第24話

 長曾我部が先代イタチと出会ったのは、長曾我部が16の時だった。長曾我部は、高校に通いながら受け子のアルバイトをしていた。長曾我部がいた詐欺グループのリーダーだった坂東は長曾我部を呼び出し、

「ヒロ坊!今度イタチに会わないか?」

 そう誘って来て

「イタチ…ですか?」

「そうだ。イタチは俺達の間では神様みたいな方だ。ヒロ坊は優秀だからこれからは、受け子ではなく詐欺をやってほしいんだ。だからイタチの詐欺の技術を見て学んでほしいんだ」

「坂東さん、俺で大丈夫でしょうか?優秀な人材なら他にも…」

「お前がいいんだ。もうイタチとはアポは取った。明日の朝9時にここに行け」

坂東は二つに折り畳んだくしゃくしゃになった紙切れを長曾我部に渡した。

 長曾我部が中を見ると地図が書いてあった。坂東は赤い丸を指差し、

「ここにイタチがいらっしゃる。ちゃんと学んで来い」

「はい」





      










    




 翌日、長曾我部は学校をズル休みし、坂東からもらった地図を頼りにイタチのアジトがある那覇市のアパートへ向かった。

 アパートに着いた長曾我部は一旦深呼吸をし、チャイムを鳴らした。

 中からどこにでもいる中年の男が出てきた。

「誰だ?」

「あの、坂東さんの紹介で参りました長曾我部寛と申します。イタチさんはご在宅でしょうか?」

「イタチは俺だが」

 男は自分の事を指差し、

「初めまして!本日はよろしくお願い致します!」

「堅苦しい挨拶はいらない!中に入れ!」

 イタチはアパートの中に入るよう促し、長曾我部は言われた通り中に入った。

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