ボス戦
開いた扉を通って、ボス部屋の中に入る。
ボス部屋の中は、十階層の中ボス部屋と同じようにかなり暗くなっていて、中心の存在が光源になっていた。
まあ、中ボスの双鬼炎と同じだ。暗い部屋の中でボスだけその姿が見えている。
ボスは、双鬼炎と同じオレンジと青色の炎に加えて、水色、緑色、黄色、紫色、赤色の炎の合計七種類の炎が混ざったような見た目の火の玉だ。
だけど、それだけではなくて吊り上がった目にギザギザの口のようなものが形作られている。
さて、そんなボス。
攻撃方法としては、オレンジと青色の炎は双炎鬼と同じだ。
だけどそこにプラスして残りの五つの炎もそれぞれ違う性質の攻撃をして来る。
まず最初に、水色の炎。この炎は、熱を吸熱することで着弾した場所を凍らせることが出来るというものだ。
次に緑色の炎。これは、炎自体は普通の炎と変わりはないけど、この炎の特殊な所は煙の匂い。
緑色の炎の煙の匂いは、アロマセラピーのようなリラックス効果のある匂いをしていて、戦意を無くさせる効果がある。
俺の場合は高レベルの【状態異常耐性】があるから効かないけど、ソロの場合は一番警戒しなければいけない攻撃だ。
ソロで戦意を無くされて一方的に攻撃されるとかマジで洒落にならん。
次は黄色の炎、この炎の特徴的な所はそのスピードだ。
飛んでくる火の玉の速さは、視認することすら困難になるほど。……らしい。
俺の場合は回避系のスキルを持っているからそこまで脅威にはならないけど、普通に戦ったらかなり強い部類だと思う。
そして、紫の炎。この炎は、煙に毒が混ざっていて、その煙で探索者を毒にしてくる。以上!……それ以外特徴ないし。
最後に赤色の炎。この炎は、青色の炎より爆発範囲が広い。
って感じのそれぞれ違う性質を持った攻撃を仕掛けてくる。
攻撃の種類は多いけど、飛んでくる火の玉の色を見ればどの色の炎が来るのかは分かるんだ。
しっかりと見極めて戦っていこう。
「鑑定」
そして、【鑑定】して七鬼炎の強さを見る。
【鑑定】してわかったのは、七鬼炎はBランクモンスターでありながらステータスが強化されてるだけあって、その強さは相当だった。
具体的には討伐推奨レベルが2500ぐらいだと思うぐらいの強さだ。
安全マージンって……なんだっけ?
やっぱり協会は信用(以下略
まあ……
「やっていきますか!捕捉!」
こうして、俺は七鬼炎との戦闘を開始する。
戦闘の始まりは、【捕捉】スキルを使った俺の【魔法矢】による攻撃。
「シッ!」
七鬼炎が攻撃してくる前に、【魔法矢】で作り出した透明な矢を弓につがえて七鬼炎に射ち出す。
射ち出された無数の魔法の矢に対して、七鬼炎は避けることなく、ただその場で浮遊しながらこちらに向かって進んで来た。
「おいおい、マジかよ」
まさか、そのまま突っ込んでくるとは思わなかった。
知識としてそういう攻撃をしてくるのは知ってはいたけど、こんなに早く使ってくるなんて……
でもーー
「悪いな。もう捕捉済みだ」
俺は、【予測】で軌道を予測してから回避して、予め用意していた次の【魔法矢】を七鬼炎に射ち出す。
「【魔法矢】」
放たれた矢に対して、七鬼炎は避けることなく、青色の火の玉を飛ばしてきた。
青い火の玉は、俺の放った【魔法矢】とぶつかり合い相殺される。
「凄まじいな……」
七鬼炎は、次に水色の火の玉を放ってきた。
水色の炎は氷結の炎。当たるわけにはいかない。
だから、俺は【魔法矢】で相殺する。
すると、七鬼炎は緑色と紫色の炎を同時に放ってくる。
この二つの炎は状態異常を引き起こしてくる厄介な炎だ。
だけど、俺の【状態異常耐性】のスキルレベルは20。
このレベルになると、七鬼炎の炎による状態異常は無効化できる。直撃を
「吹き飛べ!|
ということで、飛んでくる二つの火の玉を避けて、今の俺の最高威力である【魔光矢】を七鬼炎に射ち放つ。
【魔光矢】はそのまま七鬼炎に向かって飛んでいき、直撃して七鬼炎の体の炎を砕け散らせる。だけど、砕け散った炎は動いてまた集まっていく。
どうやら、さっきの一撃でもHPは削りきれなかったらしい。
「まだ足りないか……」
俺の最高威力である【魔光矢】でもまだ足りない。
【鑑定】で七鬼炎のHPを見てもまだ3割ぐらい残っている。
すると、今度は七鬼炎の体からオレンジ色の火の玉が次々と発射され始めた。
それは、双鬼炎と同じ攻撃でオレンジ色の炎は火の玉を連射してくる攻撃。
だけど、今回の攻撃は、それだけではなかった。
「マジかよ!?」
その連射してくるオレンジ色の火の玉の中に紛れて、違う色の火の玉まで混じっている。
混じっていた火の玉の色は、緑色と紫色の二色を除いたすべての色の炎。
連射のオレンジ。高熱の青色。氷結の水色に飛んでくるスピードが早い黄色。そして、爆発範囲の広い赤色。
この五つの炎がまとめて襲い掛かってきた。
「すごいな。だけど!」
それらを避けて、時には撃ち落としながら七鬼炎本体に【魔法矢】を射ち込む。
すると、当然ながらどんどん七鬼炎のHPは減少していき……
「これでとどめだ!」
七鬼炎のHPが減ってきたところで、俺は最後の一矢を放つ。
その最後の【魔法矢】が直撃した七鬼炎は、燃えていた体が灰になって地面に落ちていった。
『レベルが40上がりました』
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