突然変異モンスター(後)

「魔法矢ぁ!!!」


 通常20MPで済む【魔法矢】に160MPを使って透明な矢を八本作り上げる。


「ハァッ!」


 それらを両手の指と指の間に挟んで構えると、白いコボルトが起き上がると同時に投げつける。


 この矢を使った投げつけるという行為も立派な遠距離攻撃だ。

 必中効果もこれなら機能するはずだ!


 そんな俺の目論み通り【捕捉】スキルの必中効果が機能して様々な方向からバラバラに白いコボルトに向かって飛んでいく。

 ただ、弓を使っていないから速度も威力も大幅に落ちてしまっている。


「グルルッ!」


 白いコボルトはそれを余裕を持って避けて、迎撃していく。


 だけどそれでいい。

 これはあくまで陽動。


 本命は……


「俺だぁぁあああ!!!」


 矢を投げるのと同時に駆け出していた俺は【魔法矢】で作り出した矢を片手に握りしめたまま魔法矢を迎撃して体勢の崩れている白いコボルトに突っ込む。


「体勢の崩れている今のお前に避けられないだろ!!!」


「グルァアアッ!!」


 俺は握りしめている矢を両手で握り直して白いコボルトの心臓目掛けて突き刺す。


 対して白いコボルトは体勢を崩しているのにその体勢から無理やり爪を振り下ろしてきた。


「ぐっ……!」


「グルァッ……!」


 振り下ろされる直前、白いコボルトの目が俺の首筋を捉えているように見えた。

 けど、爪が振り下ろされるより俺が懐に入り込む方が早い!


「俺の、勝ちだぁぁぁあああ!!!」


 叫びながら白いコボルトに

 矢を白いコボルトの左胸に深々と突き刺し、そのまま地面に縫い付けるように押し倒す。


「ガァァァァァッ!!!」


 白いコボルトもなんとかしようと暴れるが俺が上に乗っかっているためどうしようもない。

 一番の脅威である左手の爪は腕を右足で押さえ込んでるから動かせないはず。

 というか絶対に動かさせない!


「絶対に離さない!」


 これが俺がこいつに勝てる唯一の勝ち筋。


 速すぎて近づかれたら絶対に勝てない。

 さらに、弓も壊れたから同時に矢を投げられても速さも威力も落ちてるから離れられたら簡単に迎撃される。

 もう詰みに近い状況。


 だったら俺にできるのは近づくでも離れるでもなく零距離まで密着する!

 そして、このレベルアップしたおかげで上がってる防御力とHPでごり押す!

 これが今俺ができる最適解。


「ガァッ!……ガ…………ァ……」


 白いコボルトが暴れてくるのをしばらく耐えると、だんだんと白いコボルトの暴れる力が弱くなってくる。

 そして、同時にどんどん声も小さくなっていき、最終的には完全に動きを止めた。

 それでも万が一を警戒し続ける。


『レベルが12上がりました』


 そこで聞こえてくるレベルアップの通知音。

 レベルアップの通知音……ってことは……


「勝った……勝ったぞー!!!」


 こうして俺は突然変異モンスターの白いコボルトに勝利するのだった。


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 レベル328

 HP:250/3240 MP:94/2160

 攻撃力:400(+52)

 防御力:350(+12)

 俊 敏:845(+502)

 器 用:505(+152)

 精神力:1045(+712)

 幸 運:50

 BP:60

 SP:710

 スキル:【魔法矢Lv.11】【弓術Lv.5】【鷹の目Lv.2】【アイテムボックスLv.4】【捕捉Lv.10】【鑑定Lv.1】【MP増加Lv.5】【MP回復速度上昇Lv.5】


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