第33話:風呂上り、呆けた頭で思索はめぐる
風呂の蒸気により火照ったからだを冷ましながら咲子は考える。主として仲の良い友達との関係だが、その内二人の男の子について思いをはせる。
咲子(正洋君と明君だけど仲良くなっている、二人とも個性あって、特段嫌悪感はないな。関係の発展なんてあるのかなぁ?二人ともいい人だけど。でもちょっと変なんだよな。
ラノベとかコミックスは好きだけど、論文ていわれてもよくわかんない。でも面白かった。まだつづけるのかな、ハウリング・ロアはもう終わったけど。明君は発破爆破、解体の知識もあるみたい。でも汗臭くて危なかっしいと考えると確かにそう。デザイン研究室の人たちとも交流している。ひょっとして彼氏なんてできるのかな?自然な流れでできてしまうものなのだろうか。可能性としては正洋君とと明君なのかな。うーん。嫌いじゃないし、印象いいけどなー。LINE交換しているから連絡したけど。正洋君はハウロアを筆記しているらしい。明君は、バラエティみてる。二人に連絡なんて、移り気なんだろうか私。うーん。)
風呂上がりで体が火照っている、咲子は冷房を付けてベッドの上で肌着で横たわっていた。今までは、本棚からコミックスを取り出して読みふけるときもあったが、おおよその物はすでに読了している。この日は正洋から言われたとおり、文字どおり休み、思索に没頭しようとしていた。
その日の放課後
正洋「宇田川さん、それは休んでないよ」
咲子「え?」
正洋「疲れた時に休むとしてもゲームとか本とか読んじゃだめだよ。何もしないの」
咲子「休んでる、よ?」
正洋「嫌、それは休憩じゃない。遊んでいるんだよ。だから疲労は取れないはず」
咲子「そう。休みの日に遊んじゃえと思っているけど。」
正洋「いや、遊んでいいよ。問題は疲れたとき、文字通り休む。」
咲子「うん」
正洋「そういうときはね。文字通り何もしないんだよ。僕の場合はね。」
咲子「そうなの?」
正洋「うん。たたんだ布団の上に頭を載せて惚けたりとか、ベンチに座ってぼけぇっとしたりしてる、ぼんやりといろいろ考えたりとかね。それが休む」
咲子「ふうん」
正洋「頭にも、休んだ。って実感させる時間も必用だと思うんだよ」
咲子「そう、じゃ、そうしよっかな。楽な状態でぼけっとしてろってことね」
咲子の頭はどんよりしている、文字通り呆けた状態で時間が経過していた。すこしずつ、いろいろな事を考え始めた自分を自覚している。
思考は最近の生活のことであり。そう遠くない可能性を思考している。
咲子(もうすぐ7月かぁ。友達の顔ぶれはそんなにかわんないんぁ。まだ。週末はまあ、遊んでるし楽しいかな。でもなぁ、ハウロアは先日終わったしなぁ。ほんとに
40回さけんだよ。あいつぅ。学生生活かぁ。まだ受験は全然先だし考えなくていいかな。成績は普通、と。明君はああ見えて成績結構いいんだっけ。正洋君は聞いてるかぎり頭もいいし。理解してるんだけど。苦戦中だっけ。実戦に弱いのかなぁ。ああああ。どうなるかなぁ生活、将来のことなんてまだわからないや。うん。友達と仲良くできたらな。男友達は。デザイン研究室の先輩たち入れると結構いるよなあ。一番仲がいいのは・・・うん、やっぱり正洋くんと、明君かなぁ、彼氏。彼氏ねぇ。正洋君と明君。うーん。なんか不思議。二人とは仲いいけど。こういうのって唐突に横やり入って変な男にかっさわれる展開もあるよねぇ。て、盗られるのわたしだ。
・・・デート。うむむ。デートは武蔵小杉でお茶したか。あれ、デートなの。あれ?ハウロアに付き合ったのってデートなのか。むむむ。明君はマッサージしてもらったけど。あれはスキンシップか。二人は私に興味あるのかねぇ。あたしって人気あるのか。今度聞いてみよ。意識しちゃうかなあ。うーん。正洋君は、いわゆる今どき系じゃないしスマートなスタイルでもない。でもがっしりしてるし金剛拳って感じ。明君は背も高いしハンサムにも見えなくもない。でもハーフかぁ。アメリカだっけ。ちょっと受け入れるのに勇気いるかも二人とも。でも、まあ。好きだけど。てへ。いいよ。いい感じの二人。正洋君は、オタクも見ているけど。なんだろ、論文かぁ。律子のお母さんは褒めてたし、売れるかもって言っているけど。売れてんのかねあいつ。報告ないぞ。あいつめ。明君は発破爆破かぁ。発破爆破ねえ。解体の知識あるのかあ。まだ15歳だよね。現場にいてもいいの?爆破して、よし!じゃねえよあいつ。関節はずすなよう。むむむ。)
咲子は思考は論理的とは言えずともめぐる。姿勢を横向け、ベッドのまくらもとに置いてあるスマートフォンを手にぼけっとしながらLINEを操作する。一通りの友達にメッセージを送る。
「惚け中」
その友達には正洋と明もいた。返事はすぐにそれぞれ、返ってくる。
律子からは
「誰をまねたんだ、だれを」
美子からは
「そのままお眠り!」
理恵からは
「そういう時間もだいじよね」
南雲先輩からは
「私は無理です。時間がありません。」かわいいスタンプもついてた。
そして、思索に登場した二人からも返信がる。
明からは
「僕はバラエティまだ見てるよ。マッサージする?」
咲子「あほめ。もみたいだけだろ」と思わずつぶやく。
正洋からは
「身体も頭も休めて。僕は論文できあがったよ。読んでくれると嬉しい。暇なときでいいからね。リンクに添付しといた。」
ときた。
咲子は呆けた頭で考える。
咲子(もうかぁ、ええ、今日終わったばかりだよ。40回。なんでできるのさ。)
と。その日の午後は時間がもったいなく感じるまでベッドの上で咲子は呆けていた。
そろそろと身体を起こす。時計を見ると結構な時間がたっている。何をしようか。一応チエックするかと。机のパソコンでリンクを開く。すでにブラウザのお気に入りに
正洋のQRリンクのアドレスは登録している。リンクを開くとEVERYNORTのページが開かれる。最初の、冒頭部に更新日時とタイトルが書かれ、PDFが添付されている
20220626 更新 ハウリング・ロア ~怒りの咆哮~
咲子(何が、怒りの咆哮だい。でもまあいいか、さてさてどうなったことやら)
PDFを開き、論文の内容を少しずつ読んでいく。すでに身体は冷めているが。入浴後の快適さで自身の状態は万全に感じていた。
10数分で読み終わる。良い出来だった。ハウリング・ロアの嗜好した結果の表も論文内に添付されおり、末部にはQRコードも貼ってある。
表題にはハウリング・ロア実施動画とある。スマホでリンクを開くと、EVERYNORTの別ページが開く。そこにはYOUTUBEのリンクが張ってあった。
リンクは計40。一つ一つ動画リンクを開くと。咲子が撮った動画がすでに投稿されいてる。
咲子(すごいなぁ、正洋くん。書くのも、処理もはやいよ。もう。くそうこの顔めぇ。色々面白いことやるなよなぁ)
咲子は動画の正洋の顔を見ている。いつも隣に席でよく話す顔だ。それが、上半身裸になり。全力で叫んでいるのだ。自分だけがしっている別の顔と思っているが、
こうして形として見ていると、不思議にかんじる。
咲子「へんなの、でもまあよし」
その後LINEで正洋と明からメッセージが届く。
明「花火作ってみようかな。夏に成ったら点けてみない?」
正洋「新横浜でこんど。市街地攻略をする。作戦は考えたよ」
咲子の思考は沈黙の三点リーダーだった。
咲子「なんなんだよ、もう」
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