第47話:正洋の小説
住み慣れた自宅である綱島住宅の室内で正洋は、テーブル上のノートパソコンを一心不乱でタイプする。新横浜以前から立花律子からLINEで言及のあったことを思い出す。
律子:論文面白かったです、もう少し楽しい方がいいかな。ビラも配りようだね、元住吉に回覧板なんてあるんだね
正洋:楽しいもの、かぁ。題材とか?
律子:うーん、ラノベとか?
正洋:ライトノベル、小説か。すこし、毛色が違う気がすけど・・・
正洋:ありがとう、映画みるのも好きだし検討する
以来、小説の執筆を試みるために、まず題材として「ジョジョの奇妙な冒険」を選んだ。好きなシリーズだからだ。オリジナルのストーリーを書いてみたかった。そのために、まず作品の根底になる能力を考えはじめたのだった。既存の作品では「音楽」をテーマにしているようだった。正洋はその嗜好からそれを「映画」にし、その内容やテーマを能力として考えつづけたのだった。それは蓄積されnote上に公開している。(https://note.com/ishimasa1221/n/nf79b773b3e16)それもまとまったと言えるだろう数になった。新横浜をテーマにした論文を執筆したあとの、燃え尽きた感覚から、休息を経ての立ち上がりに原作小説を書いている。論文とは異なる形式の文章による構築物は初めてだった。小説事態はそれなりに読んでいる。しかし、正洋の現在書いているものは、読んできた作品とは異なり、自身でも異色な形式となっていた。
台詞がない。
上記が特徴であり、かつ読み物として構築されたものを意識している。二次創作であることを踏まえ、小説投稿サイトでの投稿は止め、各話ごとに原作漫画の出版社が展開しているwebサイトの「ご意見フォーム」に投稿している。それで何か将来の展開を期待したわけではない。しかし、可能性の一端と読者の創作が現場に伝わればとお持ったのだ。あくまで、かもしれない、といった期待値である。蓄積された正洋の原作小説はそれなりの分量になりつつある。まとまったら、kindle上での販売もいいだろう。二次創作といっても原作との重なりはタイトル程度にしてある、ある程度の自分の裁量でコンテンツとして取り扱えるだろうと判断している。論文もそうであるが、小説も含めて文章による構築物を製作する上での、阻害要素に正洋は気づいている。指の疲労と集中した時間を展開することの面倒さである。前者は、訪れる疲労が億劫であり、後者は弛緩した状態からの張への変化がまた同じであった。したがって、連日の大量生産は不可能だと判断している。投稿サイトの大量のこれらは何かしらのトリックゆえのものだろうと正洋は判断していた。
正洋(そろそろ終わる。そしたら意見フォームに投稿、期末テストの確認もしなくては、忙しい!)
疲労と弛緩の繰り返しの連日は、うんざりするものの、人生の進行を感じられて正洋は充実も感じていた。
原作小説の第一部完結といえるまで、もうあと少しである。タイトルは最初に決めた。その時には内容はぼんやりしたものであったが、書き進めるうちに、筆記の工程も出来てきている。自分はやりながら考えるタイプであると自覚していた。正洋の意識は終着をむかえつつある構築物の出来で、張が薄れてきていた。ここまでくると問題は指の疲労だけである。最後のタイプが終えた。一息を突く。あとは、コンテンツとしての完成ののために、すこしの編集作業であろう。
正洋(一応、意見フォームには販売する可能性があることを書いておくか、よし!できた。身近な人では立花さんだな、そりゃ、これは共有リンクではなくて、直接PDF送っちゃおう)
寿洋「まさひろ。パチパチうるさいよ」
正洋「ああ、すまん。終わつた」
正洋は双子の兄である寿洋にすこし愚痴られた
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