お兄ちゃんとのお風呂
お兄ちゃんをボコし…コホン、コンボ決めてチェックメイトし終わってから数時間、夕ごはーん!!パクパク。
「フィグラが学院の試験を受けに行くから、案内をしてあげて…なるほど。いいよ」
「おぉ!流石お兄ちゃん」
「すまない、フィレット。せっかく帰ってきたばっかなのに」
「いや、大丈夫。帰ってこれただけで十分だよ」
「ごめんねぇ、フィレット。あっ、そうそう。フィグラと一緒にお風呂でも入ったら?」
「入るー?」
「んっ…ぐ。ぼ、僕とかい?コホン、入ろうっか」
「はーい」
お兄ちゃんとお風呂だね〜。でも、なんでお兄ちゃん…最初詰まったんだろ。んぐって。
「リリも入る?」
「ぶふぅっっ!!」
「うわっ、お兄ちゃん汚い!!最悪〜」
「まっまくですよ。…あぁ、奥様の冗談で旦那様が…」
お母さんの一言にお兄ちゃんが見事スープを吹き出した…本当に汚いよ。ちなみに、被害ナンバーワンはリリさんが呟いたようにお父さんである。ポタポタ水滴(スープ)が滴るいい男だね!(笑)
「…フィレットォォ!!って怒りたい所だが……今のはシリカが悪いが、あんな一言で吹くフィレットも悪い」
「えぇ!?俺も悪いのか…」
「…ねぇ、フィレット?なんでフィグラと話してる時は僕で、私たちの時は俺なの?」
「あ、それ僕も気になってたんだよね〜」
「んー、なんでだろうか。弟だからかな?」
「僕だから?」
「そうだね〜」
「弟の前では優しくしたいのかしら?口調も優しくなってるし」
「弟に優しくするのは兄として当然だけど?」
「フィグラ、良い兄を持てて嬉しいわねぇ」
「っく、母さん。恥ずかしいからやめて欲しいんだけど…」
恥ずかしそうにつぶやくお兄ちゃんを見て、僕たちは笑った。真っ赤だねー、クスクス。
◆
賑やかだった夜ご飯もあっという間に終わりを告げ……お風呂だよ!
「…元気だねぇ、フィグラは。疲れ知らずって言われないのかい?」
「んー、言われないよ」
湯船と言っていいのか分からないけど…取り敢えず湯船って事に仮名しとこう。湯船は小さいけど、頑張ったら二人入れる…というより、僕自身の体が小さいのでなんなら少し余裕まである。…うん…小さい……悲しくなってきたなぁ。あはは〜。
パシャパシャと湯船のお湯で遊ぶ。
「相変わらず白い肌だねぇ」
「僕としては日焼けしないからなんとも言えないんだけどね〜」
「美容だっけ?」
「そだよー。肌を太陽に晒しても焼けないし、真っ白なまんまだから病弱ってイメージがあるんだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
たまに舐められるんだよね〜。女顔とかー、女っぽいとか、色白とか、筋肉ないとかー、エトセトラァ…ぐぎぎ…うががぁ…
「…僕には絶対分かることのない事だからな〜、学院に入学したらまず、女の子のお友達を先に作った方がいいんじゃない?」
「なんで?」
「女の子同士、同性の友達は必要でしょ?」
「…潰すよ?」
「…どこを?」
「どこがいい?」
「……僕が悪かった。僕が悪かったから」
まったく、お兄ちゃん。いくらお兄ちゃんだからといって言っていい事と悪いことがあるんだよ?
「…まぁ、でも……僕が言わなくても出来るだろうね」
「え?女の子の友達?」
「うん、きっとね」
「まぁ、入学したら多分出来るはずだよ。…それより、お兄ちゃん?一つ聞いていい?」
「ん?なんだい」
「学院は10歳から誰でも入れるって言っていたけど…例えば11歳や12歳の人も同じ学年になることってあるの?」
「いや、それはないよ?同じ歳の人としか同学年になれないよ。なんでも11歳で入学したら、10歳の人とはまた別のところで同じ年の人と勉強するらしいよ」
「へぇー」
「あ、そうそう。学院には留年という制度があってね」
「りゅ、留年?」
嫌な単語だな〜、留年。頑張らないと単位貰えないのかな?
「そう、学院は全ての生徒が一年経つと上の学年になるわけじゃなくてね、必須科目で必要な点を確保出来ないともう一回その学年やり直し、ってね」
「…頑張らないと」
「そうだね。でも、フィグラなら大丈夫さ」
「何を根拠にー?」
「僕の弟という根拠だね!ははっ」
「……ふん!」
「かはっ…」
僕は肘でお兄ちゃんのお腹を思いっきりゴスッとやった。いやドンッ?…いやいや、もしかしたらバキャッかもしれない。あはは。
「おごご……」
「お兄ちゃんが悪いからね?」
「ご、ごめんって」
「あーあ、思いっきり殴ったから疲れちゃった…それに、のぼせてきたからそろそろ上がるね」
「分かったよ。んー、僕はもう少し浸かっているよ」
「はーい」
僕はお風呂から上がった。ホカホカ〜だよ。
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