噴火の後

第8話 初めて神様に祈った

 メグッチと離ればなれになって三十分が過ぎていた。


 落ち着け、噴火の情報が本当ならば第二波は直ぐには来ないはずだ。


素人の知識だが、水蒸気爆発は上がってきたマグマが山の地下水と反応して爆発する現象だ。地下水が無くなれば第二波は来ない。


 夏祭りの会場は。まだ、混乱している。警察に消防、流石にまだ自衛隊は来ていない。


 気が付くと、噴火のパニックでスマホを落としたらしい。これでは誰とも連絡がつかない。


 仕方がない、一旦、家に戻るか。わたしは重い足を引きずりながら自宅に着く。


 ダメだ、父親も居ない。


 とにかく、シャワーだ、全身が砂だらけである。わたしはシャワーを浴びた後にテレビを点ける。流れていたのは特番であった。

『死亡者三人、怪我人多数』


 あれほどのパニックで死亡者が三人なのが救いだ。


 しかし、流れる情報は同じことを繰り返すだけで新たな情報はない。


 うん?どうやら、テレビの情報では自衛隊が到着した模様である。


 正に神に祈るとはこの事であった。わたしは眠れない夜を刻々と過ごしていた。


 すると!


「今、帰ったぞ」


 父親の声だ、わたしは急いで玄関に向かう。


「父さん無事だった?」

「あぁ、この通りだ」

「良かった」

「そうそう、メグッチだが、怪我はないが衰弱しているので病院にいることだ」


 本当に良かった、メグッチの無事にわたしは今度から神様にお祈りをすることにした。

「鉄也、お前もかなり疲れている様子だ、少し、横になれ」

「あぁ、そうする」

二人の無事が確認できて、どっと疲れが出た。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る