第13話 エリカは俺のことを発情期のサルだと思っているみたいです……。
やっと引き当てた大事な王様の地位だからだろうか、エリカは長考していた。しかも、思考が口を通して外に漏れ出している。
「ユキにどこを揉ませたらいいの? まさか、胸? ……ダメダメ。皆が見てるもん。そういうのは二人きりの時にすることよね……。じゃあ腰かな? ……あっ! ダメだ! きっとユキが我慢できなくなってお尻触ってくるに決まってるもん。……なら、逆転の発想で、あえてお尻を揉ませてみるとか? って、それじゃ普通にお尻揉まれちゃう〜」
もしかして俺ってエリカに発情期だと思われてんの? 友人Pじゃあるまいし、腰を揉めって言われたら、ちゃんと腰を揉むさ……。
まぁ、尻を揉め、なんて言われたら、絶対に揉まんが……。
「なぁ、エリカ。お前が誘ってきたくせに命令の一つも考えてなかったのかよ?」
こうは言ったが、俺としては、どれだけ時間を使われようが別に構いやしない。サクサク進むより、時間を掛けてもらった方が無駄に命令される確率も下がって助かるってもんだ。
「ちゃんと考えてたわよっ。でも、皆ですると思ってなくて……。ユキと二人きりで想定してたから……」
(なんだよ、参加者二人の王様ゲームって。誰が命令されるかわからないっていうゲームのキモが死んでるじゃねぇか)
「まぁ、好きなだけ時間使って考えろよ。俺はいくらでも待つから。なんなら一生待っててやる」
「……ユキ。……ありがと///」
いや、そんなに顔を赤らめられても……。別に俺はエリカのためを思って言ってるわけじゃないんだが……。
それに、俺は、お開きになるまで永遠に待っててもいいが、たぶん他の奴らに、そこまでの忍耐力はない。
「エリカさん? 見ていて非常に愉快ではあるのですが、時間は有限ですよ?」
「ご、ごめん。もう少しだけ考えさせてっ」
エリカの奴、さっき自分で言った言葉をそっくりそのまま弥生にお返しされてやがる。
「エリカちゃ〜ん? 早く決めないと廃位にしちゃうよー?」
「エリ姉っ。早くして。ヒナの番が無くなっちゃう。もう犬のマネとかでいいじゃん」
「ま、待って。もう少しで思い付きそうなの、スゴいのが!」
二人も我慢の限界に近づいているみたいだが、折角だし、もうちょっと引き伸ばしておきたいところだな……。
「まぁまぁ、二人とも。エリカも頑張って考えてるみたいだし、もう少し待ってやろうや」
「ありがと〜、ユキっ。待っててね。ユキが赤面して恥ずかしくって恥ずかしくってワ〜ンって泣いちゃうくらいの命令、絶対に思い付いてみせるからっ」
いや、何でだよ。それが庇ってくれた人にすることかよ……。
「ダメダメ〜。いくらユキくんのお願いでも、それは聞けないよ? もうお姉ちゃんカウントダウンしちゃいます。十秒以内に命令できなかったらエリカちゃんの王位を廃しちゃうからね? 十……九……八——」
業を煮やしたアヤ姉がカウントダウンを始めてしまった。
これ以上の引き伸ばしは不可能っぽい。
「ま、待ってよ、アヤ姉〜」
「待ちませーん。七……六——」
「も〜、わかったわよっ。じゃあ、私の……足を揉みなさいっ」
散々、時間を使って、結局、足揉み……。
(ていうか、命令する相手も一緒に言えよ)
「おい、エリカ。先に番号を言え、番号を」
「あっ! そっか! じゃあ、え〜とぉ……。う〜ん……」
やっと命令を決めたかと思えば、今度は番号で悩み始めている……。
透視でもしようと言うのか、エリカが俺の棒をガン見しているが、数字が書いてあるところは手で隠してあるから、まぁ、無駄な努力だ。
「いくら棒の先をガン見したって、わからんだろ」
「んんん……。仕方ない。こうなったら勘でいくしかないわね……」
「こうなったらも何も最初から勘でいくしかないだろうが……」
「……決めた。ユキの番号は……三よっ! 私の勘がそう言ってるわ!」
「…………」
自分の棒を確認してみれば、そこには数字の……。
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