第28話

 二代目イタチは残忍な手口で詐欺を働いていた。上手く高齢者を騙せたのはいいが、その高齢者が払えないと言い出すと刃物を持って自宅まで行き、刺殺する。その手口を二代目イタチは先代が亡くなってから行っていた。

 世間では先代と二代目は親子関係も師弟関係もないと言われている。本当は親子関係はないが、師弟関係はあった。

 先代は二代目に詐欺の手取り足取りを教え、最初は素直になって聞いていた二代目は、ある日取り返しのつかないミスで先代からきつく叱られた。

「先生!俺ちゃんとやりますから!」

「ちゃんと?笑わせるな!これで警察に捕まりそうだったんだ。もうお前は破門だ」

 先代は二代目を追い出した。

 これがきっかけで、二代目は先代を恨み始めた。

「自分は失敗しなきゃもっとできるのに、あのジジィはわかってない」

 その思いを持ったまま二代目は詐欺を続けていた。

 そんな二代目に好機が訪れた。それは自分の憎き先代の愛弟子が逮捕されその後8人のスターという集団に入り、自分と組んでいる組織と対峙しているのだ。

 二代目はこれを機に愛弟子を含めて8人のスターを殺そうと考えた。















 長曾我部と赤星は、薬師丸と紅の勉強を見ていた。薬師丸と紅は本来なら高校に通うはずだが、8人のスターに入り、退学し通信制高校に通っている。

「あ、明照君。ここちゃんとやって」

 長曾我部は薬師丸が取り掛かっている問題集に書かれた問題を指差した。

「えー。ここ難しいっす」

「長曾我部さん!いいですか?」

「あ、待ってて」

「長曾我部さん、俺薬師丸見てるんで、紅いいですか?」

「悪いね」

 最初は赤星が勉強の面倒を見ていたが、最近は興味を持った長曾我部も面倒を見るようになった。

 こうして平和にしているが、アクロポリスが二代目イタチと組んで犯罪を犯そうとしている事をこの時長曾我部は考えていなかった。


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