終章:未来に生きる子

「おかえりー」

俺はー帰ってきた。

「…何、仲良さそうに喋ってるんだよ」

俺は光羽が心配だ。それなのにコイツらは全くの無関心だった。

一応、光羽も俺もコイツらを含む集団と「同志」だと言うのに…。

「いやー、家庭環境についてと、イジメについてと、人生について語ってたんだよ」

思ったよりも深いな。少しは光羽を気にしてくれているのか。

「おっと…、光羽ちゃんが大好きな天葉には聞かせないぞ。

光羽が大好きって…。まあ、本当の事なんだけど。

俺は自殺してこっちに帰ってきた。自殺は死んでからも苦しむと聞いていたが、光羽を救ったとか何とかで、特に辛さを感じることもなく帰ってこれた。

ーやっぱ、光羽には敵わない。

「おっと…、今、光羽ちゃんの事考えてたでしょ」

うるさいな。考えたら悪いのかよ。

「あーそうだよ」俺は吐き捨てるように言ってやる。

目の前のやつはケラケラ笑った後、俺に「お疲れ様」と労ってくれた。

悔しいことに、泣き出しそうになった。

俺は、光羽がこっちに帰ってくるまで、どこにも行かない。

ーずっと待ってる。

何なら夢にでも出て驚かしてみようか。「ずっと待ってる」というのが伝わるように、忘れられないような夢の中に登場してみようか。

面白そうだけど、少し可哀想な気がする。

「お帰り」

後ろから声が聞こえた。振り向くと、俺がずっと会いたかったやつがいた。

「笑人…」

笑人は微笑んで、手を差し出してきた。

「永遠の友達になった証に」

俺は内心、笑った。「一生」じゃなくて「永遠」か。

まあ、そのくらい絆は強いよな。

ーこれも全部光羽のおかげだ。光羽がいなかったら笑人とはただの「知り合い」だったんだから。

俺は笑人の手を取る。こっちに帰ってきて初めての、笑みを浮かべながらー。

「ー光羽をありがとう」

そして笑人からの言葉に心を癒やされながらー。

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