ももたろうき
十数年前、あるところに、おじさんとおねえさんが住んでいました。おじさんは、やんまーに芝刈り機を、おねえさんは、家電屋に洗濯機を買いに行きました。
おねえさんが家電屋で洗濯機を物色していると、「どれにしますか、どれもお得ですよ」と、物売りが声をかけてきました。おねえさんが物売りを物陰に連れていくと、中から、おおきなモノが出てきました。おねえさんは喜んで、その、おおきなモノを……。
およそ十か月後、おねえさんは、近くの
おねえさんは、かくかくしかじかと、おじさんにうそ八百を並べました。おじさんは、おねえさんのうそを聞き終えると、もも型容器のふたを開けました。
すると、どうでしょう。もも型容器の中から、玉のような男の子が出てきたではありませんか。
おじさんは、たいそう喜び、おじさんとおねえさんの名前から一字ずつとって、その子を
おじさんは
それから十数年後、たくましい若者に成長した桃田朗希は、すっかりおばさんと化した元おねえさんが作ったきびだんごを持って、村人たちから貴重な財宝を強奪したわるい鬼たちが棲む鬼ケ島へ、鬼退治に出かけました。その途中、さる、いぬ、きじにエサやりをすると、二匹と一羽は、すっかり桃田朗希になついてしまったので、桃田朗希は、しかたなく、畜生どもを鬼ケ島に同行させることにしました。
ところが、現地に到着するやいなや、桃田朗希が餌づけをした畜生どもが、野生の本能をむき出しにして、わるい鬼たちに襲いかかりました。難攻不落を誇った鬼たちの巨大城塞は、たちまち修羅場と化し、逃げまどう鬼たちの阿鼻叫喚が島じゅうに響き渡りました。
わるい鬼たちは、息も絶え絶え、血まみれになって、桃田朗希に命乞いをします。
「も、ももたろうきさま、お、おねげえしますだ! い、命だけは、お、おたすけを! お宝は、ぜんぶ、ももたろ○※▼さまに、さしあげ▲★◇、うぎゃー□●△☆!」
桃田朗希は、鬼から奪った大型トレーラーにお宝を満載し、意気揚々と、鬼ケ島をあとにしました。そして、帰宅の途中、リサイクルショップに立ち寄り、その場でトレーラーに積んだお宝を鑑定してもらい、そくざに現金化して、自分名義の口座に振り込んでもらいました。
その後、さるを動物園に引き渡し、いぬはペットショップに売り払って、残ったきじは、帰宅後、きじ鍋の具になりましたとさ。
めでたし、めでたし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます