第2話:カリスマ生徒会長さんとお買い物

う~ん……こっちの服の方が似合うかしら。いや、さっき着たワイシャツも捨てがたい……。


よし、こうなったら両方買っちゃいましょ!

ちょっと予算オーバーしちゃうけど、出費以上に得るものがあるわよこれは~!


そろそろ終わりかって?

何言ってるの? まだまだ買い物は続くわよ~!


――休みにいきなり買い物に連れ出されてびっくりした、って。

いいじゃない! ほらほら、せっかく私がコーディネートしてあげてるんだから、疲れた顔しないの!

せっかく冬華ちゃん好みのファッションセンスを指導してあげてるんだから、感謝してほしいくらいよ、こっちは!


――その割には私の好みや主観が入りまくってる気がするって?

い、いやいや……そんなわけないでしょ~。


私はあの子のお姉ちゃんなんだよ? 生まれた時からずっと、ず~~~っと一緒に生活してきてるんだよ?

あの子の好みや好きなタイプや趣味嗜好まで全部網羅してると言っても過言ではないんだよ?

そんな私の言ってることが適当なものだと?


……ふふん。わかればよろしい。

さぁ、それじゃ次のショップに行きましょ!



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―――――


ふぅ……たくさん買ったわね~。


予想通り、予算オーバーしちゃったけど、でもこれで冬華ちゃんの彼氏に一歩近づいたと思っていいわ!

一段階レベルアップしたキミを見ることができて、私も嬉しいわ……。


――え、私の買い物はいいのかって?


そんな気を遣わなくったっていいの。今日はキミのために買い物に付き合うって決めたんだから。


いやいや。本当にいいってば――

……あ、でも、そこまで言うんだったら、ちょっと付き合ってもらおうかな~。


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これ可愛い~。あ、でもこれも可愛いわねぇ~。試着しようかな~。

ねぇ、キミはどっちが似合うと思う?

……ねぇ? ……ねぇってば!?


無視しないで。それからちゃんとこっちを見て話しなさい。


――まさか下着を買うなんて思ってなかった、ですって?

いいじゃない。ちょうどサイズが合わなくなったな、って思い出したんだから。


……ふふ~ん。去年よりもサイズアップしたのです、胸が。すごいでしょ~!

それに、お尻のラインも綺麗になったのよ~。


……あれ、もしかしてキミ、変な想像した?

ふふ~ん、エッチねぇ~。


なに? 私が付けてるところとか――それとも、もっとすごい恰好してるところとか、想像しちゃった?

……ふふっ、慌てちゃって、かーわいー。


いい話のネタを聞いたわ~。あっ、このこと、妹に教えちゃおっかな~。



――う、うそうそ! 冗談だってば! そんなに青ざめた顔しないで……。

もう、店員さん苦笑いしてたじゃない……。


さて、キミの可愛い顔も見れたし、お気に入りの下着も見つけたし、お会計して出ましょうか。

キミの慌てふためく顔をもっと見たかったけど、これ以上は可愛そうだし。

ふふっ……ごめんごめん。からかいすぎちゃったわね。


お詫びに、良いこと教えてあげましょうか? ――耳貸して。



――実はね、その下着――妹も同じ色のやつ、持ってるのよ――



ぷっ、くっ……ふふふっ……! キミ、さっきより面白い顔してる……!!


これちなみにホントよ? 嘘じゃないから。


あらら……もう、そんな怖い顔しないで~。


まだまだ妹の情報提供は終わりじゃないわよ。

ほら、機嫌直して私についてきて。


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―――――


懐かしい~!

このゲームセンターに二人で来るのも久しぶりね~。

……うわっ、まだあの音ゲーあるのね……ナンバリング表記見た? 8ですって。私たちがやってた頃は2とかだったのに。

こうしてみると知らないゲームとかあってワクワクするわね。



――と、まぁ今日来たのは音ゲーをやるためじゃないのだけれどね。



じゃーん! 今回キミに教えてあげるのはこのゲーム!! クレーンゲームです!!


ケースの中に入ってるプライズ、これ『カワウソのコックさん』って言うぬいぐるみなんだけど……あの子、このシリーズ好きなのよ。

だから取ってプレゼントしたら、きっと喜ぶと思うわよ。


――さぁ、レッツチャレンジ!



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あ~~~~~!! 惜しい!! あと少しだったのに!!

これで十数回目よね? クレーンのアームおかしいんじゃないかしら!?


――クレーンゲームは貯金箱……? はは……上手いこと言う先人もいたものね……。

でも流石に、ここで諦めるわけにはいかないわよね……。


私が反対側でアームの位置を見ながらタイミングを計るから、キミは私が合図したらボタンから手を離して。


――よし、お金を入れた。いくわよ……

まだよ……まだ……そろそろ……今っ!!


うん! いいところで止まった! お願い~! そのまま落とさないで……。


……やったわ!! ぬいぐるみゲット!!



いやー、何とか取れたわね~!! これも私の大活躍のおかげ!



――はい。ぬいぐるみ。ホント感謝してね。きっとあの子、喜ぶと思うから。



――へっ? 何? 私に受け取ってほしいって?

いやいや、何言ってるの。これはキミがあの子にプレゼントするやつ――

私も欲しかったんじゃないのかって……いや、そんなこと無いし……。


ゲームしているときのテンションやぬいぐるみを見つめる目が明らかにハンターの目だった……? それと今日色々教えてくれたお礼?


そ、そんな目してないわよ……お、お礼だって……その、べ、別にカワウソのコックさんとかも興味ないし……。


……わ、わかったわよ! そこまで言うなら貰ってあげる!


べ、別に欲しくなんかぜんっぜん無いけど!! せっかくキミが頑張って取ったんだから、貰ってあげるわ……!

……ありがと。


さ、さぁ! ほら! 今日はもう終わり終わり!!

さっさと帰りましょ!!



……けどまぁ、有意義な休日だったわ。

ちょっと騒がしかったけど、キミの色んな顔が見れて楽しかったわ!

これからも、冬華ちゃんの彼氏になれるよう、色々協力してあげるわね!

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