第14話 鑑定(2)
「スタンピード鎮圧を
「おぉぉぉーー!!」
「マシロ君ノエルちゃんありがとぉーーー!」
日が沈み、入れ替わりで出たまん丸の月が夜空から見守る中、シルバの
そりゃあもうどんちゃん騒ぎで、ライブにでも居るかのような賑やかな喧騒だ。
まだ村の外にある戦いの痕跡や魔物の死体処理など頭の痛くなる問題は残っているものの、
皆にちやほやされまくってボサボサになった髪を整えながら広場に向かう。
ひゃっはー!美味しそうな料理がいっぱい!
中央広場に置かれた簡易テーブルの上には色とりどりの豪華な料理が
うぅ、全部美味しそうでどれから食べるか迷っちゃうな………。
安定を取るか初めて見る料理にチャレンジするか。
散々迷いに迷った
見た目的には完全にチンジャオロース。
しかし味はいかに…………!
謎の肉を食べるのは結構勇気がいるが、匂いがたいへん美味しそうだったので我慢できずドキドキしながら一口食べる。
ん、豚…………じゃなよな。
牛にしては固くて脂肪が多いか?
うーん…………まぁ何の肉か分からんけど、とりあえず美味しいからおっけー。
やはり予想通りチンジャオロースみたいな味だ。
くぅ〜、これは白米が欲しくなる!
かなり濃い味付けなので、白米があれば完璧なのだが…………。
どっかに米はないかと探し歩いていると、広場を少し離れた場所に美味しそうに湯気を上げる白米を発見。
即行専用のお皿を貰って盛り付け、さっきの炒め物と一緒に口に運ぶ。
うまうま、これいくらでもいけるわ。
「おーい野郎ども、酒持ってきたぞー!」
「待ってました!」
「今夜は浴びるほど飲むぞー!」
どこに隠していたのか、シルバが大量のお酒を抱えて登場すると、そこに群がるようにお酒好き達が集まっていく。
お酒か…………。
そう言えばまだこっちの世界のお酒って飲んだこと無かったんだよねー。
普段から飲むタイプじゃないから今まで機会がなかったけど、ちょうどいいから初異世界お酒いっちゃうか。
え?ね、年齢っすか?
いやまぁ実年齢は二十二歳ですし?
いくら体が十五歳と言っても、この世界じゃ十三で成人らしいから大丈夫なはず。
合法よ合法!
俺もジョッキを持ってお酒を注ぎ、先に飲んでいた皆と乾杯。
んく………んく…………ぷはぁー!
うん、美味しい!
お酒あんまり詳しくないから正確な名前は分かんないけど、なんか前世でも似た味のお酒があった気がする。
お酒が進むと自然に料理が減るスピードも早くなり、おかわりする手が止まらない。
気がつくと、もう何杯目か分からないお酒と料理を両手に持っていた……………のだが。
おかしい、酔う気配が
もしかして数えてなかっただけで、まだあんまり飲んでなかったのかな。
未だに
アルコール度数0.1%だったりする…………?
「…………いや、マシロが酒に強すぎるだけだろ……………」
一緒のタイミングで飲み始めたはずのおっちゃんが、ベンチに横たわりながらそう呟いた。
他にも酔い潰れていた人達が同意するように力無く頷く。
皆は既に相当限界らしい。
一方俺は全くの素面。
これってお酒に強いどころの話じゃないのでは?
「にしてもよぉ〜…………。マシロ、お前あの規格外の強さどうなってんだよぉ!」
「なぁー、何をどうやったらあんなに強くなれなれんだ〜?」
「ええい酔っ払いどもめ!」
べろんべろんの状態で肩を組んで揺すってくる男達からなんとか逃れようとするが、酔っ払いとは思えない馬鹿力でコブラツイストされて動けない。
いや、酒臭いわ!
そんなんだから嫁の一人もできないんでしょ!
「ぐふっ!?い、痛いとこ突くじゃねぇかマシロ〜」
「少しは既に一歩先に居るシルバを見習いたまえよ」
「嫁と可愛い娘が一人居るぞ」
「ちくしょうシルバさんだけ抜けがけしやがって!許せねぇ!」
あまり酔いすぎないように少しずつちびちび飲んでいたシルバが、俺のセリフに合わせてサムズアップ。
未婚の男達にダイレクトダメージ!
未婚の男達は耐えきれず発狂した!
「ふふふ、ここが既婚者ゾーン!越えられない壁!越えられない壁!」
「キエェェェェェェッッ!!」
「は、はぁ〜!?お、俺だってやろうと思えばすぐ結婚できるし!?」
「俺なんてまだ二十八だからバリバリ婚期ですが!?」
「もうすぐ三十だったら十分遅れてるだろ…………」
シルバの横で同じくちびちび飲んでいた人がぽつりと的確なツッコミを入れる。
確かに彼の言う通り、この世界では成人が早いのに比例して結婚年齢も低く、平均で十代後半から二十代前半らしい。
そう考えると遅れてる部類だけど、地球生まれの俺からすると三十だとそこまで遅れてるように感じないんだよね。
むしろ平均辺りでは?
「や、やかましい!てかお前はどっちの味方なんだよ!」
「いや、俺結婚してるし」
「おまっ!?う、裏切り者!」
裏切りが分かった途端、裏切り者を
シルバは真横でギャーギャー言っているのを尻目に、焼き鳥を食べながら俺の方に向き直ると。
「まぁこいつらは放っておくとして、マシロの強さが規格外ってのは確かにそうだな。俺の知り合いに冒険者ランクSSの奴が一人いるが、見た感じ同等の力を持ってると言っても過言じゃないだろうさ」
「えっ、おいマジかよ!」
「そりゃやべぇな」
シルバの言葉に騒いでいた男達が動きを止め、改めてこっちにやってくる。
SSランクね…………。
「そう言われてもなぁ。冒険者ランクが分かんないから何とも言えない…………」
「ん?冒険者のランク付けを知らないのか?」
「あ〜、えっとほら、ここに来る前はど田舎に住んでたからさ」
…………本当は異世界から来たから何も知りませんなんて口が裂けても言えない。
「そうだなぁ…………シゼルちゃんなら分かりやすく説明してくれるんだが………」
「はいはい、呼ばれてとび出てじゃじゃーん。皆の受付嬢、シゼルさんですよー」
「ワタシも居るぞ!…………真白ひどいのだ、ワタシも構ってくれなのだ!」
「ぐえっ!?」
いきなりシゼルさんが現れた事にも驚きだが、さらにその後ろからひょっこり顔を覗かせたノエルが、俺の胸目掛けて突撃してきたことにはもっと驚いた。
危うく受け止め損ねて押し倒されるところだった。
もちろんちゃんと受け止めましたよ?
それを見た男達がギリギリと血涙を流して歯ぎしりするのをよそに、俺の膝に座ったノエルはムニムニと小ぶりなおしりを動かしながら定位置に移動し、俺を上目遣いで見上げる。
「まったく、ワタシを置き去りにしてどこかへ行ってしまうとは…………」
「あはは、ごめんごめん。楽しくてついね」
後ろから覆い被さるように軽く抱きしめると、ノエルはふんすっ、と満足気に鼻息を漏らして俺の腕を掴み、大切そうに胸に抱きしめた。
男達は羨望と嫉妬の視線を以下略。
「さてさて、マシロさんのステータスは皆さんも気になりますよね。そんな時にはこのアイテム、冒険者ギルドイチオシのステータス水晶の出番です!」
シゼルさんがポケットに手を入れたかと思うと、明らかにそれ以上のサイズはある水色の水晶が台座ごと机の上にゴトッと置かれた。
大きさ的には水晶だけで拳三、四つ分くらいはある。
え、今どうやって出したの…………?
まさか四〇元ポケット!?
いや、でも魔法がある世界だし…………きっと【ストレージ】みたいな収納魔法を使ったに違いない。
……………そうだよね?
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