第2話 妹と学校に行く

 メグッチを高校に連れていくことになった。仕方がない、着替えるまで待つか。


 わたしの通う高校は『私立南台高等学校』である。地元ではそれなりに有名でサッカーや野球で全国にでた経験もある。


 しばし待つと、上はワイシャツ、下はチェックのスカートだ。赤と緑のストライプのタイが印象的であった。


「可憐だ……」

「はい、可憐です」


 思わず『可憐だ』との言葉に、笑い出しそうなコメントが帰ってくる。更に、メグッチはくるりと一回転して楽しんいる。


 ホント純粋だな。


 わたしは目を細めていると登校の時間だ。


 そうか……これから一緒に登校するのだ。わたし達は近くのコンビニに向かいスクールバスを待つ。


「ここでスクールバスを待つのですね、緊張します」

「大丈夫だ、スクールバスの中はスマホと仮眠する生徒しか居ない。みんな疲れているのだ」


 やがて、スクールバスが到着すると二人で乗り込む。


「高校はここから三十分程度で着く。それまでゆるりとするといい」

「はい、了解です」


 わたしは着くまで仮眠をとる事にした。スクールバスの中は暗黙のルールで静かにすることが求められていたからだ。スマホ組もイヤホンをしている。


 しかし、最近は急速にワイヤレスに置き換わった。


 値段も安くなり高校生にも手が届くようになったのだ。


 うん?


 メグッチは落ち着きがない。窓の外を眺めたり、他の生徒の人物観察などしてる。


「どうした、メグッチ?」

「はい、わたしはベンツしか乗った事がないので興奮しています」


 はい?ベンツ?三千円で落札した少女が?


「わたしは大富豪の家に娘として作られたのです」

「作られた?」

「今の時代簡単な研究所でクローンは作られます。でも、高速成長はまだまだでした」

「それで、要らなくなったので、オークションで売られたのか……」


 確かに大富豪は宇宙に行く時代だ。自分の娘のクローンなど望めば簡単なのか。


 気がつくとメグッチは右腕をさすっている。


 アザがあるが、痛そうである。


「高速成長でわたしの体はボロボロです」


 メグッチは生徒手帳を取り出して。わたしに見せる。


「はい、第二の人生です」


 大富豪の娘から普通の高校生になったと考えられる。よし、今日からわたしの妹だ。でも、恋人にはなれるのかな?そんな事を考えながら。バスに揺られると。わたしはスクールバスの中で寝てしまった。


 メグッチの事が気になり、急いで起きる。良かった、メグッチは隣にいた。メグッチはスマホを操作して、ガイヤなるソシャゲーをしていた。ガイヤは典型的な戦闘アドベンチャーゲームである。わたしは少し驚いた、メグッチはスマホなど持っていないかと思っていたからだ。


 ポケットからスマホを取り出してガイヤを起動する。メグッチにフレンド登録を呼びかける。


「はい、フレンドOKです」


 ガイヤはフレンド登録してもTPことタイムポイントを交換できるだけだ。最近のソシャゲーはフレンドと言っても簡単な関係でしかない物が多いと感じる。残り数分の時間でもメグッチとガイヤで遊べた事は印象的であった。

 

 スクールバスが校内に入ると。降りる準備をする。


「メグッチ、クラスはわかるか?」

「はい、二十三ホームです」


 わたしと同じ?これは大人の事情を超える力が働いたのかもしれない。今の大富豪は学校など簡単に買えてしまうほどだ。わたしはこの世の深い闇の力が恐怖に感じた。

「わたしは嫌です。鉄也さんは笑顔でいて下さい」


 あああぁぁ……。


 少し考え過ぎたか、そうなんだ、今は妹のメグッチと一緒にいたのだ。

 たしは思考を切り替えていこうと思うのであった。

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