第7話「全国100万人のヘラたちがため込んだ『一生のお願い』合計数とは?」

「名付けて『一生のお願い攻撃』! 100万人のヘラによる『一生のお願い』で、ゲームシステムをオーバーフローさせるのです!!」


『オーバーフロー? そんな魔法あったっけ?』


 首をかしげるユーザーID:2さんと、


「おおおお!?」


 反応アリな風呂先生。


「またの名を『すべてがFになる攻撃』」


「メフィスト!」


「さらにまたの名を『F5攻撃』」


「某国か!」


 あはは。

 風呂先生、ノリノリ。


 というか人力DoS攻撃と聞いてすぐに某国が出てくるあたり、風呂先生はいにしえのインターネッツ女だな。

 レスバ強そう。

 まぁ自ら独自ゲームエンジンを開発してしまうほどの猛者なんだもの。

 パソコンやネットに詳しいのは当然か。


「風呂先生、『アフロディーテ物語』における整数のデータ型ってint型ですか?」


「はい。integer型です」


「ということは、最大値は――」


「2の31乗マイナス1ですから」


 先生がウィンドウを表示させた。

 って、電卓!?

 電卓が出てきた!

 そんなん出せるの!?

 十分にチートじゃん!


「2,147,483,647ですね」


「つまり21億分の『一生のお願い』を一度にぶつければ、AIアフロちゃんは処理落ちする!」


「おおおお! ですが21億もの『一生のお願い』なんて、どこにあるんですか?」


「あるじゃないですか! 全国100万人の『アフロディーテ物語』のウィンドウの中に!」


『「おおおおお!?」』


 ようやく理解が追いつきていたらしく、ユーザーID:2さんも一緒に驚く。


『そうか! さっき風呂先生は、俺を5,000回以上も殺したって言ってたぜ。もうとっくの昔に数えるのは止めたけど、確かにそんくらいヘラを演じ続けている気がする。だとしたら、100万 * 5,000は――』





『「「50億!!」」』





「いや、でも……」


 と私。


「私はまだ108回しか死んでないです」


「いえ、でも貴女はユーザーID:809,910。全国100万人の中では比較的新参ユーザーです。いえ、新参とか言うと失礼ですね。ご購入くださった方は、皆様大切なお客様ですから」


 改めてケタがおかしいな、『アフロディーテ物語』界隈。

 まぁでも某お艦のゲームなんてユーザー数ウン百万人らしいから、社会現象を巻き起こしたゲームとしては順当な数字なのかもしれない。


「ちょっと計算してみますね」


 開発者用ウィンドウらしきものを開き、各ユーザーの『一生のお願い』を拾い始める風呂先生。

 って、何その画面?

 真っ黒なその画面は――コンソール画面? 





 mysql> show tables;





「ぶっふぉ」


『アフロディーテ物語』、MySQLだった。

『アフロディーテ物語』のDBのテーブル一覧が表示される。

 テーブルの中には『user』テーブルの文字が。

 さらに先生が、『user』テーブルの項目カラム一覧を表示させる。


「おおおおお!?」


 ユーザーIDテーブルにカラム『please』がががが!


「それ、まさか――」


「はい。みなさんの『一生のお願い』回数ですね」





 mysql> select sum(please) from user;





 先生が、全ユーザーの『一生のお願い』の合計sum数を表示させた。

 その数字とは――――……

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