第2話

穴に入ると、そこは地面だろう。

そう思っていた、思っていたのだが。

視界は空色で埋め尽くされている。ついでに白い雲らしきものが見える。ついでについでにジェットコースターが落ちる時みたいに内臓が浮かんでいる感じがする!

てか風つよ!顔の肉が持ってかれるんだけど!

頬が取れそう。服も飛んでいきそうだし、大丈夫これ?


「うああああああ!!なに、なに!?」


ちらっと下を見てみた。地面が遠かった。でもなんか地面が近づいてくる。


「いやああおちるうううう!!まって、まじ、まじで死ぬううう!ちょ、だれか、たすけてえええ!!!!!」


高いところは好きだったんだが、トラウマになりそう。いや、もうなってるわ。


人間、想定外のことになるとパニックになるんだな。自分は冷静に考えられる方だと思っていたが、無理。普通に無理。落ちながら考えるのとか日本人にはできないって!


地面が割と近い。てか下に人らしきのがいっぱいいる!待ってこのまま落ちると下の人たち潰れるくね?


「ちょ、みなさん!!!逃げて、早く逃げて!!潰される前に逃げてええ!!」


下に向かって叫ぶが、聞こえてないのか、だれも動かない。ちょっと待って異世界にきてすぐに人殺しとか笑えないんですけど!


あああ、あと5秒すれば地上へ落ちて砕け散る。結構な高さから落ちたからどこから落ちても即死だろう。


神様、地球に住んでる人間て意外と脆いんで、次から扱いに気を付けてください。

死を覚悟して目を瞑ったその瞬間。

ふわり、と風の音がした。おひさまの香りがする暖かい風が吹いた。

内臓が浮く感じもなくなり、肌を圧迫していた空気抵抗も無くなった。

恐る恐る下を見ると浮かんでいた。

空気の上に座ってるみたいだ。この世界もしかして空気椅子とかある?

だんだん地面が近づき、気づけばおひさまの香りを残して風は消え、俺は地面にへたり込んでいた。

腰が抜けたようで立てない。そりゃそうだ、まじで死んだかと思った。


やっと一息つける、と荒い息を整えていると何か飛んできた。

避ける間もなく飛んできた何かが何かに跳ね返えされる。


なに、今度はなんなの!?!?

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平和な異世界へ転移! はるか @haruka0922

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