第7話:カリスマ生徒会長と本当の気持ち
お、いらっしゃーい。
キミの方から来るなんて珍しいわね……。
それで、一体なんのご用かしら?
妹なら出かけてていないわよ~。
へっ!?
キ、キミから私に会いに来るなんて、珍しいわね……。
そ、それで、一体どうしたの?
……えっ、妹にもう一回告白する?
あっ、その……本当に?
――私が色々教えてくれたから、告白する前よりも冬華ちゃんと仲良くなれてきた気がする?
そ、そうなんだ……それは、良かったわね……。
――ただ、少しまだ不安があるって?
……大丈夫よ。きっと上手くいくわ。
この日の為に――私は色んな情報を教えてきてあげたんだから。
妹が好きな服、妹が好きなグッズ、妹が好きなカフェ、妹が好きな映画。
キミはその情報を身につけて、積極的にアプローチしてきたわけでしょ。
だから、あとは自分の言葉で、冬華ちゃんに気持ちを伝えるだけよ。
自信は戻ってきた?
まだ不安そうな顔してるわね。
……ほら、元気出して。そんな顔じゃ告白する前にフラれちゃうわよ。
まぁ、またフラれても――ヤメヤメ。フラれたらその時はまた考えましょう。
それじゃ、頑張ってね――
……えっ。あれ……?
ご、ごめんなさい……急にキミの袖摘まんじゃった……。
あっ、あはは……どうしてかしらね……ふふっ……。
今度こそ、それじゃあね――
あ、あれ……。
摘まんだ指、離れないわね……。
……あれ……どうしてかしら……。
ごめんなさい……おかしいわね……あれっ……?
あはは……。
ごめんなさっ――ごっ、ごめんな――さ、い……。
ゃ……
ぃゃ……。
やだっ……。
いかないで……。
冬華ちゃんに告白なんか……しないで……!
――ひっ、ぐすっ……応援するって決めてたけど……やっぱり、うっ……ダメ、みたい……。
――どういうこと、って、わからないかしら……?
私、キミのこと、子供の頃から……ずっと、ずっと、好きだったのよ……。
ええ!! 私に勝ち目なんて無いってわかってる!!
妹は……冬華ちゃんは何でも持ってた……。
勉強もスポーツも出来るし、しっかりしてる。
クールで綺麗でかっこよくて、けどクラスで浮いてるわけでもなくて……誰にでも明るく、優しく接してて……。
私は逆。
勉強できないバカで……明るさと要領の良さはあるけど、結構ドジも多いし……。
仲良く話せる友達はまぁまぁいるけど……それでも冬華ちゃんには敵わない!!
でも――それでも、キミのことが好きなの!!
私が選んで買わせた服も、ゲームセンターで取ったぬいぐるみも、猫ちゃんも、一緒に見た映画も、全部……冬華ちゃんだけじゃなくて、私が好きなものでもあったの……!!
嘘ついてごめんなさい……本当にごめんなさい!!
でも、君のことが好きだったのは本当!!
冬華ちゃんは何でも持ってる。
……だから、君は……君だけは私がもらったっていいじゃない!!
……私、ずっと頑張ってきたのよ!
昔から、キミに好かれようとずっと頑張ってきたのよ……!?
……だからお願い。冬華ちゃんのところへは行かないで……!!
私を――陽和を選んでっ……!!
……えっ。
……ごめんなさい、って……。
っ……! 謝らないで! 謝らないでよぉ……。
ねぇ、私じゃダメなの!?
あの子より胸も大きいし、料理も得意だし、キミの為に尽くせるよ……!
顔だってあの子とほとんど変わらないし……それに、キミが命令するんだったら、エッチなことでも何だってしてあげるから……。
お願いだから……行かないでよ……。
きゃっ――!!
ま、待って……。待ってよ……。
行かないで……お願い……。
待ってってば……!!
――行っちゃった……。
うう……。
うあっ……うわあああああああああああああああん!!
ひっ、ぐっ……なんで……うっ……どうして……。
ふっ……ぐすっ……わっ、わた、しじゃ……ダメなの……?
キミの事、ホントに好きなのに……愛してるのに……!
一緒に色んなところに行って……楽しかった……。
ずっとこの時間が続いてほしいって、本当に思ってた……。
なのに……なのに……!
キミまで無くしちゃったら、私……私……。
お願いだから、戻ってきてよおおおおお!!
えっ――?
あれ……キミ……どうして……。
どうして……戻ってきたの……。
――あんなに不安だった理由……それは、またフラれてしまうんじゃないかという心配からくるものじゃなかった……?
一緒にいるうちに、陽和姉ぇのことが好きなのかもしれないと、気持ちが揺らいでいた……!?
急に告白されてびっくりして立ち去ってしまったけど、少し心と頭を整理していたら、自分の本当の気持ちに気付いた、って?
気持ちが揺らいでいたけど、でも私のところに戻ってきた……。
つ、つまりそれは――キミは私のことが、好きって――
うっ、うっ……。
うわあああああああああああああああん!!!!!
バカバカバカバカバカ!!!!!
……言ってくれた……!! 言ってくれたっ……!!
良かった……良かった……!!
キミが出て行っちゃった時、本当に……本当に辛かったんだから……!!
ポカポカ叩かないで、って……。
ふん……これは私を不安にさせた罰よ。
しっかり受けなさい。
でも、本当に良かった……。
嬉しい……!! ありがとう……!!
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
あはは……ごめんなさい。やっと落ち着いたわ。
それで……その、確認したいんだけど……キミは、私の事が好きってことでいいのよね?
――冬華ちゃんよりも。
――ふふっ、そう。なら良かった。
――こういう質問って意地悪かもしれないけど……冬華ちゃんと私で、どれくらい迷ったりしたの?
――初めてドキッとしたのは、フラれた後慰めてくれた時?
意識し始めたのは一緒に買い物に行った時?
そこからずーっと迷ってた……?
……ずいぶん長いこと、悩んでたのね。
でも、最終的には私を選んでくれて……嬉しいわ。
――私と一緒にいた時間がずっと忘れられなかった、一緒にいる時間がすごく楽しかった……って。
ふふっ、それって、私にからかわれるのが好きだった、ってこと?
ふえっ……!! ちょ、ちょっと!! 真顔で"好き"だなんて言わないでよ……!!
こっちが恥ずかしくなるじゃない……。
ん?
――私はキミのどんなところが好きか、かぁ……
私も似たようなものよ。
キミをからかうのが好き。からかわれて面白い顔したり慌てたりする姿も、可愛くて好き。
時々反撃してくるところも、ちょっと腹立つけど……でも、それ以上に楽しくて好き。
たくさん遊んでくれるところも、好き。
美味しそうに私の料理を食べてくれるところも、好き。
キミの全部が――好き。
私の知ってるキミも――
これから知っていく、私の知らないキミも――
もっともっと見たいって思うの。
もっともっと、好きだと思えるようになりたいの。
――だから、私とずっと一緒にいてね?
というか、一緒にいなさい! これは絶対の命令なんだから!
――ふふっ、言質取ったわよ。
嘘ついたら許さないんだから。
さて、相思相愛になったことだし、愛の誓いをしなくちゃね。
え? 具体的に何をするのかって?
――もう、流れで察してほしいわ。全く……。
あら、顔真っ赤にしちゃって……ようやく分かったのかしら。
それじゃあ……始めるから、目、瞑ってて。
――なんちゃって。
ふふっ、引っかかったわね。
キミ、私の指とキスしてるわよ。まんまと騙されちゃって……。
――でも、そんなキミが――やっぱり愛おしいわ。
――んっ。
ふふ……どうしたのよその顔……!
瞳が小さなビー玉みたいになってるわよ。
引っかけから、まさかホントのキスが来るとは思わなかった?
キミを好きなのはホントなんだから、私がさっきのだけで満足するわけないでしょ。
――ね、もう一回しない?
今度は、短いのじゃなくて、大人のキス。
……ううん、もう一回だなんて言わない。何度だってしましょ。
――んっ……。
――ぷぁっ……。
これで何度目のキスかしら……。
キミとキスするたびに、心の中が愛しさで満ちていくの。
好き。大好き。愛してる――
やっと想いが伝わって、そして受け入れてくれてすごく嬉しいわ。
こうしてキミと抱き合って……キスして……唇の感触や温度や肌の温もり、心臓の鼓動まで感じられるなんて……本当に幸せよ。
ねぇ、キミは私を感じてくれてるのかしら?
キミもきっと私と同じよね? ふふっ――
ずっと――ずっとキミの隣で、この幸せを感じさせてね?
大好きよ――幼馴染で年下の彼氏くん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます