第12話 スタンピード(3)
「ノエル、そっち任せた!」
「りょーかいなのだ!」
背負っていたノエルを下ろして別々の場所に移動する。
ここからは効率よく行くため別行動だ。
早速襲ってきた亀の魔物の甲羅を粉砕し、突如守るものが無くなった亀はそのまま押し潰されて土に帰った。
ふと宙を舞う甲羅の破片の隙間から何か光る物が見えたかと思うと、次の瞬間バチッ!という鋭い音と共に電撃が放たれる。
さっきとは別個体のサンダーバイソンの攻撃だ。
それがいとも簡単に俺の体を貫通。
だけど残念、残像でした。
そろそろ一万五千は下回った頃だろうか。
向こうのノエルのやる気がすごいおかげで、見る見る魔物の数が減っている。
やっぱりノエルの魔法は規格外。
最初は
しかしスタンピードの発生源の存在がよほど怖いのか、止まる気はさらさら無いらしい。
『グルアァァァァァッッ!!!』
「お?」
大きな雄叫びが聞こえた瞬間、ガチンと紫色のオーラに覆われて体が固定されてしまった。
目の前にいる目が四つのクマの魔物の仕業だろう。
怪しく紫色に輝く四つの視線が、しっかりと俺の事を捉えて離さない。
金縛りの
当然の事だが、動けない隙に沢山の魔物が俺向けて一斉に攻撃態勢を取る。
「ふんぬぅぅぅ…………ぁぁぁぁっ!!」
気合いと共に内側から放出した魔力と紫色のオーラがせめぎ合い、やがて押し負けたオーラにヒビが入って所々から魔力が溢れ出る。
ググッと両腕を重々しく上げると、完全に砕け散った。
術が破壊された反動なのか四つ目熊の目がもれなく潰れ、叫び声を上げながら砂煙を巻き起こして地に伏せた。
しかし、それでも十分に時間を稼いだ。
すでに周囲を魔物に囲まれ隙のない包囲状態。
それなら………。
剣を逆手に持って地面に刺す。
「"
──────────────────────。
次の瞬間、半径百メートル以内の全てが凍りついた。
あれだけ激しかった魔物の動きは無く、静寂の中に離れた場所の戦闘音と俺の吐き出す白い息の音だけが響く。
まだこの魔法は終わりじゃない。
凍った魔物達の足元からニョキッと氷でできた
てっぺんに達する頃には数箇所で美しい花が咲き、
よく見るとそれは結晶の形をしていた。
花は徐々にその数を増やす。
そして。
不意に一体の魔物の氷像が跡形も無く砕け散り、同じように輝きを放ちながら霧散。
また一体、また一体と姿を極小の結晶に変える魔物が増えていき、ついには凍った全ての魔物が居なくなった。
宙を舞う結晶の数々は、まるでスターダストかのような輝きを持っていた。
◇◆◇◆◇◆
「おー!いつの間にあんな技を使えるようになったのだ!?さすがワタシの真白なのだ!」
両手を振り上げ喜びを全身で表しながら、圧倒的な火力の魔法で魔物を蹂躙していくノエル。
ノエルの両サイドに控えるのは最初に放ったトラ型の雷の塊である【雷帝】と、青い炎を散らしながら羽ばたくフェニックスを
どちらも最高位の魔法によって形成されたノエルオリジナルの魔法で、肉体や核すら持たないため、普通の物理攻撃では一切傷を付けることが出来ない。
またノエルの合図を受けた二体が
既にこちら側の魔物は壊滅状態だ。
残っている僅かな魔物の群れも今にも逃げ出してしまいそうな雰囲気である。
『グルアァァァァッッ!!』
『オオオオオォォ!』
『キシィィィッ!!』
「む、邪魔なのだ!」
ついに痺れを切らして一斉に飛び出してきた六つ目の狼とオーク、四本の鎌を持ったカマキリの魔物を吹き飛ばし、さらに空から襲いかかろうとしていた鳥型の魔物も撃ち落とす。
あ、しまったなのだ。
手加減し損ねてつい大きなクレーターを作ってしまったのだ……………まぁ、後で直せば良いか。
次の技でまた増えるだろうしな!
ふっふっふっ、この技をカッコよくキメて真白に褒めてもらうのだ!
背後から気配を消して忍び寄っていた真っ黒い二股のヘビが噛み付いてくるが、躱すついでに首をむんずと掴んでぺいっと投げ捨てる。
意気揚々と真上に掲げた
正面に構え、膨大な魔力と共に放つ。
「"
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます