第17話:市街地攻略って変?

明と会った翌日の日曜。咲子は買い物として武蔵小杉に来ていた。用件としては、買い物と外食でありおいしいと評判の飲食店に向かってのことであった。自宅からは多少の距離があるので、自転車を使っている。本日は一人だ。咲子はたまにの一人での行動を気楽に楽しむつもりだった。武蔵小杉までの道のりの途中、日曜からさ様々な人々とすれちがう。咲子は駅の近くのドン・キホーテの駐輪場に自転車を止めると、背筋の筋肉を伸ばし、これからの行動を思案していた。本日は一人による歓楽である。ドンキ・ホーテのテナントビルの外周の歩道でお目当ての飲食店が開くまでの間、カフェでもしようかと考えていた先に、最近よく話すようになった少年を見かける。正洋だ。


咲子(お?正洋君だ、なにしてんだろ。ん?作業服?)


咲子の前を正洋が向かい側から歩いてくる、咲子の注意が向いたのは正洋の格好である。衣服としておおよそ日曜の昼前の歓楽には似つかわしくない格好なのだだ。正洋は作業服の上着に、パンツスタイルであり、腰の左右に腰袋がつるされていた。咲子の見た限りでも正洋は真剣な顔つきであるいている。最近は慣れ親しんだからか、咲子は正洋に声をかけた。


咲子「おーい、正洋くーん」


咲子の声掛けに正洋はすぐに気が付いたのか手を挙げ近づいてくる。


正洋「ああ、宇田川さん。こんにちは、一人なの?」


咲子「うん、そう。正洋くんも?変わった格好だね?」


正洋「ああ、今日はね、これがいいかなって」


咲子「何?作業服」


正洋「そう、作業服と清掃用ズボン」


咲子「掃除?」


正洋「いや、市街地攻略」


咲子「ほえ?市街地攻略?」


正洋「そう。今日は武蔵小杉がテーマ」


咲子「テーマ、何するの?」


正洋「これを拡散させる」


そういって右腰の腰袋から何かを取り出した、咲子がみるとQRコードのようだ。


正洋「そう、これ」


咲子「QRコード、何これ」


正洋「ラミネート加工してある。これを設置する」


咲子「何するの?」


正洋「正確にいうと、設置工程を実際に履行することによって課題や結果を見出して筆記するんだよ」


咲子「書く?ああ、論文?だっけ」


正洋「そう、実際にやる必要がある」


咲子「あ、あるよあたしもらったQRコード」


といって咲子は財布からコードをとりだした。


正洋「ありがとう。読んでくれた?」


咲子「ごめん、まだ。よし、読もうかな」


正洋「それじゃいってくる?」


咲子「えへへ、じゃああたしはそこのカフェテラスで読んでようかな」


正洋「そう。じゃあとで」


その返事に咲子は誘われたかと距離感の変化を意識したのであった。

その後、正洋は歩さりビルのテナントに入っていった。別れた咲子はカフェテラスでドリンクを注文し

すこし呆けたあと、以前、正洋からもらったQRカードをスマートフォンで読み取り、ページ内の添付されたPDFファイルをスマートフォンにダウンロードし読み始める。


咲子(ええと、今日、市街地攻略?してるんだっけ、これかな。何々、市街地攻略 大倉山攻略戦?)


咲子がスマートフォンでPDFファイルを読んでいく。読み進めながらドリンクを飲み干し、途中、追加注文をした。

PDFファイルの内容は咲子はおおよそ理解ができた。ページ数として7ページであり、さほど長くもなく30分正味で読破することができた。咲子の中で、内容に関する思案が始まる。


咲子(ええと、正洋君、今日、これをしてるんだっけ。大倉山が舞台だったけど、今日は武蔵小杉、か。要するにいかにしてQRコードの情報を拡散するか、がテーマなんだよね)


その後、QRコード内のリンクにあるもう一つの添付ファイルをダウンロード読み始める。PDFファイルであり、タイトルはこうなっていた。


「ビラの配布活動と拡散効果の最適化」


次のドリンクをすこしずつ飲みながら読み進める咲子、すこししておおよその内容は理解することができた。


咲子(時期は、大倉山よりも前か、ええとビラの配布活動と進行により気付いた、拡散効果?の回答なのかな?これ?へえ、元住吉の商店街に回覧板があるんだ。はぁ町内会長を通せば差し込める、か。)


読み終わった、2つのファイルの内容を思案して消化する咲子、すでに小1時間は経過していた。


咲子(ふむふむ、うーん、大丈夫なのかな正洋君、少し心配)


そう考えると、カフェテラスのドアが開き、先ほど声をかけた少年が入ってくる。正洋だ。咲子が気づいて手を挙げる。咲子を見て、正洋がかるく合図の手を挙げる。すこししてアイスコーヒーを持った正洋が近づいてきた。


咲子「ほれほれ、こっちこっち」


正洋と相席になる。


正洋「ふう」


咲子「どうでしたかの?」


正洋「つかれたよ」


咲子「したの?市街地攻略?」


正洋「した、終わってみると疲れるね」


咲子「読んだけど、要はQRカードの情報をいかにして拡散させるか?なんだよね」


正洋「そう。すこしずつ方法の最適化されているかな」


咲子「実際にやる必要あるの?」


正洋「うん。あるんだ」


咲子「ふーん」


正洋「書いているのが論文だからね、小説といった創作とは違う、実際の事象を書くんだよ」


咲子「そっかぁ。読んだけどちょっと固いかなぁ、もうすこし、こう軽いもの」


正洋「ラノベ、とか?」


咲子「うん、そうそう。そうだね。」


正洋が疲労からか、すこし息を吐くと軽い感じで口を開く


正洋「それも、いいかもね」


咲子「今日のも書くの?」


正洋「書くよ、添付するから」


咲子「そっか、更新したら教えてね」


それから正洋ととりとめのない、話をする。学校の話とか趣味の話とかである。論文を書いているという正洋であるが、咲子の予想外にアニメーション作品もたしなむようだ。少々の時間、咲子として楽しさを感じられる時間がながれる。気が付くとお昼の時間になっていた。


咲子「えへへ、今日、お目当ての店にランチに行くんだ?正洋君は?」


正洋「どうしようかな、・・・付き合っていいかい」


咲子「え?いいよ、いいよ。」


咲子(あれれれ、なんかデートみたいになってきたぞ。あれ?もうかな?)


その後、咲子のお目宛ての飲食店でランチを共にした二人であった。正洋は疲労しているのか、声として覇気があまりかんじられなかったが、咲子と共にランチの時間を過ごす。その後として、飲食店の外でわかれ正洋は去っていった。


咲子「ばいばーい」


正洋「うん、またね」


咲子「あいよ、学校でね」


咲子(うーん、おもいがけずに軽いデート?になってしまったぞ、正洋君大丈夫かな。今日のも書くんだっけ?書いたらまた教えてくれるのかな)


そう感じ、その日の時間を一人で過ごす咲子であった。

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