第3話:カリスマ生徒会長さんと猫カフェ
ふわぁぁぁぁぁ!!
可愛い……な~~~んて可愛いんでしょぉ!!
ほら、ほら!
あの仔、あのアメリカンショートヘアの! あくびしてる。あっ、あっちのスコティッシュフォールドの仔はお腹出して寝ちゃってる……。
はあぁぁぁ……!! あそこではマンチカンとベンガルとミヌエットの仔たちが行儀よく食事してる……。
可愛い……可愛すぎるわぁ……。
っと。注文もしないと。
すみませーん。コーヒー2つ。ブラックで。
キミもコーヒーで良かったよわよね? ――うん。ならよし。
……キミはこういうところ、あんまり来たことないんじゃないかな?
まぁ、猫カフェは男の子が、しかも一人で来るところじゃ無いかもしれないわね。
というか、こういうのキミ興味なさそう。
……かく言う私も、しょっちゅう来るわけではないけどね、はは……。
その割には猫の種類に詳しかった、って?
まぁ、冬華ちゃんと一緒に来るから……。自然と詳しくなっちゃったわ。
冬華ちゃん、ここ良く来るみたいよ?
このお店も知っておくと、共通の話題が出来ていい感じになると思うわよ?
いやいや……礼には及ばないわ。
今日のおでかけも、良い経験になってくれれば私は嬉しいの。
冬華ちゃんとデートすることになったら、キミもプランとか立てやすいでしょ?
にしても、おしゃれな店内よね~。
猫ちゃんだけじゃなくて、この落ち着いた空間も魅力の一つなの。
可愛い猫ちゃんたちと戯れながら、美味しいコーヒーを飲む。癒されるわよね~!
おっ、早速一匹やってきたわよ~。
ほら、おいでおいで~……。
――あら、キミのところへ行っちゃった……。
ふふっ、キミの太腿に頬ずりしてる……。
可愛いわねぇ……。スマホで写真撮っておきましょ。
あら、また来たわよ。
よーしよし、今度はお姉さんのところにおいで~。
むー、またキミのところに行っちゃった……。
あっ、今度はキミの膝の上に乗って丸くなってる……。
はあああああぁ……。
もはや可愛いを通り越して神々しい光景だわぁ……!!
あっ、またもう一匹来た。
今度こそ……今度こそ私のところにいらっしゃ~い!
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
じー……。
5匹も周りに侍らせて、すごいわねー。
キミ、冬華ちゃんにはフラれたのに、猫ちゃんたちにはモテモテなのねー……。
な、なによー……。何でニヤニヤしてるわけ?
――猫ちゃんが一匹も寄ってこなくて悔しいのかって? ぐ、ぐぬぬ……。
っていうか、キミだってこのお店に入るまで猫ちゃんのこと興味なかったくせに!
あんまり調子に乗らないでほしいわ……!
むー……。
気持ちよさそうになでなでしちゃって……。
あぁ……私もなでなでしたい……。肉球フニフニしたい……モフモフしたい……。
あ、貴方たち~。どの仔でもいいから、私と遊ばな~い?
ああっ……!! みんな私から離れていくぅ……。
なんで……どうしてなのよ……。
うう……。相変わらずキミのその顔、腹立つわねー……。
勝ち誇っちゃって……。
そしてさっきから、私と話す時間よりも猫ちゃんにかまってる時間のほうが長くない?
――そんなことない? いや……そんなことあるわよ!
冬華ちゃんと一緒に来ることがあっても、そんなんだったらまたフラれちゃうんだから!
それがイヤだったら私にも構いなさーい。というか構えー!!
――えっ……冬華ちゃんと来るときはしっかり会話もするですって……?
なによー。私とは会話してくれないのー?
もう怒ったわよー!
そっちがそういう態度を取るなら、私にも考えがあるんだから!
にゃ~~~~~ん!!
陽和にゃんだニャーン!!
ご主人様、私と遊んでほしいニャン!
ちょ、ちょっと……!!
距離取らないで。ドン引きしないで……!
――じゃあなんでやったの、って……キミを振り向かせるためよ!
知ってる? 猫は寂しいと死んじゃうのよ?
――それはウサギだろう、って。
いいのよ! 今私がそう考えたの!
も、もぅ……ちょっとぐらいキュンとしてくれてもいいじゃない……!
――あっ、さっきの私の演技にびっくりして、膝にいた猫が逃げちゃった……。
ふふん……この私の魅力に恐れをなして逃げたわね。
な、なによその目は~! 何言ってんだって顔しないで……!
こうなったら、空いたキミの膝で甘えちゃうんだからー!!
えい。
ふふっ、陽和にゃんはキミのお膝でおねんねだにゃ~。
ん~。キミの膝、寝心地いいわね~。いろんな仔が集まってくるのがわかる気がするわ。
はぁ~……。今にして思うと、キミに膝枕してもらう日が来るなんてね……。
昔は思いもしなかったなぁ……。
子供の頃は逆だったものね~。夏休みとかに遊びまわって疲れちゃったキミや冬華ちゃんを私が膝枕してたもんね……。
ふあ~あ……。
あっ、ごめんね、ちょっと生徒会の仕事とか詰まってて、疲れが取れてないのかも。
このまま少し寝ちゃうかも。
……少しだけなら大丈夫かしら?
悪いのだけれど、もし店員さんが迷惑そうにしてたら、起こしてくれるかしら……?
ん――ありがと。
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
ふわぁ……。
ん、目が覚めたわ。ありがとう。
どれくらい寝てた?
10分くらい? あら、結構短いのね。
けど、頭の中がスッキリしたわ!
あっ……寝てる間に、ヘンなことしなかったでしょうね~?
けどまぁ、お尻とか胸くらいだったら、触っても良かったのよ?
ぷっ……挙動不審になってる……!
相変わらず可愛い反応を見せてくれるわね、キミは。
そんなに必死になって否定すると、逆に怪しいわよ~。
――私は……触ってほしかったかも。
……あ、いやいや、なんでもないわ!
さて、コーヒーも飲み終わったし、そろそろ猫ちゃんたちにさよならしましょ。
あら――
……帰ろうと思った途端、一匹の仔に好かれちゃったみたい。
ふふっ、貴方だけは私と仲良くしてくれるのね……ありがとね~。
撫でてもいいかしら……?
んん~~~……。
柔らかい毛並みが気持ちいいわ……。
あっ、ほら見て。ぎこちなくすりすりしてきて……可愛い……。
……この猫ちゃん、キミになんとなくそっくりだね?
どこが、って言われても上手く説明できないけどね。
ちょっと不器用だけど、なんだかんだ面倒見がよくて優しいところとか――
この仔がそうなのかはわからないけど、きっとそんな感じがする。
さて、猫ちゃんも堪能したし、名残惜しいけどそろそろ本当にバイバイね。
またね。優しい猫ちゃん。
ん~。楽しかった~。
今度は冬華ちゃんを誘って今度は二人で行ってみるといいわ。
今日は私とだけど次はきっと楽しいだろうから。
――え、今でも楽しいって?
気を遣わなくてもいいのに……。
はいはい……どうもありがとう。
まぁでも、おかげで疲れも取れたし、いいリフレッシュになったわ。
ふふっ、大丈夫よ。心配しないで。
文化祭も近いから、生徒会長として頑張りたいの。
――キミも生徒会の仕事、手伝うって?
そ、そんな、申し訳ないわよ……気持ちはありがたいけれど……。
冬華ちゃんについて色々教えてもらってるお礼、ねぇ……。
わかったわ。そこまで言ってくれるのなら……。
立場上、難しい仕事をやらせたりは出来ないけど、簡単な作業でも十分助かるわ。
――キミのお手伝い、期待してるわよ。
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