第7話 めでたしめでたし

「父上、母上!!」


 桃太郎一行は、町で購入したお土産の品々を荷車に乗せ帰ってきた。荷車は、大男が引いている。


「桃太郎や、鬼をみごと退治したんじゃのう」

「はい! ここにいる仲間とともに」


 老父の言葉に、桃太郎は側に居た、犬、猿、雉、そして、大男に目配せした。大男が目を見張る。すると、桃太郎は慈愛に満ちた笑みを浮かべた。大男の目から大粒の涙がこぼれる。「精進します」と、大男は丁寧に礼を言うと、胸を張って町へ帰っていた。


 若き神はタイミングを見計らって、桃太郎に声をかけた。


『鬼退治をやりとげましたね。感謝しています』


 いや、ほんとに。一時はどうなるかと思った。


「もったいないお言葉。これからも人の心に巣くう鬼が現れれば、『愛』を持って成敗いたします」

『良き心構えです。ふふっ、私の役目も終わりです』


 桃太郎をはじめ、老夫婦、犬、猿、雉は、涙を滲ませていた。若き神も感慨深かった。偉い先輩神様の『桃太郎』に付き合ってくれた、良い仲間である。別れが惜しい。

 

『それでは皆さん、お元気で……』


 若き神は別れの言葉を告げ、天界へと帰還した。

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