第3話

 文通のような不思議なやり取りが始まってから二週間が経ったある日の帰り道、私はいつものように本屋の文房具コーナーに寄った。


 誰かいる……?


 そこにいたのは、私が知らない制服を着た中学生の女の子だった。


 手に握っているのはTESTERと書かれた黒のボールペン。


 彼女がペンをすべらすと、今にも宙に文字が浮いて消えてしまうのではないかと思えるほど儚いその綺麗な文字が生まれた。


 間違いなく、あの文字の主だ。


 私は思わず彼女に話しかけていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る