ステータス割り振り

「あっちゃ~。完全にポッキリ折れちゃったんだね?」


「……ああ。綺麗にいっちゃったよ」


 レベルアップするという目的を果たした俺は疾走の短剣が折れた事に気落ちしながらもホテルの部屋まで帰ってきた。

 俺の手に握られている疾走の短剣の柄部分と折れてしまった刃部分を見ながらシルフィが言ってくる。

 それに対して俺は柄だけになった疾走の短剣を握りしめながら頷いた。


 記念すべき? 四十回目のアイアンゴーレムの討伐で完全に根元辺りからポッキリと折れてしまった疾走の短剣。

 アイアンゴーレムに通用しないのはわかっていたから、絶対に当てないように振りだけにしてたのに……。

 これも全部アイアンゴーレムが見たこともない動きをしたせいだ……!

 なんだよあの動き……。ボディプレスしてくるのは知らないって。


【神風】も使ってたから簡単に避けられはしたけど、咄嗟に疾走の短剣で当てにいっちゃったし。


「は~……。どうするかなぁ……。まあ、まだ弓とかのメイン武器じゃなくて良かったけどさぁ」


 というか龍樹の弓が壊れたなんてことは考えたくないな。こんな俺と一緒にレベルアップする弓の変わりなんて絶対に見つからないし、なにより誠三さんに申し訳がたたない。


「それはそうだろうけどさあ……。それじゃあその短剣はどうするの?」


「う~ん……」


 どうしようかなあ……。

 今日はさすがにもう近場の探索者協会の支部は営業時間外になってるだろうし……。

 明日は出来るだけアイアンゴーレムを倒してからボスに挑戦するつもりだったからなー。


 う~ん……。まあ、この巨躯ダンジョンじゃ短剣は使わないからすぐに調達する必要は……ないかな?


 それに、この辺りの探索者協会の支部の武器売り場よりも本部のほうが品揃えは良いだろうし、帰ってからそこで買えばいいか。

 よし。それでいこう!


「とりあえず一回このダンジョンを調べ尽くして帰ってから短剣は探すよ。今は他にやることもあるしさ」


「ふーん。オッケー! だけどいざって時に短剣があればー! とかならないでよ?」


「お、おう。まあ、そこは大丈夫だよ。最悪、もしも近接戦闘する必要があったら【魔法矢】でぶん殴ればどうにかなるだろ」


「……それもそっか……。アイアンゴーレムを魔法で戦ってたもんね」


 そう言いながらうんうんとベッドの上で言ったように頷いた後に横になるシルフィ。


「まあ、そう言うことだよ。それじゃあっと……。ステータス」


 俺はそう口にしてステータス画面を表示させる。


 ------


 天宮楓

 レベル5053

 HP:50550/50550 MP:17681/27285

 攻撃力:5125(+52)

 防御力:5075(+12)

 俊 敏:18650(+13582)

 器 用:5230(+152)

 精神力:16480(+11422)

 幸 運:50

 BP:45

 SP:3395

 スキル:【魔法矢Lv.30】【弓術Lv.30】【鷹の目Lv.10】【アイテムボックスLv.20】【捕捉Lv.20】【鑑定Lv.10】【MP増加Lv.20】【MP回復速度上昇Lv.20】【短剣術Lv.20】【索敵Lv.30】【隠密Lv.20】【状態異常耐性Lv.20】【予測Lv.30】【回避Lv.30】【金剛身Lv.20】【神風Lv.20】


 ------


 えっと……前回確認した時が4398レベルだったから655レベル今回のボス周回で上がったのか。

 かなり上がったな。


 MPは今回結構使ったからまだ回復しきってないか。

 まあ、さすがに明日の朝までには全回復してるだろ。


「それにしてももうすぐ俊敏のステータスも20000になるのか」


 レベルも5000の大台に乗ったし、巨躯のダンジョンみたいに相性の良いダンジョンを選ばなくても普通にBランクダンジョンに潜れるな。


 Bランクダンジョンの適正レベルが5000だったからな。

 まあ、それを過信することはないけど。


「これでシルフィの仲間探しも楽になるかな?」


 とりあえず協会が定めてる適正レベルには達したし、地道にシルフィの仲間は探していこう。

 これより上のAランク以上のダンジョンとなるとゴールド資格が必要になるしな。

 まずレベルも足らないし。


「ま、気を取り直してSPでも割り振りますか」


 どうするかな~。

 明日のボス戦のことを考えると、【魔法矢】とか【捕捉】のユニークスキルのスキルレベルを上げたい。

 一応【捕捉】スキルの方は10の倍数のスキルレベルまでは上げられるわけだし。


 だけど、新しい能力が使えるようになっても使いきれる気がしないんだよな。

 なんだかんだ言って【魔法矢・全弾発射】も【弱点捕捉】で弱点を狙ったりするから結構MPを無駄に使っちゃってるし。

 あれを使いこなせるようになるのはまだまだかかりそうだよな~。


 となるとだ。

 このSPでなんのスキルを取ってなんのスキルレベルを上げるかになってくるんだよ。

 今は特に手に入れたいスキルもないし。


「う~んと……そうなるとこれが良いのかな?」


 ------

【アイテムボックスLv.25】:575SP

【MP増加Lv.30】:1275SP

【MP回復速度上昇Lv.30】:1275SP

 ------


 直接的にはあまり戦闘には関係ないけど、間接的には関係してくるスキルだ。

【アイテムボックス】はアイアンゴーレムを倒しまくったせいでかなり容量を圧迫してきたから。

 ぶっちゃけ倒しすぎた……。いくら売れるとは言え倒した分アイアンゴーレム全部回収してくるのは間違いだったかな?

 まあ、これからも同じようにボス周回する事もあるだろうし【アイテムボックス】のスキルレベルを上げたのは正解だと思う。


 そんで【MP増加】は単純に【魔法矢】の使える回数を増やしたいからで、これは【MP回復速度上昇】も同じ理由だ。

 今回のボス周回では結構MPポーションも使っちゃったし、MPの最大量を増やして回復速度も上げたからこれでMPポーションを使う回数は減ってくれてるはず。

 MPの最大量も結構増えたし、大抵のモンスターは攻撃さえ効けばHPを削り取るなり魔石を破壊出来るだろ。


 SPは270余ったけど、これはまた取る必要があるスキルが出てきた時のために温存っと。


「ん? カエデなんか急に魔力の量が増えなかった?」


「え? 量……? ……ああ、なるほどね。確かに今【MP増加】のスキルレベルを上げたからMPの総量は上がったけど」


 てかさらっと流したけどなに? シルフィは俺のMPの総量が分かるの?


「へ~。ただでさえレベルアップ? で成長が早いって思ってたけど魔力とかもそんなに一気に増やせるんだ」


 うん。やっぱり分かってるな。


 でも、他人のMPの総量は魔法系のスキルを使ってる上位の探索者なら分かるみたいな話をどっかで聞いたし。

 シルフィも精霊っていうぐらいだしそれが出来てもおかしくない……のか?


「やっぱりステータスってのは便利だね! ダンジョンといい、やっぱりあたし達が負けた後に出てきたってのには意味があるんだろうな~」


「そうなのかな? ……まあ、そうかもな。シルフィにステータスとかレベルアップとかは無いんだもんな」


 今回初めてシルフィと戦って気づいたけど、シルフィが倒してもレベルアップしなかったらしいし。

 やっぱり精霊と人間は根本的に違うのか。


「そうそう。カエデと一緒にいて初めて聞いたもん。ステータスとかレベルアップって」


 やっぱりこうしてちょくちょくシルフィの話を聞いてるとふ~ん。って思うことはあるけど、分からないことばっかりだな。


「う~ん。まあ、そこらへんは気にはなるけど考えても結局分からないし、明日に備えてさっさと寝ようぜ?」


 どうやって考えても情報が足りないし、なによりボス周回でダンジョンから出るの遅かったからもう眠いんだよな。


「ん~それもそっか! そんじゃ、おやすみ! カエデ」


「おう。おやすみ、シルフィ」


 さてと……。明日は頑張るかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る