お買い物
「いきなりなんなんですか!」
「……うん?」
これからの動きが出るまでダンジョン探索を少し休むことを決めた翌日。
ダンジョンに潜らなくても、生活用品や食べるものを買いに行ったりなんかはしなければいけない。
武器の扱いなんかは、スキルのお陰でそこまですぐに鈍るわけでもないから、別に良いんだけどな。
なので、俺は夕方に家を出て、いつものようにスーパーで買い物をするためにスーパーに向かっているんだけど……
「ステータスを教えてくれって言われても知りもしない人に教えるわけがない……」
「す、すいません。そういうことです!」
なんか見覚えのある顔の三人が男性や女性が混ざった集団に絡まれているのが見えた。
はじめは、ナンパかなにかかと思ってたけど女性が混ざっているのと、ステータスという言葉に聞き耳を立てる。
すると、聞こえてきた言葉は俺が予想していた通りの言葉。そして、服には描かれていないけど、飾り部分が迷教のマークのネックレスをつけている。
なるほどな。やっぱりこいつらも迷教の信者か。
「…………」
とりあえず、迷教の信者っぽい連中は無視することに決めて、このまま……
「…………」
あっはい。冗談ですよ冗談。
気づかないように、というか気にしないようにはしてたんだけど、絡まれている女の子の一人が無言でずっと俺を見てきていた。
その目は俺にさっさと助けてと言っているようで……
まあ、その視線には気づいたし、目が合ったりもしちゃったよ。まあ、元々見知った顔だし見捨てるつもりもなかったけどな。
「凛!莉奈!杏樹!」
「楓さん!?」
「か、楓さん」
「……遅い」
「悪い、待たせたな。それで、これはどういうことなんだ?」
俺が声をかけると驚いた表情をしたあと、安堵したような顔をする三人組。
そう、見知った顔というのは凛と莉奈、杏樹のことだ。
俺が三人に声をかけると、三人が俺の元に集まってくる。というか俺を盾にするように俺の後ろに移動しながら隠れてるんだけ……っておい。
まあ、それは一旦置いておくとしてだ。
「いや~申し訳ありませんがこの子達は竜の瞳が起こした事件に巻き込まれましてね。今日のところはお引き取り願えますか?」
俺がそう言うと、迷教の信者達はニッコリと笑うと「それは失礼しました」とだけ言って立ち去っていった。
物腰自体は穏やかだったけど、その目は笑っていなかった。多分だけど、あの目は完全にこちらを見下していると思う。
あいつらが完全に見えなくなってから、大きくため息を吐く。
そして、後ろに隠れるように立っていた三人の方に振り向いた。
まあ、助けられたのは良かった──
「ふぅ……さてと、なんで一昨日しっかり事件に巻き込まれたお三方は今ここにいるのかな?ん?」
──けど、こればっかりは話が別だ。
だって、まだ学校が休校になって二日目なんだぜ?
俺としては竜の瞳が18歳を狙っていたのを考えて、少なくとも一週間ぐらいは家で大人しくしてるものだと思っていたんだけど?
「いや、その、ですね」
「ゆ、夕飯のか、買い物に……」
「ん。私達の親はみんな協会の職員だから、ここ最近帰ってきてないから」
「あ~なるほどな」
しょうもない理由なら叱ってから家にまで強制連行しようかと思ったけど、納得できる内容だった。
というか、この三人の両親は協会の関係者なのか。
そりゃあ、あんなことがあったんなら警察と連携する必要もあるから、それの対応に追われるだろうしな。
「だから一人っていうのも怖かったんで二人も一緒に来たんですけど」
「しっかり絡まれたと……」
「……はい」
まあ、一人で来なかっただけまだまし……なのか?
「まあ、いいや。こうなったら仕方がないか。
ほら、俺も夕飯の材料を買いにいくところだから買い物に付き合うからさっさと買って帰ろう」
「やったー!」
「あ、ありがとうございます」
「助かる」
「はいよ。じゃあ行くぞ」
こうして俺は、迷教の信者らしき奴らに絡まれていた三人を連れて買い物に向かった。
さて、今日は何を作ろうか。
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