・・?


「待たせたな」


 どうなってるんだろうな~と床や壁を見てるとウォル達が出てきたので一緒に町を見て回ることに、怪我している人が居たら俺が治してあげるんだから!

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