勝利のためのレベルアップ

 レベルが上がった通知音……よし。うまく倒せたみたいだな。


 それにしても一回で30レベル上がるんか……双鬼炎は、かなり俺よりも強かったみたいだな。


 まあ、俺の【魔法矢】を最初の一回と、ここから射ち続けた二十五回の合計二十六回でようやく倒せたんだ。一回で30レベル上がったのはおかしくなかったのか?


 だけど、これで少しは楽に倒せるようにはなるだろ。


 というか、これは一旦ここの中ボスでレベルを上げてから下を目指した方がいいな。


 中ボスであんなに苦戦したんだから、この状態で中ボスの双鬼炎より強いボスと戦ったら返り討ちの未来しか見えないし。


「まあ、なんにせよまずは中継地点の登録してからだな。……おっと危ない危ない」


 俺は、中継地点のある十一階層に降りる階段に歩き始める……前にまた中ボス部屋に入っていく。


 そして、双鬼炎の灰と魔石を【アイテムボックス】に回収してから外に出る。


 危ない危ない双鬼炎の回収を忘れるところだった。


「さてと、それじゃあ今度こそ」


 中ボス部屋の外にある階段を降りて十一階層に向かう。


 ちなみに、この階段は中ボスを倒さなくても進めるらしい。中継地点の登録はできないけど。


 そして、十一階層に降りると一番に目につくのは中継地点を登録するためのクリスタル。


 クリスタルは階段を降りた本当にすぐそこの空中に浮いていて、分かりにくいけど透明な壁に囲われている。


 この壁が、中ボスを討伐してない探索者やモンスターを近づけさせないための壁だ。


 そして、クリスタルは何よりデカイ。俺より少し大きいぐらいだから2メートルぐらいあるのかな?


「んじゃ、早速……」


 俺は、目の前に浮かんでいるクリスタルに触れる。すると、視界の端っこにウィンドウが表示された。そこに書いてあるのは登録完了という四文字。


「これで中継地点の登録はよしっと」


 これでダンジョンの中で念じれば、ボス部屋を除いてどこからでもここに転移できる。


「それじゃあまたレベル上げにいきますか!」


 十一階層から十階層に戻って、また中ボスの部屋に入って双鬼炎を倒しに行く。


 その前に俊敏にこれまでのレベルアップの分のBPを振ってと。


 双鬼炎は【魔法矢】を二十六回射てば倒せるってわかってるんだ。【魔法矢】は一回で15MP。それが二十六回で390MP。


 それに対して、現在の俺のMPも6000を超えているから単純計算で十五回倒せる計算になる。


 だから最初の方は、中に入って回避を優先するために俊敏を上げた。


 そして、ある程度レベルが上がったら今度は精神力に振っていく。


 フッフッフ。完璧なプランだ。


「よし!行くか!」


 双鬼炎を倒してレベルを上げに中ボス部屋に今度こそ入る。


 一回目。

『レベルが30上がりました』


 二回目。

『レベルが30上がりました』


 三回目。

『レベルが30上がりました』


 四回目。

『レベルが30上がりました』


 五回目。

『レベルが30上がりました』


 六回目。

『レベルが29上がりました』


 七回目。

『レベルが29上がりました』


 八回目。

『レベルが29上がりました』


 九回目。

『レベルが29上がりました』


 十回目。

『レベルが29上がりました』



 と、今日はここまで。MPはまだ残ってるけど、時間が大分経っている。


 こっから帰る事を考えたら、これ以上は無理だな。


 それに、MPもかなり減っている。


 無理は禁物。探索者は命あってのモノダネだ。無理して大怪我、または死亡なんて洒落にならない。


「……まあ、明日からはここに転移できるんだから焦ることも無いよな」


 今日は十階層まで来るのに時間を使ってしまったからこれだけだけど、明日はもう少し早く来れるだろうし。


 そうと決まれば、今日はもう家に帰って貯まったSPどうやって使うか考えよう。


 そっちのが有意義な時間の使い方だし、今の俺ならレベルを上げるのにそこまで時間はかからないはず。


 そんなことを考えながら、俺は家に帰るためにダンジョンを戻っていくのだった。


 ……どこからでも十一階層にいけるんだったら、帰るときにもどこからでも一階層に戻れるようにしてほしかったな~……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る