第4話:カリスマ生徒会長と生徒会のお仕事

あっ、来てくれた。

生徒会の仕事のお手伝い、申し出てくれてありがとね。

今日はよろしく。


それじゃあ、これからキミに仕事の説明をするわね。

キミには、これから文化祭の出店書類の確認と仕分けをしてもらいたいの。


必要事項が全部埋まっていて、生徒会の承認印が押されているものはこっち。

記載漏れ、もしくは承認印がない書類はこっち。内容や記述が曖昧なもの、不明なものはこっち。


焦らずゆっくり、見落としが無いように、正確にお願い。

急がなくてもいいから――ね。

分からないことがあったらいつでも私に訊いてちょうだい。


――うん。ありがと。

それじゃ、頼むわね。


―――――――――――――――


――――――――――


―――――


ふぅ……。どうかしら?

そっちは進んでる?

おっ、書類の量を見る限り、ほとんど終わりそうな感じね。良いペースだわ。


私のほうはどうなのか、って?

まぁ、少しずつって感じね……。進捗はそこまで芳しくないわ。

今年は何故か部活動での出し物が多くって……。ただでさえ全学年全クラスで出し物とかやるのに……大変なのよね……。

あっ、そういえば、キミのクラスは何をやるの?


へぇ。クレープ屋さんをやるんだ。

隠しメニューでかき氷もある? なにそれ……本当は何屋さんなのよ……。


え……? しかもキミ、作る側なの?

なんだかイメージできないわね。

だってキミがエプロンつけて生地とか作ったりホイップクリームや果物のせるわけでしょ?

絵面が想像できないわよ~!


生地とかボロボロにしないようにね。

そんなに不器用じゃないって? 本当かしら~?


……っと。ごめんごめん。作業に集中しなきゃよね……。

ええと……次はこっちの資料まとめてもらおうかしら。



――あとどれくらいあるのか?

まだこんなの半分も終わってないわよ。想像以上に仕事が濃密でびっくりしたかしら?

――そんなことない?

あら、すごいやる気に満ちてるわねー!

今まで冬華ちゃんの貴重な情報を教えてくれたから、今日は恩返しするために頑張る、ねぇ……。

今回のお手伝いのきっかけだものね。それ。

そこまで気を張らなくてもいいんだけど……ふふっ、でも、ありがとう。

他の生徒会のメンバーも時々手伝ってくれるのだけれど……みんなそれぞれの仕事を持っているから……。

キミが協力を申し出てくれて、すごく助かってるわ。

それじゃ、お言葉に甘えて引き続き仕分けお願いするわね。


キミを見習って、私も仕事を頑張らなきゃ!

えっとこっちは予算申請書を……んでこれは先生の許可が必要なやつ……。

あーこれは後で持ってかなきゃ――ん、どうかした?


――いつものポンコツのイメージがない? テキパキ動いてて驚いたって……。

そうでしょうそうでしょう!!

これでも多くの人から選ばれた生徒会長なんだから!

そりゃ妹と比べたら学力も低いし成績もそんなに良くないかもしれないけど、こういう事務作業だったりイベントだったりを進めることはすごく得意なのよ。

まぁ容量がいいって感じかしら?

この前キミの家で料理を作った時だって、無駄のない洗練された動きだったでしょ?

普段の学校での動きが、家事にも現れているといったところかしら。


あっ、ちなみに掃除とかも得意なのよ。

今度キミの部屋掃除しに行ってあげましょうか?

ベッドの下や引き出しの目立たたない場所に保管してあるであろういやらしい本コレクションとか見つけて、机の上にまとめておいてあげるわね?


ふふっ、冗談よ。

おっと、 ついついまたしゃべりすぎちゃったわね。

君と喋る時はいっつもこんな感じになっちゃうわね……ふふっ。

さて、仕事仕事。仕事に戻りましょ~。


―――――――――――――――


――――――――――


―――――


だいぶ片付いたかしら。

キミがいてくれたおかげで助かったわ。本当にありがとう。

さて……あとは、先生方へ提出が必要な書類を持って職員室に――


ん……?

あ……待ってキミ。その指、血が出てる。

多分さっき書類をまとめてる時に切っちゃったのかしら?


……ちょっとよく見せて。

うわ……。傷は深くないみたいだけど、思ったより血が出ちゃってるわね。

どうしましょう……。

救急箱――そう、救急箱! 救急箱どこだったかしら……?

ええと……ええと……。

あーもう!! えい!



これで大丈夫よね。

……どうしたのその顔。口を開けたまま固まっちゃって……。

――指を舐められると思わなかった?


もう、しょうがないじゃない! 救急箱どこに置いたか忘れちゃったんですもの!!

とりあえず応急処置ってことで納得してくれないかしら?


……あ、それとももしかして照れてるのかしら? 

本当にキミは可愛いわねぇ~。


けどまあ、キミだって私の指舐めたわよね?

――確かにあれば唐揚げを食べさせただけだったかもしれないけど、キミの唇は私の指に触れてたわよ? 確実に。

だからおあいこ。

――そういう問題じゃない? もう、細かいことはいいから後で保健室行って手当てしてきてもらいなさい。

顔まで真っ赤になってるわよ~。


いつか冬華ちゃんにもやってもらえるといいわね。

――そんなことは期待してないって?

ふふっ、そういうことにしておいてあげるわ。


けど真面目な話、今日は本当にありがとう。

すごく助かったわ。

キミのおかげでいい文化祭ができると思う。


――おだてすぎ? もっと頑張ってる人たちがいるから大したことないって?

そんなことないわよ~。

キミも頑張ってくれたでしょ。本当にすごく嬉しかったのよ。


私もこれから頑張らなきゃー!!

よーし、あとひとふんばり!! ここからはカリスマ生徒会長の腕の見せ所よ!


それじゃ、また明日!

今度また冬華ちゃんに関するホットな情報を教えてあげるわね。期待しててねー。


それから……楽しい文化祭にしましょうね!

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