第3話 『隣人』
荷物を置いて、スマホと財布だけ持って部屋からでる。
その時に隣の部屋へとビニール袋を持って入って行く人がいた、どうやら隣人のようだ。
見る限り社会人のようだが少し目つきが悪く、此方がどうもと挨拶をしてもフンと返すだけで態度も悪い。
少し気分が悪くなりながら売店へと行く。
売店に入ると色々な物が売っていた、本とかDVDも売っている。
とりあえず炭酸とコーヒー牛乳にお菓子、それとおにぎりにパスタやカップラーメンを買った。あとついでにペヤングの焼きそば大盛りを買い部屋に戻る。
少し足りないかなとか思いながら部屋に戻る。
そして2階へ戻った瞬間怒鳴り声が聞こえてきた。
「だからぁ!その件はもう無しにするって話だろ!それで話は終わった筈だ!切るぞ!」
そのあとにドアをバンと開けて1階へと降りて行った。
「こっわ」
思わずそう声が漏れる、なんなのこの旅館。さっきから怖い人多いよ。
とりあえず部屋に戻った。
「気分転換にパスタ食うか」
とりあえず小腹が空いたのと気分転換がてらパスタを食べる事にした。
食い終わった後、少し仮眠をとっていると電話が鳴った。
「はぁい、なんでぇすかぁ?」
なんともまぁ間の抜けた声が出たものか、それに笑ったのか向こうから笑い声が聞こえた後に夕ご飯の準備ができたので1階の大広間に来てくださいと言われたのでハイと答え切ったが。
「場所分からない」
とりあえず分かったのは8時ぐらいと言うことと夕ご飯が食べれる事ぐらいだ。
とりあえず受付に行こうと部屋を出ると丁度あの4人も一緒に出たところであった。
「あっ、たっちゃん達だ」
僕がそう言うと彼等は話しかけてきた。
「おっす、ユウ。今からユウも夕ご飯行くだろ?一緒に行こうぜ」
僕にはそう言う彼等が天使にしか見えなかった。
僕は多大に感謝しながら。
「お願いします!」
その後場所が分からないと話したらあの4人は大笑いしてた、そこまで笑う事なくない?
とりあえず大広間へ着いた、どうやら自分の名前が書いてある料理を食べる方式らしい。
僕の料理の数と量はいつも通りだが4人がそれを見るとギョッとした目でこちらを見てくる。
「おいユウ、それ間違いすぎな量だぜ?ちょっと職員の人呼んでくる」
「いつもと同じぐらいの量だよ?」
僕がそう言うと4人は驚き、信じられない様子でこちらを見る。特に女子2人は心底羨ましそうな顔を向けて。
「食べても太らないとか夢物語だけじゃなかったのか」
と、驚く姉御と。
「ころす」
と、明らかな殺意を向けてくるモナ。
少し現実逃避気味に食べ始める。
食べ始めて分かった事がある、それは米と野菜が美味い。あの人の言った通りこれは美味い。
しかも山の中にあるからか猪や鹿のジビエが出てきてこれがまた美味い。
箸がよく進む。
食べ始めて40分、皆が食事を食べ終えた頃だろうか。僕も遂に食べ終わった。
食べ終わり、少しお茶を飲みながら休憩をする。
その際周りを見てみると意外に人が少ない事に気づいた。
僕を入れて9人、あと女将さんとかを入れても12人。少し不安になる数だ、果たしてこれで経営していけるのか?と思う。
少し休憩してまったりしているとリュウと拓海に話しかけられる。
「なぁ、これから風呂入りに行くんだが一緒にどうだ?」
僕はそれを聞いてこの後に予定もないので了承した。
一度部屋に戻り、風呂の準備を整えてもう一度会う。
そして風呂場へと向かう道中にリュウがこんな話をしだした。
「なぁ、そういえばこの雷鳴館。なんで雷鳴館って言うんだろうな」
「あっ、それ俺も思ってた」
リュウがそう言って確かにと思った。
多分雷渓村が近くにあるからだろうと推測はつくが何故雷鳴と付けるかわからない。
後で女将さんに聞いてみようと心に留める。
そう話していると外へと通じる扉から2人は出るようだ、そっから風呂場に行くのか。
少し不便だと思うが仕方ない。
外へ出ると拓海が。
「ううっ、寒いな」
と言った。
確かに寒い、それこそ秋の中旬と言ってもいい程には冷たい影が吹いている。
そういえばと思い出す。
「標高が上がるたびに寒くなっていくんだ、夏でもアルプスは冬並みだって聞いた事があるし」
「それに山は天気が変わりやすいらしいからきっとその関係も有ると思う」
僕がそう言うと2人は納得した。しかし今僕達に必要なのはなんで寒いかの理由でもその説明でもない。とりあえず風呂に早く入りたい、それだけである。その意志は共通なのか3人は少し足早に向かった。そして男女の暖簾の前で僕らは自然に別れた。
だけど2人に止められた。
「おい、ユウはこっちだろ。間違えんな」
そう言う拓海に対して僕はキチンと告げる。
「僕は女の子だよ?」
全く酷い奴等だ、僕の性別をずっと間違えてたのか。確かに胸はないし声は他の人と比べると低いし、背は女性にしては高いけど。
「とりあえず、後でね」
とりあえず僕は彼等と一時的に別れる事にした。
バイバイと告げたその時の彼等の顔はなんともアホらしく笑えてくる。
「ふふっ」
暖簾を潜り、僕は風呂場へと入った。
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