俺、寂しい!

「ピギュ!(寂しい!!!!)」


 生まれてからいっぱい暗くなったり明るくなったりしたけど誰も来てくれない!こんなに面白い遊びしてるのにどうして誰も来てくれないの!もしかして、お水嫌い?こんなに美味しいしキラキラして綺麗なのに。

 生まれてから常に誰かが来てくれるように、色々な遊びをして誘ってるけど誰も来ない!もしかして、俺と遊びたくないのかな・・・・


「キュ~」


む~寂しいし見つけに行った方が良いのかな。でもここから出るの嫌だし


 このまま此処に居ても誰も来てくれないのは分かってるけど~だってあっち気持ち悪いんだもん。前にちょっと行ってみたらゾワゾワッてしたし。たま~に気配はするんだけど水遊びするとみんな逃げてっちゃうんだよね。


なんでだろ?


 こんなに気持ちくてキラキラの水なのに。もしかして、俺の遊び面白くない・・・・?じゃあ、遊び変えてみよう!う~ん、どんな遊びならみんな来てくれるかな~


 水面すれすれを飛びながらみんなにとって楽しいものってなんだろな~と考える俺。水が嫌なら何が好きなんだ?う~ん、俺が好きな物ならみんなも好きかな?


「ピギュ~~」


 う~ん、と頭を悩ませながら飛んでいたが何となく水面に背を向けて飛んでみる。今お空は暗くなっていてまん丸のキラキラと小さなキラキラが光ってる。まん丸の方は分からないけど毎回見た目が変わってる、なんでだろ?でも、いつも綺麗!お空を見上げながら寝るのが俺の楽しみだったりする。


そうだ!あんなに綺麗だったら、みんなも好きなんじゃないかな?俺の周りにあるこれみたいに!


 俺は体の周りをまわってる丸いキラキラみたいなやつが有ったら来てくれるかも!俺は手で体の周りをまわってる丸いのを手に持つとポイっと空に投げてみる。俺の体から離れても、自由に動かせるんだよね~球体を上下左右に踊るかのように動かすとキラキラして綺麗だ。


これ見る角度によって光ってる点々が違って見えるんだよな~不思議。


 俺の体の一部だけど意味は分かんない!でも綺麗だからいいや!


 次々と空中に俺の丸いのを投げて動かしてみる。バラバラに動かしてみたり、同じ動きにしてみたり~これ結構面白いな。


 何なのかは分からないけど、出来る事はなんとなくわかる。俺は目を閉じ、球体に集中すると真っ暗だった景色が、いつも見ている景色へと変わる。どうやら、この丸いのでも色々見れるみたいだ。


あれ?これ全部の丸いのを使って見たら、いっぱい見れて楽しいのでは!?よ~し・・・・ぎゃああああああ



 俺分かった。これ、危険。見れて楽しいかと思ったけど、一気に色々流れてきて気持ち悪い・・・・頭まだクラクラする。


 出すものは無いけど、気持ち悪くて口を押えながらふらふらと飛ぶ俺。もうこれ使わない、普通に見た方が自由に動けるし楽しいもん。気分が悪いので入るとスッキリする水の中に入りブクブクと沈んでいく。ん~あれ、この中に居ればスッキリするんだから、この中に入りながら丸いの使えばいけるんじゃないか!?よし、そうとなれば!



・・・・どうやっても無理な事ってあるよね。さっきと同じことになってぷかぷかと水面に浮かびながら水を吹く俺。スッキリするのにクラクラするからオエ~気持ち悪い。もうこれは諦めよう。


動きたくない時に使うぐらいにしておこっと。


それより、誰かを呼ぶ方法を考えることにしよう。あのキラキラを作れたらきっと誰か来てくれるはず!


よ~し、いつも遊んでるみたいにすれば・・・・あれ?なんか違うキラキラなのになんか違う


 キラキラに光る物は作れたけどなんか違くない?あれ~できたと思ったのにもう一回!駄目だ~なんでだろ。


 何回も作り直してみたけど、出来ない!もういいや、こんなのどっかいけ!!!キラキラだけどなんか違う物をポイっともやもやの方にパシッと投げると俺は水の中に潜り寝ることにした。


おやすみ!


 幼き龍は気付いていないが、遊びで使っている魔法はどれもこれも高等であり凄まじい威力を秘めている。賢い魔物は魔力に敏感であるため、強大な魔力を感じ取りみな逃げてしまうのだ。本能のままに襲い掛かる魔物も居るが、幼き龍が居る水辺は、清浄な魔力で満たされ魔物が本能的に避ける場所である。そのため魔物一つすら近寄らない聖域となっている。

 

 そんなことを知らない幼き龍は、毎日誰かを呼び寄せようと大量の魔法を発動するのであった。ただ誰かに会いたい、独りぼっちは寂しい、誰か来てくれないかと無邪気に元気に。


「キューーーーーーー(寂しい!!!!誰か来てーーーーー)」


 寂しげな叫びは森に響くが誰も答えてはくれず、ただ悲しいだけだった。だが、幼き龍が使った魔法は浄化の力を持っている。何気なく捨てた魔法が通った場所は魔物が寄りつけないほど浄化されてしまった。その先にある物とは

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