俺、暑い場所来た!

 村から離れたい一心で只々飛び続けてどれくらい飛んだのかもわからず、村がかすかにも見えない場所にたどり着いた時点であることに気づいた。


「キュ!!!(ここ暑い!!!)」


 空高くから地面を見てみると、あれだけ緑一面だったはずの地面が砂色しか見えない。此処は水の魔力も薄いし、大地の魔力も薄いみたい。生き物の姿も見えないし降りてみようかな。

 俺は地面に降りてみると、空にいた時より暑くてちょっと疲れる。でも何だか・・・・懐かしいような俺と似た魔力を感じる。何でだろ?気になるけど暑くてちょっと集中できない。


 どうにかして涼しくなりたいな~


 どうせ森には戻りたくないし、見たこともない場所だから俺の知らない面白い物や生き物が居そうだから冒険したいな。・・・・魔法なら何とかなるんじゃないかな?涼しい空気を俺の周りに纏って・・・・うん、かなり涼しくなった!これなら暑さを気にせずにいろいろ周れそう。


 それじゃ~レッツ冒険!


 地面から3mくらい浮きながら、枯れ果てた大地を進んでいく俺。たま~に植物があるけど、どれも弱ってて今にも朽ちてしまいそう。可哀そうだから見つけた植物には俺特製のお水を掛けてあげながら飛んでいると、なんだか前の方から少しだけ強い水の気配が


 お水が少ない場所なのかな~って思ってたけど違うのかな?久しぶりのお水だ~自分でも出せるけど自然のお水って気持ち良いんだよね。


 俺はお水に向かってヒューンと少し早めのスピードで飛んでいくと、お水の気配に隠れて気付かなかったが生き物の気配が8つ。その内4つはよく覚えてる気配なんだけど、


なんか、少し違う・・・・?


 その4つの気配は前まで一緒に居て俺を殺そうとしてきた人間だと思うんだけど・・・・少しだけ違うんだよな。他の気配が少し混じってるというか、なんだか親近感が湧く気配があるというか。お水に行きたいけど、人間と会うのは嫌だな~でも気になる。う~ん・・・・隠れればバレないかな?


 俺は生き物が自然と出してしまう気配を抑え込み、見られないように空高く飛び上がり水の気配がある場所まで飛んでくるとその気配の人影が見えた。お水が沢山在るかなと思ったけど、精々水浴びが出来るくらいの水しか地面には残ってなかった。


残念・・・・でも、地下深くには水の気配がしっかりとあるね。


 その生き物達は、何かの魔法を水に掛けてるみたい。その魔法は水を通って土の中まで、通っていくと途中で途切れちゃった。


う~ん、水源を探してるのかな?


 もし、水源を探してるならもっと地下深くまで魔力を飛ばさないと見つからないよ。この水場は地下深くにある水が、地面の動きによって噴き出してできた水場なんだよね。地面の動きで水が通ってきた場所は塞がっちゃったし、水を探すならもっと底に魔力を飛ばさないと。


教えてあげた方が良いのかな・・・・


 お水は生き物にとって大切な物だ。それを探してるってことは命が危ないのかもしれない。確かに、生き物達の気配は薄くて弱ってるみたいだけど。う~ん、どうしよう。迷いながら空をふよふよ浮きながら、見てると特に弱っていた一人が倒れてしまった。


えええええぇぇぇぇぇ!どうしようっ倒れちゃった。倒れた人に周りが大慌てで魔法を掛けてるが、全然効果が無いみたい。それじゃあ意味ないよ、必要なのはお水と生命力!


 う~ん、死んじゃうのは自然の摂理だから仕方ないけど・・・・目の前で死んじゃうのはなんかモヤモヤする。それにあの人からなんだか親近感が湧く気配がするし・・・・仕方ない!


 俺その人間たちの近くにある岩まで降りると気配を消し、姿を変えた。そこにいる人間たちと同じ姿だ。龍の姿だとまた命を狙われるかもしれないし。あと、人間って服も着るんだよね。

 俺は魔法で白い服を作り出して着ると、岩場から出て人間たちに近付く。倒れている人間以外は治すことに必死で、俺に気づかないので声を掛けてみる。


「ねぇ!」

「!?誰だ!!!」


 声を掛けたら、勢いよく振り返ると俺に対して剣を抜き睨みつけるオスの人間。他の人間も倒れてる人を守るように武器を抜いた。


驚かせちゃった!?どうしよう、とにかく


「何もしないよ!ただ、死にそうだから」

「子供・・・・?いや、子供がこんな所にいる訳が無い。正体を現せ!」

「俺は俺だよ!」

「・・・・何しに来た」

「だから、その人死にそうだから」

「俺達を襲い食おうという気か」

「そんなことしないよ!!!ただ、治してあげようと思って」


 俺は人間なんて美味しく無さそうなもの食べないよ!!!!


 剣を抜いた男は、俺からを目を逸らさず睨みつけているが、倒れた人に魔法を掛けていた人間?は縋りつくような目で


「治せるの・・・・?」

「うん」

「本当に?」

「俺嘘言わないもん」

「ならお願いします!!!代わりに私の命でも魂でも何でも持っていっていいからお願いします。皇子を治してください」

「レイラン!?」


 レイランと呼ばれた人間?は泣きながら俺に頭を下げてきた。その様子を見て他の人間も同様に頭を下げながら、


「非礼をお詫びいたします。この命を捧げますからどうかお願いします。皇子を治してください」

「友人なんです。助けてください」


 うわ~・・・・なんか滅茶苦茶お願いされてる。それほど大事な人なのかな。お願いされたし、よっし治しちゃうぞ~俺はこの人に生命力と魔力、水を与えるために周囲に水を作り出し、倒れている人を包み回復させる。見る見るうちに青ざめていた顔色は元に戻り、ボロボロだった体の中は綺麗に治り健康的過ぎるほどに。


これで大丈夫~


 治療を終えた俺は倒れていた人をゆっくりと地面に下すとついでに他の人間も回復させてあげる。お水余ってるし、また死にそうになってるときに倒すのも大変だからね。


よしっと


 治療している時唖然と俺の事を見ていた人間達はお水を掛けられて、正気に戻るといきなり頭を下げ


「ありがとうございます!!!今私の心臓を捧げさていただきます」

「まずは、俺から」

「俺も」

「!?」

 

 そう言って、みんな仕舞った剣を取り出すと迷い無く笑顔で自分の体に剣を突き立てようと思いっきり剣を刺そうとした。俺は大慌てで水を使って武器を弾き飛ばすと


「要らない!!」

「ですが、契約の対価が」

「契約って何!?俺契約なんてしてないよ!?」


 えっいきなり自分の体を傷つけようとし始めたんだけど!?怖すぎ!!しかも、契約ってどういうこと?


「我々の命を対価に皇子を救ってくれたのではないのですか?」

「違うよ!?」

「それでは何を捧げれば・・・・」

「別に要らないよ!?」


 何を捧げればいいのかと縋るような目で見られても困る。ただ、なんだか嫌だから助けただけなのに!やっぱり人間分からないし怖い!


 どうにかして何かを捧げようとしてくる人間達を止めさせるために、わちゃわちゃしていると


「んん」


 倒れている人が動き目を開けた。もう俺はどうしたら良いのか分からず、倒れている人に抱き着き


「助けて!?」

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