第16話:解体現場って変?

 日常研究会の活動は学校生活の中にはる張として有意義としてであることを咲子は見出しつつあった。流行としての日常研究、そして非日常への注意。どちらも遊びと研究としての活動として行われ、ほどほどの忙しさとして咲子の中で消化されつつある。過去の卒業生の残していった参考書や報告書を目にする機会があったのはよかったと一年生メンバーで話しつつある。普段の生活では率先して入手しない情報に触れる事は咲子の中では適度な刺激として消化されていった。


本日の時刻は週末土曜の昼下がり、この日は咲子達は同級生何人かとグループでセンター北駅周辺の繁華街で遊びに出かけている。活動報告として取り上げたタピオカミルクティーの店は少し前に回ったし、流行りの映画も見よう。これは映画の感想として活動報告に残し、研究会の皆で共有するつもりだった。


女子A「映画面白かったね」

女子B「うん、トム、まだまだ若いね」

女子C「咲子、何してるの?」

咲子「うん、メモメモ、忘れちゃうかなーって」

女子A「ああ映画の感想ね、記録つけてんの?」

咲子「うん、そう活動報告もしようかなって」

女子B「ああ。日常研究会だっけ?どんなことしてんの?」

咲子「えーと、日常に連れ添うものはなんでも体験、報告ってかんじかなぁ」

女子C「ふーん、ま、結構忙しくしてるって言ってたもんね」

女子B「咲、が有意義にすごせてるならいいかなー、あたしはへとへとだよ」

女子A「体育会系はね~」


本日は律子は自宅で動画を視ているとの事で参加はしていない。グループとしての輪により休日を有意義にすごそうとしている4人は次はお昼を食べようか彷徨っているところであった。


女子B「何、たべようかね・・・んーと」

女子C「あの、さぁ?あれ?あの人?」

女子A「あれ、クラスメイトだよあれ?」

咲子「ん~?」


女子4人の目の先には、音を立てている空間が目に入る。どうやら店舗だった存在であるようで、すでにそれは亡骸のように解体されかけている。解体現場のようで、作業服を着た男たちが忙しく作業をしている。重機を動かす者、放水をするもの。トラックに乗っているもの。ガラだろうか破片類が入ったガラ袋の口を縛っているものなどである、その中に咲子も見知った顔があった。律子、美子と共にお茶をして懇談の場を設けたアメリカ人ハーフの男子生徒、ファイールズ・明である。


女子A「あれ、ファイールズ君だよ、確か」

女子B「クラスメイト?何してんだろバイト?

咲子「バイト、かなぁ」

女子C[何あれ、ガラ運んでら。キツそ」


4人が少し接近してしばらく傍観する。現場の作業は声としては張り合いではないものの、お互いの意思疎通としての掛け声が混じり音と共に進行していく。解体されていく店舗周辺には養生膜としてのシートが貼られ粉塵が周囲に飛び出ないようになっている。咲子達が視ていると現場監督と思える男性がファイールズに話しかける。


現場監督「明、やれるか?」


明「ハイ!行けます!」


現場監督「何本だ!」


明「二本分でいける!」


現場監督「良し、やってよし」


明「やってよし!」


その会話を聞いて咲子たちはなんだろうと感じていると、ふと明が視線そそらした先に咲子達がいたようで、一瞬の驚きの表情の変化が明に起きる。数舜の後、明が笑い、右て親指を上げたサムシングポーズを見せた。


咲子「あ、気づいた明君?」


女子A「ああ、うん」


女子4人が手をすこしあげ振る。それを見た明はやる気がでたかのように声をだし現場の中に入ってい行く。それと行き違いに現場の人員が現場入口付近に集まりだす。重機に乗っていた作業員も降り、入口へ移動したようだ。


咲子「あれれ、入口に集まってるぞ何が始まるんだろ」


女子A「なんだ、なんだ」


女子B「作業終わり?でも一人入っていったぞ」


女子「クラスメイトの子だけ?なんだろ」


少しすると、ファイールズが戻ってきた現場入口の現場監督に対して口を開く


明「チェック完了、良し!」


現場監督「チェック完了、良し」


それから取り出した無線で何か言葉を話す現場監督。明は現場入口で直立に立っている。


「作業準備よーし、安全確認よーし、発破爆破よーし」


そんな声が聞こえたと咲子が認識した刹那、ドン!という擬音の音が発生する。それほど大きな音ではない。そして何かが崩れ落ちる音と主に、多少の粉塵が待ったように見えた。


「発破爆破よーし、安全確認問題なし」


現場監督「よし、グッド!明、ナイス」


明「イエッ!」


現場監督にサムシングポーズをする明。4人娘たちはなんだったのかいまだによく把握できずにいた。


女子A「行く?」


女子B「ああ。うん。仕事してたね」


咲子「してたね~発破爆破かなぁ」


女子C「発破爆破って・・・いやぁ」


4人娘たちは話ながら現場を離れていく、咲子が目を見やると明を含めた作業員たちは円を囲っていたようだ。明の姿が見える、皆に説明をしているかのようであった。


そのあとは4人娘はお昼のランチに中華料理を選び時間をかけて食べた。話の中でファイールズの話題も出ている、どうやら咲子を除いた3人の内、何人かは若干引き気味であり、明の将来の多少の心配を口にしていたようだ。

昼食も終わり、テナントビルのゲームセンターで時間をつぶし、楽しく時間を過ごす咲子達。時間はあっという間にすぎ、満たされた有意義な時間をつかったと咲子達は感じていた。


咲子「それじゃーねー」


女子A「はーい、今日は楽しかったなー」


帰り道、別れ別れに成る4人。咲子は最後の一人とあいさつをし帰宅の路に着く。今日の時間を振り返りながら、上機嫌で歩く咲子。いつもの通りすぎる公園の横切る最中に、一人の少年を見やる。明である。上半身タンクトップでベンチに腰掛け呆けているようであった。脇にはバッグがある。咲子は立ち止まり少ししてから近くの自販機に立ち寄り二人分のコーヒーを購入。休んでいる明にちかづいたのであった。


咲子「明君、おつかれさま。終わったの」


明「え?ああ。宇田川さん?」


明のイントネーションは外国訛りがない。流ちょうな返事である。


咲子「お疲れ、はいどーぞ」


と明にコーヒー缶を渡す。明が笑顔を浮かべ受け取る。


明「ああ、くれるの?じゃあとなりへどうぞ」


咲子(お?なんだ?なんだ?誘われた?考えすぎか、まあいいや)


咲子がベンチに座っている明の隣に座る。


咲子「お疲れ様、明君。バイトだったの?」


明「え?いやまあそんなところかな」


咲子「でも珍しいね。現場作業でしょ?きつくなかった」


明「そうでもないよ、もう慣れた、そっちは遊び?いいね」


咲子「うん、仲のいい子たちとね、えへへ有意義でした」


明「そう、それはよかった。こっちは少し疲れたかな」


咲子「途中で変な音したね」


明「見てたか。うん。爆破した。」


咲子「えーと、それは・・・」


明「発破爆破」


咲子に少しの沈黙が入る。やはり発破爆破だったようだ。


明「店舗の一部おね、火薬をつかって爆破したんだよ。親方にもその方が時間の短縮になるって言って」


咲子「明君の発案なの?」


明「そうだよ、それができるからこその仕事でもある。物が崩れ落ちる瞬間とよい結果を見るのは快感だね」」


咲子「でも、まだ私たちわかいよ?大丈夫なの?」


明「大丈夫さ。楽しい」


咲子「楽しんだぁ。へえ」


明「そっちも楽しいから遊んでいた、そうだろ」


咲子「ええ、うん。楽しかったよぉ」


明「僕もさ、身に着けた知識と現場ごとの判断。使用する火薬をもちいた効率的な爆破と結果。楽しいよ」


咲子「そうなんだぁ」


明「ま、おすすめはしないけどね」


明がコーヒー缶を飲み干したようで。空きとなった缶をいじりだす。


咲子「それじゃ将来、そういった道を選ぶの?」


明「そうかなぁ、まあ悩むときはあるけどね、宇田川さんは?」


咲子「あたしは、まだ。勉強中でっす」


明「なるほどそうか」


その後、明と咲子はしばしの間。雑談をして過ごす。明はフランクな口調で咲子を楽しませようとしているようであった。咲子も

すこし意識しないわけではないが、やはり明は多少異性として接しているかのような態度にはまだ困惑としての感覚があった。


咲子(明君、なんか扱い私を女性としてあつかっているよね。でもなあ、みんなに対してでもあるよなあ)


咲子「えへへ、それじゃ帰るね。明君今日はお疲れさま」


明「ああ、また。今度もお茶しようね。いつもの3人でいいよ」


咲子「えへへ、いやぁ。まあ考えときます。」


明「楽しくすごせればいい」



そうして咲子と明は別れに着く。咲子は帰宅してからその日のあったことを日記にまとめる。映画の感想を含めて忘れないようにしないと。その日の夜、湯舟に浸かる咲子の頭の中では、将来の進路としての心配と明の方向性に関しての一般的な評判に関してがよぎていたのであった。


咲子「発破爆破かぁ、うん。まあ、おかしな仕事ではないよね。うんうん でも、二ッチかな」

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