女神とまで呼ばれているクラスの女子に好かれてしまったのだが、ヤンデレ要素が満載でもう限界

え……ポッキーゲーム？

　おかずはおろか梅干しすらない白一色。

　凝った品々が顔を見せるじゃなく、お日さまでもない白飯オンリーのお弁当……いや、お弁当にすら至れていない。

　肉うどんをそんなもの呼ばわりしていたクセしてこれか…………もしや、嫌がらせ？

「ウフフッ――なんだか恥ずかしいですぅ」

　チラと前方にいる蒲倉を窺がう……が、悪戯をして喜んでいる風には見えない。本当に、本当に恥ずかしがっているようだ。

　恥ずかしがる要素がどこにあるか全然わからないから、狂気しか感じないわけだけども。

　……いや待て、一見手抜きのこれは実はブラフで、ご飯の中におかずが隠されてるんじゃないか？

　俺はふと頭によぎった可能性を確かめるべく、備え付けてあった箸を手に取り、白飯の海を掻き分けてみた。

「……………………」

　結果、手抜き以外の何物でもない事がここに判明。お手上げの状態の俺は仕方なしと恐る恐る蒲倉に訊ねる。

「あの、これおかずがないみたいなんだけど……わざと？　それとも、うっかり忘れちゃったとか？」

　すると、直前までモジモジと動いていた蒲倉の動きが止まった。

「……プフッ」

　かと思えば突然吹き出し、俺は困惑する。

「好きな人の為を想って作るお弁当に、肝心のおかずを忘れるなんてあるわけないじゃないですかぁ！　心配しなくてもちゃんと用意してあります！」

　そう言って蒲倉は足元にあった袋を机の上に持ってきて、その中からもう一つの弁当箱を取り出した。

「おかずはこっちに詰めてきてあるんです――ほら」

　パカッと開けたらなんとまぁ……。唐揚げ、春巻き、豚バラのアスパラ巻き等々、食欲そそる品が綺麗に並んでいて、不覚にもヨダレが出そうになった。

「……頂いても？」

「ええ、もちろん！」

　了承が得られ、それじゃ早速と俺は箸を伸ばす。

「――と、言いたいところなんですが」

　が、何故か蒲倉はおかずを引っ込めてしまった。

　発言からして意図的である事は明確。

　ならば理由は？　と考えた時、真っ先に浮かぶのはやはり嫌がらせしかない。

「蒼紫君。それ、貸してください」

「え――あ、うん」

　俺は言われるがままに彼女に箸を渡す。

「今日のお弁当に蒼紫君が懸念していた隠し味は含まれていません。その代わりと言っては何ですが、少し特殊な食べ方を採用しています」

　そう言って、蒲倉は俺から受け取った箸で豚バラのアスパラ巻きを摘み、口元へと運んでいった。

　が、どうやら食べる目的で口へと持っていったんじゃないらしい。

「――あい、ほおぞ（はい、どうぞ）」

　ポッキーゲームだ。蒲倉はポッキーゲームの要領で咥えた豚バラのアスパラ巻きを俺に差し出してきたのだ。

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どうも、深谷花びら大回転です。

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