第7話 決意
その次の日。
メイドの多々良さんは休みを取っていた。お屋敷の仕事は派遣社員が行うのであった。
しかし、唯一の話し相手の多々良さんがいないのは痛い。わたしは奥様こと、お母様に会いに行くことにした。お母様は今日も自室に閉じこもっている。
部屋の前までくると足が止まる。やはり、気まずい。
「誰?」
部屋の中から、声が聞こえてくる。
に、逃げるか……?
わたしは究極の選択をすることになった。
「はい、メグⅡです」
わたしは勇気を出して、言ってしまった。もう、戻れない。すると、ドアがゆっくりと開きお母様が出てくる。
「なんだ、メグⅡか、主人かと思った。ダメね、もう、仲が冷えきっているわ」
少しほっとしたが、わたしが嫌われている事には変わりない。
「それで、何の用事?」
「い、い、え、わたし達、家族でしょう?少し話してもいいかなと思って」
「何様のつもりなの、わたしの娘はめぐ一人だけよ」
やはり、ダメか……。めぐと言う名は死んだ一人娘のことか。わたしはトボトボと自室に戻ることにした。自室に戻ると窓際に椅子を置き、窓を開けて、外を眺めることにした。
すると、小鳥が二羽、近くにとまる。
「あなた達にも家族がいるのね」
わたしの言葉に二羽の小鳥は飛んで行ってしまった。
独りか……。
多々良さんもわたしの相手をしてくれるのも仕事だからだ。
わたしは決断した。
望めば第二の人生がおくれるらしい。きっと、外からみれば、捨てられたと思われるかもしれない。この孤独を癒してくれない家族なら捨てられたと同じことだ。
こうしてわたしは低額でオークションに出されることになった。
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