SAVIORS―セイビァーズ―

火下創弥

プロローグ

 ――――――――――その日は確かに『冬』だった。


 暑い。溶けそうだ。

 少女はそう感じていた。

 理由は明白だ。周囲を見渡すと四方八方青い炎が立ち上っている。

 

 そこは一軒の民家。一般的な、ごく普通の少年の住んでいる民家だ。

 そこには不相応な光景が広がっている。


 粉々になったテレビ、焼け焦げたテーブルや柱、窓ガラスの破片が散乱した床。

 その床にはその民家の住人である少年が転がっている。

 そしてその頭を踏みつける足。

 踏みつけている青年の腕から血が滴り落ちているのが見える。

 ぼうっとそれを眺めていると、青年が少女に気付いたようでゆっくりと振り返る。


『その時、鏡に映った姿はどこか懐かしさを感じた』

 

 振り返ると青年は頭部からも出血しているのが分かる。結構酷い怪我をしているようだ。

 大丈夫か、と声を掛けようとして躊躇する。

 ……この青年こそが『不相応』な原因ではないのか?逃げて警察にでも通報するか?

 考えを巡らせていると青年は言った。


「これで分かっただろう。これが『答え』さ」





「僕が『救世主』だ」

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