第8話 新たな『おとぎ話』へ
若き神が天界に戻って一カ月後。東洋発展推進機構という建物にある応接室で、若き神様が、偉い先輩神様と対面していた。
「ご苦労様! とても良い昔話になったね~、台本以上の出来だよ」
「それは何よりです」
若い神の手によって起きた『桃太郎』は、珍妙であったために、人々の話題となった。今はかっこよく脚色され、鬼ヶ島という所に、桃太郎が仲間とともに船で渡り、勇敢に戦い、『愛』を持ってこらしめた、という多くの人々の心を掴む、おとぎ話になっている。
ほんとは、桃太郎一行が、女に絡んでいた酔っ払いの大男をふんどし一枚にひん剥いて、犬、猿、雉の責めフィニッシュで戦闘不能(イクッ!!)にした、という出来事なのだが……。
若き神は苦笑した。事実はおとぎ話より奇なり、かな。
「でさ、次の新しいおとぎ話もお願いしたいんだよね」
「はいっ!?」
若き神にまた、新たな台本が渡された。触れると、若き神の頭に内容が流れ込んでくる。
『金太郎』
「何ですかこれ!? 全裸の男の子が『金』と書かれた前替えを付けて、大きな鉞を担いでるって!?」
「主人公の登場はインパクトがないとね」
「ちょっと待ってくだ――!?」
若き神の足元に突如、転送用の魔法陣が発現した。
「どちくしょうがあッッー!!」
若き神の足元の魔法陣が眩い光をはなった。そして若き神は、また新たなおとぎ話『金太郎』のために、旅だったのだった。
桃太郎一行の攻めでイッテしまった悪い鬼(人間)は愛に胸打たれ、改心したそうです。~若き神による『桃太郎』誕生の秘話~ @myosisann
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