第46話:大越理恵と佳村遥
大越理恵の意識は近づいている期末テストに向かってる。進学を意識しているし、どうせ大学に行くなら自分と親共々喜べるような結果にしたかった。毎日の復習・予習は怠っていないし、成績もそれに反映されているように思う。所属している研究室でも期末テストの事は、尻を叩いておいたし、みんなで頑張れればと思う。下級生の三人は、なんか適当な感じがするが、今のうちに良い結果を出してほしかった。
理恵「江ノ島、いいわね。」
期末テストが終われば、休日を迎えたら遊びに行っていいだろう。理恵も監督役で参加するつもりだった。実際は下級生と一緒に遊ぶだけだけど。自分も南雲とよく色々出かけたものだった。右も左も不安な下級生と体験を通して学ぶのも研究室の活動だった。活動のレポートは自分がチェックして研究室のパソコンにメールで送るつもりだった。整理する時が大変だけど、エアコンもあるし、宿題を片付けるために訪れてもいいだろう。下級生が帰宅してから自分も準備して部屋を出る。意識するのは浩二の事だった。学年主席、工業デザインの研究、開発。とても同じ年齢には見えないけれど、そうイケメンには扱われないけれど詳しく彼を知っている人は惹かれる事もおおい。
理恵(覗いていこうっと。佳村さん誘うついでにいいよね)
理恵は部室等の廊下を歩く途中で目的の部屋の扉に立った。刹那の間をおいてノックする。女性の声で返事はあった。目的どおり佳村だ。普通の感覚で扉を開ける。部屋の中心に机を並べて部員が座っている。室内にいるのは佳村と浩二である。
佳村「あれ?理恵ちゃん。どうかした?」
理恵「佳村さん、帰らない?一緒に。あとすこし覗きに。」
浩二「いいんじゃない。別に。公開しているのなら、見てくといい」
理恵「はあい。そうしよ」
佳村「理恵ちゃん、おいでおいで」
理恵は佳村の座っている机に移動してパソコンを覗く、画面には設計図のようなものがあった。3DCADだろうと大越は当たりを付けた。
理恵「設計?」
佳村「そうなの、かわいいでしょ、ここが展開するの。」
佳村がマウスを操作してソフトウェアの画面の矢印をクリックすると変化がおきた。それはてんとう虫型の何かが変形し、銃のような形になる。画面のログウィンドウには「sucess」となる。
理恵「これは?」
佳村「てんとう虫型のスパークガン」
理恵「すぱぁくがん?・・・ふうん、へえ」
佳村「かわいいでしょ」
理恵「これで何するの?」
佳村「撃つのよ、もちろん」
理恵「ああ、そう」
佳村「あとはビルドするだけ。ピンクにしよ」
理恵(ビルドね、なにそれ。まあ、可愛いけど、撃つの?これ?)
浩二「変形機構は別にいい。普段は装飾品としてごまかせるし」
佳村「だよね!」
浩二「まあ、よし、帰るのかい、佳村君」
佳村「そうね、じゃあ帰ろうか、理恵ちゃん」
佳村が帰宅する準備をする間に理恵は浩二を見る。窓を背にしており、少しパソコンの画面が反射している。
浩二は真剣な顔でキーボードのボタンの一つをタイプする。反射画面を見る限りは何かのレポートのようだ。少し数値が見える。
よくわからない桁のようにみえる。
理恵(なんだろ、0と表示が切り替わっている、でも数値でてるけど漢字もある?)
佳村の準備が終わったようだ。浩二に挨拶をして帰宅の途につく。
理恵「どう、デザイン研究室の活動、デザインって言っても工業デザインなんでしょう」
佳村「うん、そう。力学的におかしかったり、無理なデザインはしないかな。もう。最初は好き勝手だったよ」
理恵「それじゃだめなの?」
佳村「うーん、それじゃ出来上がったとき色々不都合かな。いいよ、でもそろそろ慣れたし。でも、可愛いと兼ね合いだよね」
理恵「遥ちゃんのそれも開発?」
理恵は思わず呼び捨てにした、指したのは鞄に着けられたガラスの小瓶だった。
遥「これ?うん。圧縮型香水瓶」
理恵「・・・へええ、香水ね、圧縮されてるのね。ふうん」
遥「これも私が作った、可愛いでしょ。でも圧縮するのに無理のない構造なんだよ」
遥と理恵のとりとめのない会話が続く。遥によると浩二が最近うれしそうであるようだ。なんでも資金の調達ができそうらしい。
遥「でも、あまり言えないかな、なんかね嫉妬のパワーが来るって」
理恵「ああ、そう。弟さんも商売してるもんね。売上でているのかしら彼。kindleとnoteだしているし。」
理恵「ああ、あたしも何かなあ。書評でも書こうかな。」
遥「ブログとか」
理恵「そうね。周りをみならって少し活動の幅広げてみようかしら。」
理恵「浩二君って何か数値みてる」
遥「うん、そう思う。でも抑えられてる感じがする、「切り替えるとなあ」って言ってたし」
理恵「なんざんしょね。書評かあ。弟さんのkindle、読み放題でみてみようかな。pdf持っているけど。売上にすこし貢献しようなか。というか読んだら聞いちゃえ」
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