エピローグ

 暑い。

 焼ける。


 焦げた臭いがする。人間って焼けるとこんな臭いがするのか。


「死にたくない」


「今更何を言う」


「!?」


 声……?こんな焼け焦げた家に何の用があって来たんだろう。

 もしかして助けに――――。


「助けて……」


 そうに違いない。普通家が燃えてたら消防に通報する。

 勇敢な人間はもしかしたら焼けた家に残っている哀れな人間を探しに来てくれるかもしれない。

 きっと彼もそうだ。そう思い僅かに動く顔を上げる。


 ……?


「あの、今夏ですよ?」


 その男性は黒いロングコートに赤い年季の入ったマフラーという夏に相応しくない格好をしていた。


「残念だったな」


 ――――俺は夏が嫌いだ。


 グチャッ。

 頭のつぶれる音がした。血が飛び散る。

 飛び散った血を拭いながら男は言った。


「救済なんぞ、ぶっ壊す」


 ――――――――


「あーあ。主人公君死亡~」


 その光景を青髪の男が別の場所から眺めていた。


「せっかく助けてあげたのに。」


 イレギュラー。

 刀架とうかがこの場に来る事が出来なかったのは彼が原因だった。


「毎回あのクソキツネ野郎に手こずってるから来れないようにしてやったのにさぁ」


 本当に使えない主人公だ。

 俺は楽しくない事が嫌いなんだよ。


 まあでもあのサングラスはおもしろかったな。今までにあんな奴いたか?

 今後が楽しみだな。


「さぁ、お前らの救済を見せてみろ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る