第23話
甲斐憲司はある男を呼び出しこう言った。
「木戸が捕まった。優秀かと思ったのに。残念だ」
「誠に」
男は相槌を打った。
「そういうわけで、今世間を騒がせているあなたに来てもらったんだが」
「お望み通りであれば、本業の詐欺以外でも甲斐様のお役に立てるよう精進致します!」
「期待してるぞ」
甲斐憲司は満面の笑みで答えると
「あなたならできる。優秀なあなたならできる。頼んだぞ。2代目」
2代目と呼ばれた男は頭を深々と下げた。
木戸の事件から半年経ち、8人のスターは相変わらずアクロポリス関係の事件を追っていた。だが、主犯が幹部の重政麻里子や木戸ような人物といった事件はここ最近なくほとんど下の者が起こした事件ばかりだった。
そんな中、アクロポリスに負けないぐらい世間を騒がせているのは、2代目イタチと呼ばれる詐欺師だった。
先代イタチは数年前に刑務所で服役中にこの世を去り、2代目はいきなり出てきたのだが、先代とは親子関係や師弟関係は全くなかった。
「またイタチやってるっすよ!もうこれで何回目っすか」
薬師丸は呆れていた。
「こんだけ世間を騒がせているし。高齢者だけじゃなくて若い人も騙しているんだもんな」
赤星は分析していると
「イタチは凄い詐欺師だったんだぞ!と言っても先代のほうだが…」
長曾我部がそう言うと
「長曾我部さん、イタチ会った事あるんですか?」
紅は恐る恐る聞くと
「見た事はあるだけ」
「見た事?」
「チラッとね…。僕が10代の頃に見たけど、どこにでもいる普通のお爺さんだったよ。2代目ていう事は息子か孫かな?」
「血縁関係がない人みたいですよ。しかも師弟関係もないです」
紅が説明すると
「大丈夫かよ…。勝手に名乗って…」
長曾我部の言動に赤星と紅は顔を見合わせ、薬師丸は疑いの目で見た。
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