第196話 閑話 嫁乱闘
「私がご主人様と寝るんですっ!」
「いいえ私よ!シロ様の隣は私が貰うんだからぁ!」
「ん、みんな自重して。主と素敵な夜を過ごすのはクロ」
「これだけは譲れないですぅ!ご主人様を襲…………一緒の部屋になるのは私ですぅーっ!」
「主様は渡しません!絶対に主様と添い寝するんです!」
「ええい!ここは年長者に譲るべきなのだー!」
ドゴォン!
ゴオオオオオッ!
シュンシュンッ、ズガガガガッ!!
バリバリバリバリッ!!
パキパキ、バキンッ!!
カッ────!
メキメキバキバキ!!
可愛らしい六人の乙女の掛け声とは裏腹に、まるでこの世の終焉かと思うような光景が目の前に広がっていた。
あまたの魔法が飛び交い、もはや世紀末のようにズダボロになった訓練所にはもうほとんど人は居ない。
皆、危険を察知していち早く避難したのだ。
残っているのは俺とルイス、カルマ、グルサス、ケルンくらい。
今行われているのは、先程まで俺とケルンが木剣で勝負していた時とは180度真逆のガチンコ勝負。
これから王城で過ごす際に、三部屋に分かれてお世話になる予定なのだが、肝心なのは"誰が俺と一緒の部屋になるか"。
たったそんな事のためにこんな大乱闘が巻き起こったのだ。
ルイスからこの話題を振られた途端、皆の雰囲気が一気にピリついた。
改めて俺って愛されてんなぁ〜………と自覚した今日この頃。
「…………凄いですね」
「いや、やばすぎだろ………」
「…………………」
もうカルマとグルサスですら苦笑い気味だし、ケルンに至っては言葉を失って唖然としてる。
彼らにとっては未知の魔法が飛び交い、とんでもないフィジカルの少女同士がぶつかり合っているのだ。
訓練所がこのまま崩壊しないかだけがものすごく心配である。
どうしよう、ここで「もうやめて!俺のために争わないで!」って言った方がいいかな…………。
うん、たぶん巻き込まれて事態が悪化するのがオチだね。
ううむ、俺はただ傍観するしかないのか………。
だってこれに関しては、俺が誰かを応援したり選んだりしたら絶対に角が立つじゃん。
かと言ってあの中に入って仲裁する勇気も、残念ながら持ち合わせていない。
「うりゃあああああ!!ワタシの底力を思い知るのだぁーーーー!!」
「ちょ、ノエルさん本気すあぶぅ!?」
「ん、大人気ない」
「ふはははは!何とでも言え、勝てば良かろうなのだ!!」
ノエル、キャラ変わってる…………。
完全に邪神みたいな悪い笑みを浮かべ、ノエルが魔力の暴力でひたすらに魔法を連発。
それに対抗するように、ノエルVSアイリス達五人の勢力図が出来上がりつつあった。
その後、この死闘は数時間に渡って続いたと言う……………。
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