第7話 『夕暮れ』

昼食を食べ終わり早5時間、僕らは暇を持て余していた。最初の方は話す話題や拓海達が持ってきていたトランプやウノにボードゲームがありかなり充実したが、それでも徐々に飽きが出てきた。

刑事さんは朝から緊張を張り詰めていたが5時間も経つと少しずつ緩くなっていき遂には眠り始めてしまった。

ゆったりとしていた華さんは立ち上がり広間から出て行こうとする。

それに驚き、僕は急いで話しかける。


「華さん!何しに行くんですか!?」


「トイレよ、貴女も行くの?」


華さんはそう言うとトイレに歩いて行く、僕は2人以上になるようにと言う刑事の話を守り着いていく事にした。

その際姉御へと行ってくる事を伝えるのを忘れずに。


華さんがトイレに着き個室トイレへと入って行く。

僕はそれを待つ。


30分程経っただろうか、一向に出てこない華さんにうんざりして扉をトントンと叩き話しかける。


「華さん、大丈夫ですか?」


するとドン!と強い音が帰ってきた。

どうやら苦戦しているようだ。


「す、すいませんでした」


僕は謝る事にした、このやりとり2回目な気がする。



そしてもう30分、つまり1時間が経った頃流石に我慢の限界が来た。

今度はドンドンと扉を叩き催促する。


「あのー、そろそろ出てきて下さい。流石にこれ以上は待てないです」


僕がそう言っても返事は返ってこなく、その後も数度それを繰り返すも返事は無い。

僕はその異変に気づき扉をドンドンと叩き、扉を開こうとするもの開かない。

僕は急いで大広間に走って助けを呼ぶ。


僕が走って戻ってきた時に姉御が心配したような顔で聞いてきた。


「大丈夫か?結構長い時間トイレにいたけど腹痛か?それなら胃薬が」


僕は姉御のその言葉を遮り助けを呼ぶ。


「トイレの中から声がしない!もしかしたら倒れてるかもしれない!誰か開けて!」


僕がそう言うと起きている拓海とリュウ、更には寛さんまでも来てくれた。

急いでトイレに急ぐも開いておらず、強引に開ける事にした。


扉を破るとそこには。


「な、なんだよこれ」

「こ、これは駄目だ」


僕がその言葉が気になりそこを見ようとする、しかしそれを拓海が遮る。


「見るな!」


けれども拓海の体の隙間から見えてしまった。

そこには首を吊られ、下腹部から排出物を垂れ流している華さんの死体があった。


「うっ」


僕はその光景を見てしまい、口からゲロが出る。

ゲロと一緒に涙も出てくる。

僕が一緒にいながら助けられなかった、悔しさと悲しさが合わさって死にたくなる。

周りは僕の嗚咽混じりした号泣に目を背ける。


僕は華さんが死んだ事を受け入れる、彼女がひどい人間だったとしても悲しまれるべきだ。


ひとまず泣くのを辞めていつ殺されたか考える。

また、それは何処から行われたかを考える。

まずはいつ殺されたかだ。これはある程度推測が立つ、それはいつかと言うとつい30分前に僕が聞いた時。あの時僕がトントンと扉を叩いた時にドンと返ってきた、しかさそのドンが返事では無く華さんが首を吊られ、その抵抗として出した物だったとしたら。辻褄は合う、抵抗としてではなく吊られた際にぶつけたとかでもあり得る。

その為犯罪推定時刻は30分前となった。


ならそれが何処で行われたかだ。

華さんが死んだのは個室トイレの中、なら犯人は何処から華さんを殺した?

先に入っていた、これは流石にないか。仮にそうだったとしても30分もそこにいた華さんは何をしていたのだろう。まぁこれも可能性の一つとして考えよう。

それの派生系として華さんが入った時に既に居て入ったのを見計らい殺す。一瞬で殺せるのか?それに首吊りの件は?刺し殺したりしたのなら首にロープをかける必要もない、故にこれは無い。

僕がそう考えを張り巡らせているとトイレの壁の上からロープが見えた。


「なんだあれ?ロープ?なんでロープが」


それはどうやら隣の個室トイレに通じてるようだ。

もしかして。

僕はもしかしてと思い拓海にお願いをする。


「たっちゃん!この扉開けて!」


「ん?おう」


僕がそう言うと拓海は渋々開けてくれた。

そこにはロープが垂れており、先程の考えは間違っていないのを確信する。


「やっぱり」


犯人はここにいた。宗弘はここにいた。

しかし、どうやって逃げた?方法は?どうやって?僕がいない時を見計らって逃げた?いや、それでもここから大広間までそう遠く無い上に逃げたとしても何処に?階段の方へ行ったとしても間に合わないし、それは玄関でも同じだ。

僕がその謎に対して膝をついて考えていると突然腕と足が掴まれ動かせなくなる。


「!?!?!?」


僕が驚きで声を出せていないと後ろからその掴んでる人の声が聞こえてきた。


「お前が犯人だろう?ユウ?」


その声の主はどうやらリュウのようだ、それに気づき僕は抵抗するもすぐにガムテープで手足と口を固められて縛られてしまった。


「お前何してんだ!リュウ!」


その行動に拓海は怒り殴りかかる、しかしその際にリュウは拓海に何かを囁き。

それに対して拓海は驚き、少し考えた後に手を下ろす。

僕はその行動に困惑したと同時に嫌な予感がした。

2人の此方を見る目はねっとりとしていて気味が悪い。


縛られた後に2人は何処かへ行き、そして帰ってきた。そしてその後、僕は2人に連れられて何処かへやって来た。

そこはどうやら倉庫のようで食器や調理器具、更には鎌やチェンソーなども有った。

僕はそこへ連れて来られると転がされる。

2人はそれで疲れたのか適当に座り話し始める。


「で、大丈夫なのかよリュウ?こんな事して」


「大丈夫だって、それに犯罪者を捕まえてそれを監視する為に僕らは来たんだから」


「まぁ、ちゃんとあの刑事には伝えてあるし大丈夫か」


なんだそれは!僕は犯人だと思われてるのか!僕は確かにそれっぽいけど違う!

僕はそんな気持ちを声に出したいが口が塞がれているので出せず悶々とする。

その様子を見て僕の言いたい事を察したのかリュウは笑ってこう言った。


「あぁ、


は?

僕がそう言う前に続けてこう話す。


「多分というか絶対違うって分かってるよ」


それなら!

そう思ったがリュウは突然恐ろしい事を言った。


「でも、君がそんなに誘ってるからさ」


えっ?誘ってる?何を?てか僕が誘ってるってなに?


「そんなにエロい体と性格だ、今まで何人の男を食べて来たんだい?」


まさか、僕の事を今から。


「まぁ、それも今だけさ。これから僕達の事しか考えられなくしてあげるから」


私はその真実に気づき暴れる。

やだ!なんで犯されなきゃいけないんだ!僕は犯人はだと思われていた筈じゃなかったのか!

僕がそう発狂しているともっと恐ろしい事を拓海が言った。


「いやぁ〜、殺人犯さまさまって感じだな。殺人犯のおかげで俺達はこうして良い思いができるって訳だ」

「最初リュウがガムテで縛った時なにしてんだって思ったけど、美少女犯せるなら話は別だよなぁ」

「こうして俺達がユウを犯しても罪を擦りつければいいし、こうして3人だけの空間を作る理由付けにもなった」


まさかこいつらは僕を犯す為にここまでの事をしたのか?なんて奴らだ許せない。そう思っているとリュウは更に酷い事を暴露した。


「というよりも拓海、元々お前があの2人を犯すって言うから着いて来たんだが。まさかこんな良い物もイけるなんてな」


本当にツイてるよ!と言った。どうやらこいつらはそもそもこの旅行自体そんなゲスい目的で来ていたようだ。

僕が奴らを睨むと拓海が立ち上がり、ズボンを下ろしてくる。


「?!?!」


「ほら、さっさと脱げ。もう一週間も出してないんだ、たっぷり味わえよ♪」


そう言って僕のズボンを下ろしていく、その際ガムテが剥がれそうになるもそれに気づき途中で止める。

そして遂には己のズボンも下ろそうとしたその時に。


ピリリリ ピリリリ


リュウのポケットから電話が鳴り、電話に出る。


「はい。わかりました、すぐ向かいます。おい拓海、すぐ戻るぞ。会議だそうだ」


「チッ!後もうちょいだったんだけどな、まぁまだまだ時間は沢山あるさ」


そう言ってズボンを上げて倉庫の外へと出ていく。

なんとか助かったが、今のうちになんとかしないと僕の初めてが。

とりあえず周りを見て解決策を考える

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