第11話:石坂正洋の章 論文筆記

幼き頃からとしての習慣は「読書」であった。「怪奇」、「伝記」、「ファンタジー」、特段「推理」その深度は浅くの販促物から深度を増し、忘我にいたる没頭として文章の羅列をたたき込んでいた。作文としての自己の表現は、不得手とする。理由としては、手動による筆記は継続性と偏執性に難があったからだ。貧富として恵まれずの環境であったがワードプロセッサーの入手により、培った知見は別の形により発露される。工学論文。己の形、それは思考を深める形の表れ、構築の喜びを正洋に与えていた。時として15歳、精神としての深度は自覚としては確認未明であるが、その状態の変化による心境の励起は、冷静にそして状態の継続性としての己を見つめていた。異性としての眼差しは、羨望の設定を含め、自然とした接触としての対話に注意を払うも、欲情としての行動群の周囲がそれをつきはなすのか。今日も刹那の対話の機会を楽しみに注意の意識は向いていた。

正洋としての自我は、日々の文章の構築群を成している。未だ学びの徒。学生としての可能性の岐路は麓であり、淡い期待と失望への未来を実感せぬ年頃。以下としてが正洋のワードプロセッサー内に保存されているテキストである。


『自分としての未来は、先行きとしては不安視がある。学問としては優秀とは言えず、己の嗜好の結果も自己実現の道筋に伸びてはいない。日々の糧としての活動の継続の中で齢を重ね、日々の疲労と緊張の状態を周囲への刺激を成さぬようにの耐えの精神により過ごしていくのだろうか。』


以上である。学徒としては高等学校1年、日々の学びと触れあいの可能性の意識に収めるも、自己としての形は、結果として理解を認知にいたらぬ頃、周囲の意識はいかように自分を向き、思案してくれいているのか。判断未明であった。


咲子「ねえ、律子。お昼どうする」

律子「今日は、美子と多部に行こうか。」


お昼の休憩として咲子は律子のクラスに行き、中まで入る。律子をさそってランチを取るつもりだった。

最近として仲の良い関係性を構築しつつある、「手塚美子」。陽気で屈託のない物言いをする女子生徒だ。日常研究会に入部を決めた理由として


美子「めんどくさくなさそう。遊びに行くのも活動なんでしょ」


と発言しており、事実研究部に入ってからは貯蔵されている雑誌を読んだり、遊びに行ったりしている。自身の友人たちと遊びに行くことが多いようで、咲子達も誘われることもあり、ときどき参加することもある。活動の報告も影山達の指導でなんとかこなす姿勢を店いている。話していて楽しいし咲子達も同伴は好ましく感じていた。


律子「じゃあ美子誘おうか、でもすでにグループ作ってるかも」


咲子「美子ちゃんは、ど・う・か・な・と。ちよっと覗いてくる」


咲子が美子のCクラスを覗きに行く、すこしいて戻ってきた。


咲子「まだ授業やってる、覗いたら指で〇作ってたから、いくでしょお昼」


すこしして、美子がBクラスに入ってきた。


美子「ごめん、まった、じゃあお昼食べに行こうか」


三人として学食へ向かう。別にこれとって人気メニューのある学食であるわけではないけれど、定食類などの食堂内で食べるメニューは列を並ぶ時がある。併設された売店にはパン類やおにぎり類も売っており、三人として本日のお昼は何にするか迷っていた。


美子「何にしようか、おしゃべりもしたいし食堂内でってのもなぁ。」

律子「5限にはクラスに戻らないといけないし、今日は売店で買って、咲子のクラスでたべようか」

咲子「そうする?まあ、しゃべりすぎて遅刻もやだもんね」


三人として食堂に併設された売店を覗く。すこし遅れたからか別段列が並んでいるというわけでもない。

咲子、律子、美子としてパンとドリンクを購入する。美子のパンは総菜パンが3個だ。


律子「そんなに食べるの?美ちゃん」


美子「まあ、これぐらい食べないとね。腹すかすのもやだし。戻ろうぜ」


咲子「私は2個かなぁ。牛乳にしとこ、栄養栄養」


三人として各々のパンとドリンクを購入してクラスのある棟に戻る。咲子のクラスに着き、咲子の周囲の生徒に断りをいれて椅子を移動させ食事をし始めた。


美子「今度、雑誌に載っていた、タピオカティーの店にいこうや、飲んだことないタピオカ」

律子「うーん、下校に寄れる場所で店があるのはいいなぁ、甘いのにしとこ」

咲子「いいね、いこ」


三人としてとりとめのない話題をしながら食事を勧める。咲子は頭の中で日常研究会での活動報告にするか検討していた。

一応として新規にオープンした店で流行の体験にはなるだろうかと考える。


咲子(遊びに行って、感想とか報告書にまとめればいいんでしょー~、部の冊子でやってみたいのもあるし、いついこうかな)


美子「あれ、あんた石坂君でしょ、お兄さん学校代表で話してたっけ、何してんの?)


会話の中で美子が咲子の左隣の生徒に話しかける。食事中の配置として咲子の右隣が美子、向かいが律子だ。美子の視線のすぐ先には石坂正洋がいた。正洋は食事をすでに終えているのか、ハサミで何かを切っている。咲子は左隣の正洋をみると妙な模様の羅列を切っているようだ。入学式以来、正洋とはたまに話す。真面目な男子生徒といったかんじだ。軽いのノリではない。


咲子(なんだろ、あれ。)


美子「なになに、見せて?あーQRコード?これ」


正洋は特に嫌がるでもなく、答える。咲子の目からみても正洋は特に悪意もなく分け隔てなくやりとりができて、そろそろとして安心感を以って接することができつつあった。


正洋「そうだよ、QRコード、もしよかったら読んでくれる。別にいかがわしい内容じゃないよ」


美子「なんのためにやってんの?それ?」


正洋「宣伝、かな。僕のかいた物、結局読んでもらわないと始まらないし」


咲子「ああ、論文かいてるんだっけ、そういえば、どんなんだっけ?」


律子「論文?難しい内容なの?」


美子「ほぉーどれどれ、切ってあるのね。」


正洋「そう。配布するつもり。投函もしようかな。宣伝ページに添付してある」


そう言って、正洋は三人にカッティングしてあるカードのようなものを受け取る。どうやらラミネート加工してあるあしく固い感触だ。カードになっている。


律子「QRかぁ、読み込めばいいの?」


正洋「そう。変な内容じゃないよ、大丈夫」


美子「ほう、どれどれお姉さんが見てあげる」


美子がQRコードをスマートフォンで読みこむ。美子が手元をスマートフォンの指を動かすのが咲子に見える。

しばらくとして美子が操作をしているのを咲子と律子が眺めていた。正洋は、まじまじとして美子を見つめている。


美子「ふんふん、PDFね。保存していいんでしょ。・・・ほう、書いてありますねぇ」


律子「内容はどうなの」


美子「うん、特に。エロい事とかない。自己紹介と、ええとPDFが添付してある。説明もあるな。読めばいいのけ?」


正洋「そう、もしよければ感想がほしいかな。反応が気になる」


内容に問題がなさそうとして、咲子と律子もQRコードを読み込む。スマートフォンで読み込んだ画面には

アプリによるページが表示される。


咲子(これは、なんだろeverynote?、ふむふむ宣伝としてページ・・か)


律子(なんだろ、これ。石坂君?の自己紹介、かな?)


以下が、読み込まれたページの最初部に記載されている文章である


**************************


初めまして、石坂正洋と申します。この度はわたくしの宣伝ページを開いてくださってありがとうございます。

本ページでは、私の執筆した論文が添付されています。ご拝読の末、感想をいただけたら励みになります。

随時更新として添付する予定ですので、このリンクを確認していただけたらと思います。


**************************


ページ内は以降、ファイルが添付されている。PDFファイルのようだ。ページ内で表紙らしき画像と解説文が記載されている。

今のところろ添付されているファイルは2点のようだ。タイトルとして主題。解説、添付ファイルとなっている。咲子の目にはすこし理解が追いつかない文字がとびこんでいる。主題としては以下のものであった


主題:ビラによる配布物の拡散効果の最適化とその影響


主題:市街地攻略 ~大倉山攻城戦~


咲子「なんだろ、これ。市街地攻略?そういえば以前、言っていたっけ?」


しばらく時間が過ぎる。美子はその指のスライドする速度からまずは全体を通して視ているようだ。

律子はスマートフォンを水平に近い角度にして覗き込んでいる。いかがわしい内容か警戒しているのだろう。

どちらかというと呑気と評される咲子は無警戒に指をスライドしている。美子と同様、熟読ではなく、全体の確認をしている。


美子「ほうほう、なんか真面目な内容ですなぁ」


正洋「そうだよ、添付してあるからダウンロードしてくれる。読むのは時間があるときでもいいから」


美子「じゃあ、そうしよっかな」


律子「うん、問題ないみたい。」


咲子(どちらも10ページ前後か。これが書いてる論文?かぁ)


正洋「よろしく、QRコードカッティングしてあるからどうぞ。知り合いとかに渡してくれると助かります」


美子「いいよ、いいよ、OK!」


三人は正洋からカッティングされたQRコードを受け取る。それぞれ5枚は受けっと太郎か。律子は枚数を数えている。


咲子(まあいいか、智樹とかにも見せればいいかな?家族じゃもらった一枚を持ち回りでいいか)


その後、しばらくとして正洋も加えて話をしていた。美子とも遠慮がちに話す正洋。まじめで実直な姿勢が伝わってくるのを美子は感じた。すこしして目線は正洋の首から下に移動する。


美子(??あれ、よくみたらごついな、こいつ)


美子「石やん、なんかやってる?よく見たらごつくね?」


咲子と律子も気づいている。正洋の体型は、一件すると太っているよう身も見えしかし、肉付きとして全体的に厚く感じら得るのだ。それが筋肉が含まれている事に咲子達は気づいていた。


正洋「そう、かな。まあ筋トレとかしてるよ。プッシュアップ50回10セットとか。」


美子「ほぉ、やりますなぁ」


律子「そんなに?」


咲子「鍛えてるんだぁ、鍛えるとこうなるんだね。」


正洋「筋繊維は太くなるからね。膨張させてみようか」


正洋はそういうつ。腕を斜め下にして、力を籠める。筋肉のラインがはっきりとよく見える。制服の下でもその筋肉量が平均よりもあるのがわかる。


美子(やるねぇ、へぇ~)


咲子・律子「おおぉ~」


律子と咲子が軽く拍手をする。正洋の鍛えた肉体を素直に称賛した。性格も悪くと感じられず三人は以前よりも好感をもったようであった。その時予鈴がなる。あと5分で5限の授業は始まるだろう。三人は既に食事を終えている。


美子「じゃあ石やん、読んどけばいいのけ?」


律子「いいよ。わたしも。隣の席の子に配ろうかな」


咲子「石坂君、よんどくね」


正洋「よろしく」


そうしてその後の時間の経過として、一年Aクラスの生徒、石坂正洋の筆記物に関して徐々に知られていくことになる。

三人として後々に気づいたが、QRコード内のページの最後に画像が添付してあり、それは添付されたページ自体のQRコードらしく、拡散用に添付してあるようであった。石坂正洋15歳。その筆記技能としての形の2稿によりすこしずつその存在を知られていくことになる。


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