第5話:カリスマ生徒会長とホラー映画
おー。いらっしゃい。
わざわざ来てもらってごめんなさいね。ちなみに妹はいないから安心していいわよ。
――別に気にしてないって……ほんとかしら?
うそ。冗談よ。さ、入って。
今回君に教える妹の情報は……ホラー映画です!!
冬華ちゃんってば、ホラー映画大好きなのよ。知ってたかしら?
――そんな話聞いたことないって?
まだまだねー。
というわけで、これからホラー映画を見ます!
――わざわざ僕を呼ぶ必要はなかったじゃないかって?
それがあるのよ。
実はね、この前手伝ってもらった文化祭の件あるでしょ。
今回の文化祭で、お化け屋敷を出し物にするクラスがあるんだけど……お客さんをより怖がらせて楽しませるにはどうしたらいいのか、という相談を受けたわけ。
そこで、参考のためにホラー映画を見ようかなって。
まぁ……私ひとりで見ても良かったんだけど、一緒に見てくれる人がいた方が参考になると思って。
ほら、意見を言い合ったりすることで、より良いアイデアになるじゃない?
なので、これから動画配信サイトで、私が独断と偏見で気になったホラー映画をチェックしていこうと思います。
時間はたっぷりあるから可能な限り見ようと思うので、キミもそのつもりで。
よーし、それじゃあどんなのがあるかしら? 早速探してみましょ!
――あ、これ友達が前にオススメしてたやつね――それにこれはSNSで話題になってたやつ!! ネタバレ厳禁って公式から言われるくらい衝撃的な内容だったのよね。
ラインナップが充実してて陽和姉ぇは満足よ。んふふふ。
さて、片っ端から見て行くわよー!!
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あーだめだめ! だめよ!! それ絶対まずいことになるやつ……!!
えええっ! この人絶対何か企んでるでしょ……怪しすぎるわ。
いや、でも視聴者に向かって、いかにも怪しい人です的演出は逆にシロだったりするものねぇ……。
――えっ、まさかこの人の恋人が……嘘でしょ……。
あわわわわわ……これ絶対来るわよね、来るわよね……。
この後の展開分かっちゃったわ! あー来る、来る……。
いやあああああっ!!!!!
ちょ、来ると思ったタイミングをずらして出てくるのは卑怯でしょ!! 怖すぎるわよ!!
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はー、今見た映画も怖かったわね。
ていうかさっきから、キミ、距離近くないかしら?
――私のほうから近づいてきてるって? むしろさっきからTシャツの裾をつまんでるって?
ホントだ……。あはは、気が付かなかったわ。
なんだか怖くなっちゃって……えへへ……ごめんなさいね。
そ、そろそろ遅い時間よね……。もう映画はこれくらいにしましょうか。
キミも家に帰らなきゃ、よね?
あー、その……。
えっと、ごめん、あの……今日、ウチに泊っていかない?
というか、泊っていってほしいのだけれど……。
どうして、ってその……。
っ……!! ええ。そうよ! 怖くて一人じゃ眠れないの!
だ、だから、お願い……。
今日は両親も帰ってこないし、冬華ちゃんも友達の家にお泊りだから、キミが帰っちゃったら私一人になっちゃうの……。
も、もちろん別々の部屋を用意するから。だから安心して。ね?
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ねぇ……キミ、起きてる?
あの……トイレに行きたくなったりとかしない? もし行きたくなってるんだったら私もついて行ってあげてもいいんだけど。
――そんなことはない? いやいやキミはトイレに行きたいはずよ。
と言うか行きたくなくても私についてきなさい。
廊下で待っててね。
あっ……でも音とか聞いたらだめよ。それから勝手に部屋に戻るのもなしよ?
絶対だからね。
ねぇ……キミ……そこにいるわよね?
うん、なら良かった。終わるまでちゃんとそこにいてよね。
ねぇ……キミ、まだちゃんとそこにいるわよね?
ねぇ……、ねぇってば?
え……嘘。
ちょ、ちょっと……。
冗談はやめてってば。そこにいるんでしょ?
きゃっ……!!
び、びっくりしたじゃない!!
あんなに激しくドアを叩くなんて!!
なんてことしてくれるのよキミは……! トイレの中で腰抜かすところだったわよ!
――ちょっと怖がらせるつもりだった、って。
冗談にしたって度が過ぎてるわよこんなの……。
もう、いつか覚えてなさいよね……。
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あの……キミ、まだ起きてる?
――またトイレかって? 違うわよ。
キミのことだから、どうせさっきの映画を見たせいで眠れなくなったでしょ?
怖くて一人じゃ眠れないんじゃない? だから一緒に寝てあげようと思って来てあげたの。
――え、別に怖くない? 一人で寝れる? と言うか今眠りに落ちそうなところだった?
ふふん、いいからいいから~。そんなに強がらなくたって。
本当は怖くて眠れないんでしょ?
ちょ、無視して寝ようとしないで!
こら、起きて! 起きなさい!
むーっ、そういう態度取るんだ……。
ならいいわよー。勝手に布団に入るから。
こーら、逃げようとしないの。
私を驚かせようだなんて生意気なことをやったんだから、その報いを受けてもらうわよ。
――布団の中が狭くなるから出て行ってほしい?
ふーん……なら、これでいいでしょ。
はい、こうしてキミの背中に抱き着いていれば、狭くないでしょ。
うん……君の背中、大きくてそれに暖かい。
心臓の音まで聞こえてくるわよ。
何、抱きつかれてドキドキしてるの?
――さっきまで眠そうだったのに全然眠れなくなっちゃった?
私を怖がらせようとしたバチが当たったのね。
……だーめ。離れないわよ。
いいから大人しく私が眠るまでこうしてなさい……。
ふふっ、いい感じの抱き心地。これなら安心して眠れそう……。
おやすみなさい……。
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昨日は色々ありがとね。
感想とか意見とか、すごく参考になったかも。
おかげでお化け屋敷について有益なアドバイスが出来そうだわ。
あと、泊ってくれたことも、ありがとう。
映画を見た後、一人になるのが不安だったけど、でも……キミがいてくれたおかげで不安を感じることもなくぐっすりと眠れたから。
――逆にこっちは眠ることができなかった?
……ふふっ、私に抱きつかれて落ち着かなかったのかしら?
――いい匂いがして柔らかくて陽和姉ぇの寝息が耳に心地よすぎて寝れなかった、ですって?
も、もう……! キミってばちょっと変態さんよね……!
まぁでも、寝不足なのだとしたら、家に帰ってから寝るといいわ。
今日も休みでしょ。
――勿体無い感じがする?
じゃあ今からまた映画でも見る?
――ぷっ、ふふふっ! 冗談よ。
でも、これで冬華ちゃんと仲良くなれるきっかげが増えたわね。
今度、一緒にあの子と映画でも見てらっしゃい。
とにかく、すごく楽しかったわ!
機会があるなら、また私と一緒に映画でも見ましょ。
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