第7話:部活動感想会と帰宅道での発破爆破

この日は、帰りとしてケーキを食べに駅に併設されたチェーンの喫茶店により感想会を開いたのであった。やはり毎日遊んでいてはお小遣いにこころもとなさはあるか、咲子として懐に注意はむきつつも本日は部活動見学会の感想だ。律子と喫茶店にケーキとドリンクを注文しておしゃべるも交えて検討会を開いたのであった。


咲子「さて律子さん、どうしましょ部活」

律子「うん、興味もてそうなのは大体まわったよね」

咲子「体育部は、なぁ~ちょっとヘビーなのは。別に体力つけたいわけじゃないし。」

律子「私はパスかなぁ、一応付き合ったけどね。」

咲子「体育部はパス?」

律子「パス?」

咲子「パスかなぁ~優先順位としては後回しね」

律子「文化部は、まぁ。手芸部なんかは」

咲子「同じ下手でも美術部とちがってあんまり恥ずかしくなさおそう、巧い人に教えてもらえばいいし」

律子「女子の割合も多い、まあよし、かな。美術部は私もパス。」

咲子「どうするアニメ部?どちらかというと同族ですけれど」

律子「・・・うん、考えるよねぇ、まあ三年間アニメばっかりみてもしょうがいないけど・・咲子はどうしたいんだっけ」

咲子「なるだけなら、楽しく過ごしたいなぁ、あまり大人数だと流されちゃいそう・・・かといって帰宅部の楽しさもいいけどさぁ」

律子「料理研究室は、まあありかな。料理もうまくなって、つまみ食いとかできそう。」

咲子「うん、それはね、候補として有り、私としては・・・最後の日常研究室が気になるかなぁ」

律子「うん、私もね、悪くはなさそうだった。人数少ないけどね」

咲子「とりあえず、最初は引っ張ってもらっていくとしても、流行とか、旅行とか行ってみたいなぁ」

律子「他の部はどうなんだろね、その辺。活動は、日常のまつわることの勉強、経験かぁ」

咲子「部費はそんなにでなさそうだけど、どうだろ資料を読む限りは。」

律子「結構ね、カテゴリごとに体験記みたいな感じ、まとまってる。変わったこともやってみるんだって、取材もするのか。なんだろ

この、三国志マニアと対談?って。」

咲子「なんかニッチのところみると。動画サイトの「やってみた」みたいな感じだね。まあ、何にはまるかわからないけど。」

律子「動画も撮っているのかな~」

咲子「ありえるかも。別にそんなに抵抗感ないけど、どうだろ。日常、非日常の研究かぁ」

律子「気になる?」

咲子「うーん、楽しく過ごせるかなぁ」

律子「色々教えてくれそうだけどね。影山さんと大越さん。二人とも成績よさそうだし」

咲子「うーん、有り?ということで」


二人の相談は進む、今のところ「手芸部」「料理研究会」「日常研究会」が二人にとって有望のようだ。

その後は二人としてとりとめのない事を話をして時間は進む。部活動は申し込み用紙を提出してから仮入部に1週間ほど設けている。複数の部に平行して入部することは可能で、当人の第一希望の部に入るのが大体の決まりである。


二人として部活動入部は自宅でよく考えるとして帰路についた。帰宅の最中も二人でとりとめのない話をして歩く。

学校の事、部活動の見学の事、今見ているドラマや、楽しんでいる話題の話など尽きる事はない。そうして歩いていると、よく通り、顔見知りの山田夫妻の家の前を通ったときである。犬を飼っている老夫妻であるが、庭に夫婦とすこしはなれて柵につながった犬のポンタ。そして少年と思わしき風貌の人影があった。旦那である、吾郎の声が聞こえる。


吾郎「確かに、こんなんでいいのかい?」

少年「ええ?これでばらせます」

吾郎「火薬を使うと言ってもわずかなんだね」

少年「これで十分ですよ、特に問題ない量です。これで十分」

吾郎「こんなんで壊せるのかねぇ」

少年「大丈夫ですよ。僕としても練習になるんで」


咲子は昔からよく知った老夫婦である。柵越しに思わず声をかける。


咲子「おじいさん、なにしてるんですか」


律子も併せて頭を下げる。


吾郎「ああ、咲ちゃん、律ちゃんもか。こんにちは。帰りかい」


咲子「こんにちは、ところでそれは何を」


二人の視線の先にはほどほどの大きさの犬小屋がある。主のポンタはすこし離れて柵につながっているから中は空だ。からの犬小屋に細い糸、のようなものが巻き付いて伸びている。2メートルほどだろうか。少年がかがんで目視でチェックしているかのよううだ。


吾郎「ああ、いやね。この犬小屋、ふるくなってさ。壊そうとおもったのよ。でも、ちょっとでかいだろ。壊せないかと思って、この子にやってもらおうって話でさ。火薬で壊せるんだと」


咲子「壊すの?火薬?」


チェックしながら少年が二人の会話に割ってはいる。


少年「壊せます。発破爆破で壊します。僕の練習にもなる」


咲子「発破!?何それ」


律子「ニーッチ」


律子咲子と律子が思わす口に出す。


吾郎「ファイールズ君、発破爆破できるんだってよ。この方が楽だってさ。」


ファイ―ルイズ「火薬の量もわずかですし、問題ないですよ。手道具を使って解体するのも疲れますよ。」


咲子(ファイールズ?ああ、確かに外国の人、なのかな。あれ、二日前に写真撮ってくれた人だ」


咲子「こんにちは、入学式の時の人?面白いことするんですね」


ファイールズ「ああ、カメラで撮影した時の?どうも。僕はファイールズ・明です」


吾郎「じゃ、やってもらおうかね」


それから、犬小屋の発破爆破の手順が始まった。すでに火薬は準備しているのか、導火線をすこし伸ばす。犬小屋は庭の中央に寄せられていた。伸びた導火線は地面にそっており。明が中腰になりチャッカマンを取り出している。


明「それではいきます」


カチっという音と共にチャッカマンに火が付く、導火線に火が燃え移り、伸びていく。ほんの数舜だろうか。

ボウッという音と主に。犬小屋が、屋根から中心にむかって崩れていく。一瞬の間に犬小屋は崩れていた。軽く煙が立っただけで特に破片も飛び散ってはいないようだ。


吾郎・咲子「ほぅー--!!」


明「グッド!!成功だね。さすが僕」


明が親指を立ててサムズアップをした。律子も、ほぅ、と息を吹いている。


吾郎「いや、発破爆破なんてできるもんだね。あんな火薬の量で、花火からばらしたのかい?」


明「まあ。そんなところです。本日はありがとうございました。後片付けはおまかせしていいんでしたよね」


吾郎「ああ、ありがとう、それじゃお礼わたさないとね」


吾郎がポケットから封筒を取り出すと明にわたす。お礼金だろうか。


明「どうも、それじゃこれからも色々用立てがありましたら声をかけてください。やれることはやってみます。」


吾郎と明が二人として話をして間もなく。明が鞄を以って出てくる。大きめのバッグだ。興味深々と言った感じで咲子が話しかける。


咲子「なんだったんですか、あれ、爆破?」


明「発破爆破だよ、得意なんだ僕」


咲子「どこで憶えたの?」


明「お父さんの仕事の関係だよ、珍しいかな。発破爆破」


律子「珍しいていうか、できるものなんだ」


明「まあね、その辺事は、よく知っているよ」


律子「あの、ところでハーフ?なの?」


明「ああ、父親がエジプト人で母親が日本人だよ。といっても生まれも育ちも日本だから特にハーフとか考えてないよ。

気になる?」


咲子「うーん、そんな事はないよ。いや、いいものを見させていただきました。」


明「この辺に住んでるの?壊したいものとかない?声をかけてくれれば壊すよ」


咲子「ああ、うん。発破爆破で?」


明「それでもいいよ。まあめずらしいかな」


咲子「うん、ニッチ」


明「ニッチ?・・・ああ、いやそうかもね、じゃあ帰ろうかな。僕はC組だけどおなじ学校の一年生だよね」


咲子「うん、そう。よろしくね。ファイールズ君?だっけ?私、宇田川咲」


律子「立花律子です」


明「明でも。よろしく。これから何かあれば、じゃあ僕は帰るよ」


そうして明は立ち去る。咲子と律子二人として破壊された犬小屋をみている。やや大きめの犬小屋が見事に破壊されている。五郎としてばらした犬小屋を麻袋に入れる準備をしているようだ。


律子「じゃあ、私たちも帰ろうか。いいもの見れたかな」

咲子「発破爆破にかける情熱っていうやつなのかな?今の」

律子「ニッチだよね」

咲子「うん、ニッチ。今後影山さんに教えとこうか」

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