ウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイ
「…………わかった。じゃあもう気にしない」
10から数え、折り返しを過ぎたところで四羽は静かに口を開いた。
「ありがとう……四羽」
「別に。じゃあ、お望み通りあたしはここから消えるから……バイバイ」
「お、おう」
夏の夕方みたく急に素直になった四羽が、俺には少しだけ怪しく見えた。が、余計な事を言うつもりはない。
四羽が出て行ってから……そうだな、10秒経過したら蒲倉を解放しよう。
空き教室を出て行こうとする四羽の背を見つめながらそんな事を考えていると、
「――――いたッ⁉」
蒲倉の口を塞いでいる手の中指に堪え切れない痛みが走り、俺は思わず手を離す。
何が起ったのか理解できなかったのは一瞬だけ。歯形がくっきり残った中指を見て、蒲倉に思いっ切り嚙まれた事を知る。
「――痛くしてごめんなさい、蒼紫くんッ。でもやっぱり言いたくて――あの女に言いたくてえッ!」
「待ってくれ蒲倉ッ!」
そう制止の声をかけるも蒲倉は聞かず、立ち止まる四羽の前に。
「――――――――――――」
蒲倉は四羽の耳元に顔を近づけた。
が、四羽の表情に変化は見えず、やがて蒲倉は身を引いた。
蒲倉の背に隠れて四羽の顔が見えなくなる。
「これが、四羽さんが知りたくて知りたくてしょうがなかった事実です」
「そっか……ありがとね、蒲倉さん。教えてくれて」
「いえいえ、礼を言われる事は何も。それより、随分と落ち着いていますね……ひょっとして、強がってたり?」
「どうして? どうしてあたしが強がらなくちゃならないわけ?」
「ああいえ、何となくそうかな~って思っただけです。意地悪で言ったわけではないのでお気になさらず……ささ、どうぞここから消えてください! そしてどうかこの先、私と蒼紫くんの邪魔をしないよう気を付けてください!」
「…………うん。わかったよ」
「良かったです。それじゃ」
「じゃ、仲良くね」
「言われずとも」
蒲倉の言葉を最後に引き戸は閉まった。
……終わった。
【
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