ツン²

ネルシア

ツン²

皆さま始めまして。

私、この順百合学園の2年4組の好百合よしゆりと申します。

突然ですが、このクラスにはいわゆるツンデレが2人ほど。

しかも互いに想いあっているのに全く気付かず、いつも喧嘩してばっかり。

そんな日常を紹介しようと思います。

なお、クラス全員が「はやくくっつけ」と思うほどなので悪しからず。

ほら、噂をすれば。

ナレーション、心の声は僭越ながら私が


ガラガラガラ!!

と大きな音を立てて扉を開くのは、私たち愛しのツンデレの一人。

髪は長く、身長は低く、子供っぽい見た目で、育ちが悪そうな乱暴な態度をとっているが、

その実、髪は染めてないし、化粧も全然してない。

てか、たぶん仕方さえわかってないんだと思う。

スカートの長さでさえ、きっちり校則通り。

なのに、態度だけ悪そうにしているのがもう、ギャップ萌え。


ドカッとわざとらしく大きな音を立てて、カバンを置く。

そのカバンに新しくつけているチャームをわざと見せびらかすように。


隣の席である私は気づいてしまった。

その子がもう1つ同じチャームを机の下で手にもってニコニコしているのを!!!!


その数分後、今度は対照的に静かにドアが開く。

短髪で、化粧もしてるが、背は高くて、見た目通りのスポーツ優秀女子。

そして、そのチャームを見るや否や叫びだす。


「なんであんたがそれ持ってんのよ!!!!!」


「う、うっさい!!!私だってこれ好きだし、何をつけようが私の勝手でしょ!?」


「はぁ!?!?あんたこの前これバカにしてたじゃん!!!!」


まぁ、こういう喧嘩が毎日起きるわけで。

この後も見ものですよ?


「せっかくあんたとお揃いでって思って買ってきたのに・・・。」


長髪の子が尻すぼみにそう零す。

それを聞き逃さずに、短髪の子が手に持ってるチャームを見て察する。


「べ、別にもらってあげなくもないわよ?」


それを聞いて長髪の子が一瞬だけものすごく輝かんばかりの顔になるがすぐに、

ムキな顔に戻る。


「そんなに欲しいならあげなくもないわよ。」


そっぽを向きながら差し出す。


「仕方ないからもらってあげようかしら。」


乱暴に受け取ると、これまた雑にバッグの中に放り込む。


「「ふん!!!!!」」


2人して互いに牽制しあうと、席に戻る。

はぁ~、たまりませんわ。


そしてお昼時。

これもいつもの恒例の見物シーン。


ガン!!と机同士がつながる大きな音が立つ。

短髪の子が長髪の子の机に繋げたのだ。


「何よ。」


長髪の子は可愛い小さな2段のお弁当箱。

その中身もかなり凝っているもので。


短髪の子も机の上にお弁当箱を置く。

長髪の子の3倍はあろうかという大きさの真っ黒なお弁当箱。

スポーツ女子だからってのもあるけど・・・。

あ、この先は意訳を下に書いておくのでぜひぜひ。


「別に、そんなしか食べないからいつまでたっても大きくならないんだなって。」

※なんでそんなに小さいの。可愛すぎる。


カチンと来たようだ。


「ふん、あんたみたいに巨人になっても羨ましくないんだから。」

※背が高いのかっこいいし、羨ましい。


この返しにまたもカチンときた様子。


「だからあんたこんなに非力なのよ。」

※力ないうえに料理できるとか女子力の塊かよ。


そういうと、力ずくで腕をつかむ。


「きゃっ・・・。」


長髪の女の子のめちゃくちゃ可愛い悲鳴にクラスに電流が走る。


あまりの声に思わず短髪の子も腕を離す。


「ご、ごめん・・・。」


「ばかぁ・・・もう嫌い・・・。」


そして無事?にお昼も終わりましたとさ。


放課後。

今日は部活休みなのか、私の隣で長髪と短髪の子が何やら話している。


「どうせ暇なんでしょ?付き合ってよ。」


長髪の子がだるそうに返事を返す。


「私は家に帰って勉強するので忙しいんですぅ。」

と、言ったものの、私と長髪の子は気が付いてしまう。

さっきもらったチャームをもうすでにバッグにつけていることを。


「・・・少しだけならいいけど。」


ちょろ可愛いツンデレとか私得です。


「あっそ、ならこのあと一番上の階段の踊り場に来て。」


屋上の扉は普段閉まっているため、生徒が行ける最上階はそこまで。

でも、そこまで行く生徒はいないし、用もないし、化粧室も遠い。

つまるところ、人払いをするには最も相応しい場所なのだ。


「はいはい。」


と簡単に返事をする長髪の子。

これは覗くしかくしかありませんなぁ!!!!!!


そして、我ながら驚くほどのステルスを発揮し、尾行をして、耳をそばだてる。


「それで、話ってな・・・。」


言い終わらないうちに静かになる。

何が行われているのかとモヤモヤしてしまう。

17歳、好百合、行きます。


そーっと覗くとそこはもう甘美な世界が広がっていた。


短髪が長髪の腕を押さえつけ、問答無用のキス。

しかも、長髪が暴れようが関係ない力尽くの。


やっとのことで離れると、長髪が叫ぶ。


「ばばばば、ばっかじゃないの!!!!!!!!!」


「う、うっさい!!!!!あんたが可愛すぎるのが悪い!!バーカ!!」


「はぁ!?私のファーストキス奪っておいて何それ!?!?バカはどっちよ!!」


「何よ!!私のこと大好きなくせに!!わざわざ私の好きなチャーム買うなんて!」


「ち、違うわよ!!これは私が好きで買っただけだもん!!」


「あぁ、そうですかぁ!!!ならなんで余分に1つ持ってたのかなぁ!?」


「前持ってたの忘れてただけですぅ!!別にあんたに渡すためじゃないもん!!」


「ほんっと・・・あんたのこと・・・だいっっっっっきらい!!!!」


「うるさいうるさい!!!!!!私だって大大大大大大嫌い!!!!!」


「・・・くせに。」


「・・・何よ、全然聞こえないわよ。」


「ほんとは私のこと大好きなくせに・・・。」


ぎょっとした。

いつも気丈なあの短髪の子が泣きじゃくっている。

あまりにも唐突。


「な、なんで泣いてるのよ・・・。」


「うるさい・・・。」


「・・・嫌いなんて嘘に決まってんじゃん。」


「え・・・?」


「あーもう!!!!!ほんとバカ!!アホ!!まぬけ!!!」


今度は長髪の子が短髪の子の口を奪う。

背伸びして。

プルプルしてるし・・・。


「ああああ、ああ、ああんたなんか嫌いに・・なるわけ・・・ないでしょ・・・。」


すぐに終わって後ろを振り返る。


泣きじゃくってたほうもキョトンとはするが、すぐ笑顔になる。


「うん、、、うん!!!!」


「抱き着くなバカ!!!!!!!!」


「あんたが可愛いせいだって自覚しろ!!!!!!!」


ここまで見たところで私の心は満たされた・・・。

好百合はクールに去りますよ・・・。


-Fin-

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ツン² ネルシア @rurine

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