第6話 琵琶湖大橋の不気味

昨夜は早寝をしたので、朝は5時に目が覚めた。

お天気に恵まれた早朝の琵琶湖は、湖面が朝日に照らされ美しかった。

部屋のバルコニーに小さな露天風呂があったことに今朝、気づいたわたしは、のんびりと湯に浸かり、殿様気分を満喫した。

「船がたくさん出ているね」

レジャーボートなのだろうか、朝から4隻ほど走っている。わたしの泊まる部屋の真下1階部分は大きな露天風呂になっている。1階と船の目線は同じだと思うので、素っ裸で外に出たら、丸見えである。

風呂上りに晋之介を連れて琵琶湖の浜辺を散歩した。新しい所が好きな晋之介が大喜びで縄張りを広げていく様が面白い。

「後ろから違う犬が来てるし、晋之介のオシッコの上からオシッコされてるよ。マーキングは無駄なような気がするけどね」

晋之介の不毛な領土争いが終わると、わたしたちはホテルへ帰り、朝食を頂いた。特に驚きのないメニューだが、焼き魚は塩焼きにして欲しい。と思った。西京焼きというものは、どうにも趣味じゃない。

チェックアウトを済ませ、安土まで車を走らせた。もちろんナビに頼っているのだが、なかなか遠い。

「琵琶湖って、こんなに大きかったんだね」

後部座席の晋之介に話しかけ、琵琶湖大橋から湖を眺めた。すると、なんだか不気味な音がした。

「なっなんだ!晋之介、なんか聞こえる?」

どこからともなく聞こえてくる低音。お日様のある時間帯なので怖くはないが、不自然だ。伏せていた晋之介も身体を起こし、周囲を見渡している。

「なんの音」

1分もしないうちのその不気味な音は消えたが、あれは一体、なんだったのだろう?

(後でわかったことだが、道路に特殊加工がされており、滋賀県ゆかりの音楽が流れていたらしい)

そうこうしているうちに安土城へ到着。思ったより琵琶湖が大きくて、時間が掛かってしまい、予定していた時間を1時間も過ぎていた。

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