第18話:衣装制作って変?
週明けの学校生活における中で、徐々にその人間模様は構築されていく。共同として行動するグループのすみわけもできつつあり、校内における既知としての人間関係は自然と意識の中でできつつあった。咲子と律子、そして美子として同じく部の関係から友人といえ関係性であり、その他の関係性も含めて咲子達の中で男女を含めた関係性の中に正洋、ファイールズ、そして五条もいた。本日午後、律子として手芸部に若干の顔だしとして出席をしていた。掛け持ちの活動であるとはいえ、片方をおろそかにするのは律子の中では引け目を感じる事であった。律子が放課後の活動として家庭科室に入り、作りかけてのアイロンビーズの出来に注意を向けるようかと意識を働かせる中にミシンを動かす五条の姿があった。
律子(五条君だ、ミシン動かしてる。裁縫かぁ、最近、集中して作業してるよね。周りに遠慮がちだったけど)
律子の視界の中でミシンを無心で動かす五条がいる。それほど大きくない生地を処理しているようだ。
律子「ご・じょ・う・くん、どう調子?」
律子が声をかけるが、五条はミシンを動かすのを止めない。大分集中しているようだ。
五条「・・・ああ、うん」
五条の返事は律子に対して意識を向けたものではなく、上の空にちかいものであった。
五条「ちょっとまって、今、いいところ」
律子は五条のミシン打ちを近くで視ている。心地よい音を立てる機械を動かす五条の姿は気持ちとして心地よく感じる面もある。
律子(ふむふむ、衣服には見えないけど。なんだろ?あ?人形に着せる用の?裁縫もできるんだっけ?うまいうまい)
すこしして五条のミシンを動かす手が止まる。一息呼吸を吐くと律子に顔を向ける。しばし訪れる沈黙。ほんの一瞬、二人の中では無音がつづいた。
五条「うわぁ!あ、ああ立花さん?」
律子「こんにちは五条君。それひょっとして服?」
五条「え?ああ、うんそうだよ」
五条はどこかしら照れくさそうである。
五条「ええと、見る?立花さん」
律子「見る。見ていいの?」
五条「あ、うん、いいよ」
そう言って今までミシンを打っていた生地を見せる五条。律子の目にはそれは小さいながらも衣服のように見えた。
律子「これ。服だよね。人形用の服なの?」
五条「そうだよ、今制作している人形に着せようと思って。集中できるから、ここ」
律子「人形の服かぁ、服も作れるんだね五条君」
五条「うん、そう、といっても人形に着せる奴ばっかりだけど」
律子「人がきれる服も作れるの?大きくすればいいわけじゃないんだっけ」
五条「いや、ど、どうだろ。人が切れる衣服かぁ、ええとまだ経験ないかな」
律子「ほーデザインはどうしてるの?」
五条「え?デザイン。あるよ見る?」
律子「見る見る。」
その言葉を聞いて鞄からA4ノートを取り出す五条。ページをめくると、人形に着せるためかの衣装デザインが描かれている。
鉛筆で描かれており、部分的には彩色もされている。衣装の寸法や注意点などが記載されている。
律子「え?見てもいい」
五条「え?うん、いいけど。恥ずかしいな」
律子は五条からA4ノートを受けとりノートをめくる。衣装デザインが描かれたノートであるらしく、様々なデザインが載っている。
以前制作したマトリョーシカに着せるかと思えるものもあった。
律子(あ、すごい、五条君。こういうのもできるんだ)
律子「すごーい、すごいすごい。五条君手先が器用かとおもってるけど。衣服もつくれるんだね」
首の後ろに手をまわし、五条は照れくさそうに言う。
五条「そう、かな」
律子はその嗜好として、映像作品群へも興味があり。それゆえの言葉が現れた。
律子「コスプレ衣装も作れたりして」
五条「コスプレ?えっとどういうのかな」
律子「ほら、アニメの衣装とか。イベントでみんなの前で着て、見てもらうの。そういった衣装」
五条「それじゃ人が着るんだよね。えーと作れる、かな多分」
律子「おお、すごいすごい。ええ?頼んだりしたらできるの?」
五条「え?作るの?着るの?どういった感じのもの?」
律子「うん、咲子が」
五条「え?立花さんじゃなくて」
律子「んーん。どちらかというと私は着てる人を撮りたいかな~て」
五条「あ、ああそうなんだ、へえ」
律子「その場合。やっぱりお金とかかかるんだよね」
五条「そうかな。まあ生地代とか。」
律子「あ、コスプレだとそれ以外にもかかるか、ふむふむ。問題は予算か」
五条「立花さん?」
律子は上目遣いでみるように言う。媚びるのはそれほど得意ではないが、その姿勢は五条を情的に揺らすのには十分であった。
律子「いつか、お願いしてもいいかな?五条君?」
五条「え?ああ、うーん」
律子「人の衣装つくって喜んでもらうのもいいかも」
五条「あーうん。どうだろうね。うん・・・考えとくよ」
律子「ほんと?ありがとうに五条君」
五条「うん、まあ、その時になったらね」
会話の進行に合わせてその他の手芸部の部員も家庭科室に訪れた。それから五条にかるく微笑み。その後の手芸部としての活動を進行させる律子。その日、ミシンを得意として動かす五条に手芸部の関心が大分あつまったのであった。衣装デザインが記載されたノートに関心するその他の部員もいた。
律子「五条君、衣装つくれるんだぁ。いいぞぉ。咲子にいろいろ着せたいかも」
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