俺、初めて遭遇!

 む~飽きた!!!何時まで経っても誰も来てくれない!もういいやっここから出る!


 あれから暗くなったり明るくなったりを繰り返したけど誰も来てくれない!ただ遊びが上手くなって飽きただけ。ずっとやってるおかげで、水で俺の体と似たやつ作れるようになっちゃった。自由自在に動かせるようになったし、俺の周りにあるこの丸いのにも慣れて寝てる間はこれで周りを見てる。まったく変化ないけどね。

 

 キラキラはどうやっても作れなかったから諦めた!でも、水の下にある固いやつとかを色々動かせるようになったよ!ず~と遊んでたからもう新しい遊びは思いつかないし、誰も来ないなら俺から見つけに行こう!なんかあそこだけモヤモヤ無いし!


 誰も来ないなら探しに行くと決めた俺は、水中から上がりふよふよとたくさん何かある所へ飛びあと少しで水辺を出るところで止まった。


「キュウ・・・・」


 でも、あんなに気持ち良い水を置いていくのやだな・・・・でも此処に居ても仕方ないし、今出て行かないと俺ずっと此処に居る気がする。そうだ、俺の丸いので先に見てから行けば良いよね。俺は水辺からギリギリの場所に潜り込むと丸いのをふよ~と進めてみる。


 ふむふむ、何も無いね。もやもやがない場所をずっと進めてみてるけど、水の周りを囲んでいた何かが沢山あるだけで生き物は居なさそう。たま~に小さな丸いのがあるけどこれは美味しそう!後で食べにいこっと。水辺の周りと全く変わらないな~もしかしてここら辺って俺しか居ないのか!?

 新しいものが見つからず水の中でぐで~と寛ぎながら、丸いのを進めていく俺。かなり進んだと思うんだけど・・・・何もないね。


あっ


 もうこれ以上進めないや。かなり遠くまで飛ばせるようになったけど足りないみたいだ。じゃあ、自分で行くしかないか・・・・でも水・・・・そうだ!

 

 俺は水中から飛び出て、端っこまで行くと大きく口を開けて水を操作し俺の口へと持ってくる。大量の水が俺に流れてきてるけどへっちゃら余裕だもんね~、勿体無いなら全部俺が飲んじゃえば良いんだ。それで、気に入った場所があればまた水を戻せば良いってことだよね。


 よし、全部飲み切った。それじゃ行くぞ~


 幼き水龍は水を一滴も残らず吸い取り、その地を後にしたが水龍が飛び去った後驚異的なスピードで様々な植物が育ち、水龍が生まれた場所は植物の楽園と化した。その地を満たしていたのは水龍の卵に入っていた魔力が溢れる水。その水はどんな不毛な土地でも、生命を育て上げる生命の水。


 多くの種族が殺してでも欲しがるその水は水龍の体へと消えたが、そんな事を知らない水龍はふよふよと魔の森を進むのだった。


 とりあえず、動かせなくなった場所まで来たけどそのまま進むかそれとも寝るかどうしよう。いっぱい動いたしお腹も満腹だから、少し眠いんだよな・・・・


 あれ?クンクン、クンクン


 なんか良い匂いがする!丸いので見たときは分からなかったけど、モヤモヤしてない場所の奥からなんか良い匂いがする。良い匂いがする場所なら色々な生き物が集まってくるかも!


 眠気が覚めた俺は猛スピードで、良い匂いがする場所まで進んでいく。だけど途中で小さい丸いのを食べるのも忘れずに。グングン進んでいくと、どんどん良い匂いが近づいてく。


もう近い!誰か居るかなっ


 匂いに向かって飛んでいると、色々な気配を感じるまで近づいてきた。


 ん~いっぱい居る!やった~俺独りぼっちじゃなくなる!けど会ったらまずどうやったら良いんだろう?遊びに誘うのが良いかな?それとも、小さい丸いのあげるとか?食べてみたらおいしかったし、美味しい物なら仲よくなってくれるよね。


 どんどん近づく気配にテンションが上がり、キュッキュッキュッと声が漏れてしまう。尻尾はいつも以上に激しく動き、飛びながら一回転してみたり上下に動いてみたり。


 ようやく着いた場所には同じようなものが並んでいて、動き回っている大きな生き物。


 あ、俺の方を見た。お~い初めまして!ってなんで逃げるの!?仲良くしようよ~あれ、なんかどんどん集まってきたぞ・・・・もしかして、呼んできてくれたのかな?やった遊ぼう!


「もしかして・・・・龍か!?」

「キュイッ(あれ、俺のこと知ってる?そうだよ~龍だよ。言葉分かる~?)」

「まさか、龍が・・・・だが小さいな」

「キュ~(生まれたてだからね)」


 この生き物が言ってる言葉は分かるけど、俺の言葉は届いてないみたい。まっ言葉が通じなくても大丈夫だよね。俺が覚えればいいだけだし


「龍が何故この村に・・・・」

「キュキューイ(俺一人なの遊ぼうっ)」

「・・・・敵意はなさそうだな。この村に来てくれるのか」

「キュイッ(ここに住んでも良いの?じゃあ住む!)」

「・・・・そうか、歓迎する(まるで子供だな・・・・こいつは使える)」

「キュ~(あ、そうだこれ美味しいからあげるね)」


俺は話しかけてきた生き物に持ってきた木の実を渡すと笑顔で受け取ってくれた。みんな笑ってるし歓迎してくれてるみたいだ!やった~


 幼き龍がたどり着いたのは魔の森の端にある小さな村。はぐれ者が多く住みつき多くのものが国から追放されたものばかり。そんな事を知らない幼き龍は、悪意に満ちた村に誘われてしまうのだった。 

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