第006話 寮の住人たち
僕たちは寮内にある食堂のテーブルの席に着き、改めて話を始める。
「レイの件、承諾してくれてありがとうな。お主たちには面倒を掛けるの」
「い、いえ、ひとまず一週間ですから。問題ありとなれば出ていってもらいます」
学園長が頭を下げると、赤い髪の女の子がバツが悪そうに返事をする。
学園長はよっぽど偉い人みたいだ。どう見ても小さな女の子にしか見えないのに。
「うむ。それでいいじゃろう。レイもそれでいいか?」
「はい。チャンスをいただき、ありがとうございます!!えっと……」
僕としてはチャンスを貰えただけでありがたい。
赤髪の女の子の名前を呼んで感謝しようと思ったけど、僕は名前を知らなかった。
「そういえば、自己紹介がまだじゃったな。ルビィ君から自己紹介してくれるか?」
それを察した学園長が女の子たちに自己紹介を促す。
「分かりました。私はルビィ・ブラッドレイ。一週間だけになると思うけどよろしく」
彼女は肩よりも少し長い真っ赤な髪をハーフアップにした女の子。大きくて少し気が強そうな赤い瞳を持っている。
着替えを見た時に見えたけど、おっぱいがとっても大きくて、魅惑的な体の持ち主。
女の子なんて数えるほどしか見たことないけど、かなり可愛いと思う。
ただ、僕が着替えを見たせいか、やっぱり敵意を感じる。
「わ、私は、コ、コクヨウ・シャドウナイトです。一週間、よろしくお願いします」
次に自己紹介してくれたのは、黒い髪の女の子。
長さは肩口ぐらいで、切り揃えられた長い前髪で目を隠している。追われていた時にチラリと見えたけど、吸い込まれそうな漆黒の瞳で、とても整った容姿をしていた。
小柄でほっそりとしている。オドオドしているので、引っ込み思案なのかもしれない。
彼女からは敵意よりも怯えを感じる。よく分からないけど、出来るだけ優しく接したいと思う。
「僕はラピス・スカイロード。一週間よろしくね!!」
次は、深い青色の瞳を持ち、青髪を後ろで束ねた女の子。
彼女は溌剌としていて元気な印象だ。前の二人に負けず劣らずの容姿をしている。スレンダーな体つきで、ブラッドレイさんとは正反対。
服から覗く手足にはしなやかな筋肉が付いていて、体を動かすのが得意に見える。
僕に対して敵意は感じないし、むしろ好意的な印象を受けた。
「セルレ・フロストラント。よろしく」
次は、水色の髪の女の子。
彼女はロングヘアーで、水色で眠そうな瞳をしている。
口数が少なく、表情もほとんど変わらない。感情が余り出ない大人しい女の子みたいだ。
小柄で五人の中で一番小さく、一見したら子供のように見える。
彼女からは敵意は感じず、少しだけ好奇の視線を感じる。なんとか仲良くなるきっかけを見つけて信頼を勝ち取りたい。
「こなたは
最後は緑色の髪の女の子。ロングヘアーを先で結っていて、森を思わせる新緑の瞳を持つ。
五人の中で一番大人びていて、柔和な雰囲気をしていた。それだけでなく、目を引くのはブラッドレイさん以上に大きなおっぱい。
服を大きく盛りあげていて、なんだか分からないけど、勝手に視線が吸い込まれる。
彼女からは純粋な興味を感じた。だからこそ、今日は提案してくれたのかもしれない。
何かあれば、力になりたいと思う。
「最後にレイ。君も挨拶してくれ」
「分かりました。僕はレイ・アストラル。山で婆ちゃんと二人で暮らしていたので、知らないことが多いかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
学園長の指示に従って立ち上がり、僕は皆に挨拶をして頭を下げた。
「ふむ。今日はもう遅い。レイは明日からまず一週間働いてもらうことにする。それで問題ないか?」
学園長の質問に全員が頷いた。
「それでは解散じゃ。レイは管理人の部屋に案内するからついてこい」
「はい」
女の子たちは各々の部屋に戻り、僕は学園長に連れられて部屋に案内された。
管理人の部屋は一通り家具が揃っていて、そのまま使えそうな感じだ。
「これに寮母のやることを書いてあるからの。読んで明日から頑張ってくれ。ここまでしか力になれずにすまんな」
申し訳なさそうな学園長だけど、婆ちゃんの孫ってだけの僕にここまで親身になってくれただけで感謝しかない。
学園長がいなかったら、僕は路頭に迷っていたはず。期待に応えられるように頑張りたい。
「いえいえ、むしろありがとうございました。皆の信頼を勝ち取れるように粉骨砕身、一生懸命働きます」
「うむ、うむ。その意気じゃ。師匠の孫じゃから大丈夫じゃろう。それではまたな」
「はい。おやすみなさい」
僕の返事に満足そうな笑みを浮かべた学園長は去っていった。
僕は学園長に渡された寮母の仕事のマニュアルを見る。
1、寮生の健康管理(食事の提供等)
2、寮生の出した洗濯物の洗濯
3、個室以外の寮の掃除
4、寮の維持や補修
5、寮生の門限の管理
6、寮生の要望に応える
寮母の仕事は大体この六つらしい。
そういえば、婆ちゃんが胃袋を掴んだら勝ちって言ってた。
明日から美味しい料理を出して皆の胃袋を掴むところから始めよう。
次の日、朝食の食材を確保するために早起きして寮を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます