俺、怒った!
この一ヶ月長かったぜ・・・・龍が来た時からこの時を待ち望んでた。相手は生まれたての赤ん坊だとしても龍には違いがない。龍を殺すにはしっかりと準備をしなくちゃならねぇ。もし暴れでもしたらこっちが殺される可能性だってある。だから、入念に準備をしておいたのだ。
まず、眠らせるために永遠の果実こいつは、食えば眠りに落ち永遠に起きることは無いって言われるほどの強い眠りの作用を持っている。しかも、永遠の果実って言われるのにはほかにも理由がある。果実が持つ高濃度の魔力を体に入れることによって肉体が朽ちなくなる。飯も排泄もしなくなるが、死ななくなるわけじゃない。ただ、体が活動を止めるだけ。ナイフを刺せば死ぬし魔法だって効く。もし殺せなかった時は、眠らせたまま帝王に捧げればいいんだ。
そして、この龍を殺すために俺達の金すべてをかき集めて手に入れた物がこの不浄の剣だ。この剣は大戦時代から存在する古い武器で今残っている数は少ないだろう。だが、闇オークションを探せば手に入れられない訳ではない。何故なら剣の切れ味もそして掛けられた魔法も強力だが、こいつを使うバカは居ない。この剣には強い呪いが付いてるのだ。使ったものは心を蝕まれ、精神が破綻しやがて死に至る。これで切られた相手も同じくだ。
確かにこの剣は危険だ・・・・だが俺達には、こいつの水がある。
こいつが俺達の村に来た時水をまき散らし、それがたまたま置いてあった呪いの道具に当たった時そのことに気づいた。しかもそれは強力な呪いだったのにあっという間に解呪しちまいやがった。俺に付くだろう呪いもこれで解呪できるはずだ。セルルに頼んでよかったぜ・・・・あいつは金に目がない。龍となればその価値は計り知れないだろ。
この村の奴は全員何かしらの欲望を持ってる。マロアの奴は永遠の美を欲して、多くの魂を奪ったし龍の肉を食いたがってるし、魔法を教えたパリトンは魔力を求めて大量殺人をして逃げだし次は龍を狙ってる。まぁ俺もこいつらとほとんど変わらねーけどな。俺が正しかったのに、俺に歯向かうからいけないんだ。
まぁそんなことはどうでもいい、こいつの肉さえ食えば俺に逆らう奴は居なくなる。もし起きたとしても、こいつは火が嫌いだ。こいつの周りを火で覆ってしまえば、弱体化もするはず。フハハ・・・・ようやくだ。村の奴らも全員集まった・・・・さぁ宴の開始だ。俺は勢いよく龍の体に剣を振りかざした。
「ピギューーーー!?」
痛い!!!何々!?気持ちよく寝てたのに何が起きたの!?
生まれて初めて感じる痛いという感覚に混乱しながらも、起き上がり周りを見渡すと村のみんなが俺笑ってみてた。なんで笑ってるの?俺吃驚するくらい痛かったんだよ?俺の目の前にはすごく気持ち悪い剣を持ったバイロンが笑っていた。
「まさかとは思ったが、起きちまったか・・・・まぁ逃げれると思うなよ」
「キュイ!?キュウ!!!(なんで!?俺なんかしちゃった?ごめんなさい)」
「キュイキュイうるせーんだよ。さっさと殺されて俺達の肉になりやがれ」
なんでか分からないけど、剣を俺に振ってくるバイロン。痛いのは嫌だから頑張って避けるけど周りが燃えてて調子が出ない・・・・あ!
「キュイ!」
「あら、どうしたの坊や」
周りで笑ってみてた人達の中にマロアを見つけたので、そこまで逃げるとマロアが俺を抱きしめてくれる。
「キュキュ!キュイ!(何だかバイロンが変なんだ!マロア止めてよ!)」
「逃げちゃ駄目よ・・・・早く私に永遠の美を頂戴」
「キュ!?」
マロアはにっこりと笑うと、ギュッと俺が動けないように拘束してきた。なんでどうして?俺が斬られそうになってるのに誰も止めてくれないし、みんな体の中から気持ち悪いモヤモヤが出てる。バイロンはどんどん近づいて来るけど、逃げられない・・・・
「キュイ!キュイ!」
「殺せ!」
「さぁ早く!」
「これで俺は金持ちだ」
「俺を追い出した奴全員殺してやる!」
みんな笑いながら叫んでる。誰も俺の事を助けてくれない・・・・俺頑張ったのに、やっとお話しできる生き物と会えたと思ったのに。みんなはお友達と思ってくれてなかったんだね。俺の事ただの肉とお金にしか見えてなかったんだ。
「さぁ死ねよ!!!」
バイロンが大きく剣を振りかぶる。
お友達じゃないなら、もう知らない!
「キュウーーーーーーーーーーーー」
俺は大きく叫びながら魔法を発動ささせる。
みんなは水が大好きなんでしょ?俺が作った水を大切にしてたし、水が無いと人間は生きていけない。じゃあ、その水でみんな倒れちゃえ。
この地にある地下も含めてすべての水を俺の元へ!!
「はぁ!?なんだこれ」
「なんだよこの魔力は!!!」
すべての水をかき集め、村を人を畑すべてを水によって押し出し回し吹き飛ばし大地を更地と化す。水をすべて奪われた大地は、枯れ果て亀裂が走りもう人が住める環境ではなくなっている。
みんなが大事にしてたこの場所すべて壊してやる!!!
水をかき集め球体にして、地面にぶつけるとドンっという衝撃音と共にクレータが出来上がる。
ふんす!
フンっと息を吐き見渡すと、何も残っておらず枯れ果てた大地が広がる。その光景を見て村の人は唖然としてるけど、知るもんか。誰一人殺してないけど、これで勘弁してやる。
「クソックソッお前さえ死ねば!!!!」
「キュッ」
「嘘だろ・・・・」
もうこんな場所には居たくないから、水をすべて俺の体に収め飛ぼうと思ったらバイロンがまた剣を持って突撃してきたので魔法の水で剣を粉々にしてやった。
なんか座りこんじゃったけど、どうでもいいや。
俺はこんな場所とこんな人達から速く離れたかったので、俺は空高く飛び上がり適当な方向に猛スピードで飛ぶ。
飛び去ったと龍を呆然と見送る村人たち、残ったものはこの肉体のみ。俺達の夢をかなえる生き物が消えていくが、俺達にはどうしようもない。武器も無く、あそこまでの大魔法を見てしまったらもうどうしようもない。
龍は飛べるが俺達は飛べないただの人、家も森から来る魔物を防ぐための防壁もすべて流されてしまった。食料も何もない、押し寄せる魔物達に飲まれるだけだ。
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